海岸ダンジョン 3
海岸ダンジョン10階層のボス部屋。今日は昨日ここから帰った為、また再戦した。
まあ、時間にしたらほんの僅かだし、お肉的な意味で美味しい。
11階層は、海晶石という物が採掘出来る。
ただし、ウミウシみたいな外見のシースネークという毒持ちの魔物と戦いながらだ。
「マナ、僕にもきらきら!」
「分かったから、ちゃんと警戒しててね」
海晶石は、ほんのり青い水晶みたいな宝石で、この街の特産品でもある。
随分脆いな。
看破 海晶石 珪酸塩の結晶
「なんだ。ガラスの材料じゃん」
「そうなの?」
「ほらスカイ、錬成してみて」
「あああ…」
うん。青いのは不純物だからね。
ただ、慣れるとその辺はコントロールできる。
マナが違う海晶石を手にして錬成すると、不純物が残った状態で錬成された。
「スカイにあげるよ」
「うん…でも形を整えたら、海の色が抜けちゃわない?」
「その辺は慣れだけど、後から合成し直せばいいよ」
「ありがとう、マナ」
まあ、錬金術使わないで溶解すれば色は抜けないんだけどね。
それにしてもこのウミウシもどき、鬱陶しいな。採掘現場からポップするとか、性格悪いなー。
うん。先に進もう。密かに順番待ちされてるしね。
このウミウシもどき、足で踏んだだけで潰れる位弱いんだけど、毒を吐き出してくる。
私達はユキだけ状態異常無効を持っていないので、充分に注意するように言ったけど、ユキは素早いので大丈夫かな?何かあっても治してあげられるし。
元状態異常耐性の低かったスカイは、種族が変わって状態異常無効を取得した。
船に酔ってきらきらを吐き出していた子が立派になったもんだ。
12階層に出たのは、ウミネコ。鳥なんだけど、頭に猫耳が付いている。まあ、ちゃんと嘴だし、バードックよりはましかな。
隙を狙って嘴撃してくる。無駄に身長が高いスカイが、いい的になっている。
スカイの髪の毛を毟られた!と思ったら、落ちて羽根になった。
体を離れたら、人化は効かないって事かな?誰にも見られていないけど、気をつけた方がいいかもしれない。
この距離だと、魔法使うよりも投擲用のナイフを当てる方が早い。
弓使いのスカイは不利かもしれないけど、銃は使わせてあげられない。
ルビー母さんの槍が、上手くフォローしてくれている。
羽根と、たまに肉をドロップしたので、全部拾い集める。
これでユキの新しい玩具を作ってあげられる。
「これって、鳥肉だよね?」
「そうだね。でも羽根は要らないんじゃない?」
「ユキの新しい玩具にするんだよ」
「…いいけど、気をつけてね」
採取してる時に来たら、短刀で斬ればいい。
まあ、その前に眷属達が守ってくれているけどね。
13階層は、リトルクラーケン。ヤリイカよりも若干大きい位のイカだ。水魔法で水面を荒らしてくるけど、大した事はない。
墨で視界を遮る方が嫌かな。まあ、魔力視で私とルードにはしっかり見えているから、問題ないんだけどね。
ドロップ品はイカ墨だったり、ゲソだったりと、やっぱりせこい。
14階層は、ボムシェル。空飛ぶ蛤だけど、かなり大きい。
「こいつはなるべく攻撃しちゃだめなんだよね?」
「自爆攻撃するからね。マナは結界を常時展開してて」
人がいないから、スカイは少しでも小さくなるように、フェニックスに戻ってもらっている。結界は自分を中心に展開する物だから、あんまり背が高いと、外に出てしまう。
まあ、その辺は調節して展開してるんだけど、微妙にルードの頭が出ている気がする。
「マナ、もう少し上に張ってよ」
「喧嘩売ってる?」
「え?どうして」
「何でもない!」
大きい人には小さい人の気持ちが分からないものなのさ。
たまに体当たりされるけど、結界に影響はない。
そうして、自爆だからドロップ品はない。イラッとする。
氷魔法の最上位は、全てを凍らせる広範囲魔法で、これで凍らない物はない。
魔法を発動させると、ボムシェルは次々に落ちていく。
「倒した事にはなっただろうけど、恐らく倒される事を前提にしてないから、何もドロップしないんじゃないかな?」
なら、実験にでも使うかな?マナは適当に拾って収納庫に入れた。
「ここのダンジョンコアは、分かってないよね。お客さんが来てくれないと、ダンジョン成り立たないのに」
「マナが言うダンジョンコアにも、人と同じように性格があるんだね」
リルとか、引き篭もりさんとか、確かに人それぞれなのかな。
コアを人と言うのは語弊があるかもしれないけどね。
想定外とか、前世の偉い人じゃないんだから、言って欲しくないよね。
ボムシェルを見かける度に凍りづけにしてやって、やっと階段を見つけた。
まあ、次は15階層だから、少しは期待しようかな…できるといいな。




