農作業の一日
ルードも次の日、ちゃんと眷族に戻した。
相変わらず祝福は私に付けられないって言っていたけど、別にいい。
アカツキの眷族化はやっぱり無理だったけど、私からすればちゃんと家族だ。
「僕を眷族に戻すの、もっと苦労するかと思ったけど」
「私も思ってたけど、あっさりとできちゃったね」
まあ、伊達に長年眷族だった訳じゃないからね。
さて、私は畑仕事だ。蘇生石も作らないと。
「アカツキ、行こう」
ルードがしがみついてくる。
「いやルード…前にも試したじゃん?無理だから」
スマホを操作すると、いつもの風景。もし来られても、ルードは農作業はしないと思うんだよね。
ユキの玩具を出して、ボロボロの羽根を集める。
万能薬も作ってスカイの羽根と世界樹の葉と合わせて、ルビーに合成する。
羽根が少し残った。昨日もふもふした時に抜けた羽根を合わせ直したら、もう一つ作れた。
「アカツキ、今日は宝石系の採掘をお願い」
はあ。この広い畑全部を一人でやると腰にくるな。
付いた泥はクリーンで綺麗になっちゃうからまだましだけど。
大根を次々に収納庫に入れて、魔法で畝を作り直す。
果樹を収穫しながら、今回豊作の林檎をつまみ食いした。
果樹は、その日によって収穫数が違う。
いつも収穫数がしょぼいラカンの実がたくさんなっている。これは薬学台で砂糖に錬成できる。ん…これも出荷した覚えがなかったな。
一つだけ出荷箱に入れて、残りは全部砂糖に変える。
そういえば世界樹にも栄養剤って必要なのかな?前に私の魔力を栄養剤に使ったみたいだけど、森の木なんだから、特別な栄養は要らないかもしれない。
それと、私が死んだらルードは解放される事も伝えた方がいいかな?…いや、もっと私が年取ってからでいいかな。黒竜さんに本気で来られたら、負けるしかない。まあ、竜にとっては人の寿命なんてすぐらしいけど。
熟成小屋に入って実験。ソーセージを置く所に魚を置いたら魚肉ソーセージはできるのか?
野菜の乾燥スペースには、さっき収穫したばかりの大根を置く。切り干し大根の為だけど、そのまま置いても何故か細切りの切り干し大根になってくれる。
熟成小屋なんてゲームにはなかったから。ゲームだからという事ではなくて、サマルト様の親切設計だ。
酒樽には焼酎が出来ているので、これも瓶に移していく。
瓶そのものは海岸の砂から錬成できるから楽だ。それにクリーンをかければ簡単にリサイクルできる。
栓は、コークの木という木がコルク素材そっくりだったので、それを使っている。それがまだ育てられない時は、硝子の蓋に嵌まるようにステイッキーという虫系魔物の吐き出す粘着物質を乾燥させて使っていた。ポーションの蓋に使っていたけど、ちょっと匂いがきつい。
コークの木が実在しているかは未確認だけど、町に売っているポーションは、ステイッキーの唾液のゴムみたいになるものか、木の皮を使っていた。
まあきっと、どこかには生えているんだと思う。
思えばこういうこの世界の物が売りに出されたのは、ルードのお母さんに攫われて森から出てからだ。
怖かったけど、あれはあれでいい経験だったのかも?
うーん。ハイオークがないからベーコンとハムが作れない。
とりあえず今回回収したのがあるから当分は持つけど、狩りにも行かないと。
今日は天ぷらにしようかな。シャチザメも使っちゃわないと、ルードに見つかったらうるさそうだし。
色々天ぷらにして、一つずつとってお皿に移して出荷箱に入れた。
因みに料理を入れたお皿は綺麗になって戻ってくる。
遅いと思っていたら、アカツキは鉱石も採掘してくれてた。有難い。
収納庫を覗くと、ハイオークが入っていた。ルビー母さんか。有難い。
バラ肉とロースの部分だけ解体して、収納庫にしまった。
これでベーコンとハムの心配がなくなった。
夕方までには少し早いけど、戻る事にした。
今日は天ぷらを食べたいからね。天つゆは、亜空間のキッチンで作った。
出かけていたみんなだけど、私が戻って来たのを知って、戻ってくるみたいだな。
なら戻る前に、汁物でも用意しようかな。




