やっと平和になりました
いよいよ決行の日。魔術具は王城の中庭に建てられる事になった。
まあ、下手に盗まれたりしたら大変だけど、他の人に作られないように基盤は開かない箱に入っているし、多重構造。ダミーの紋様も入っているから複製は難しい。
世界樹の葉を使う以上、難易度は更に跳ね上がる。
「おっぱい星人だ…」
初めて女王様を見て、思わず呟いてしまった。
「こらマナ、失礼だって」
「だって、ルビー母さんより大きい人初めて見たよ!」
「良い。しかし本当に子供がこれ程の物を作り上げるとは」
魔術具を設置して起動させると、瞬く間にぐちゃぐちゃだった魔素が落ち着いた。
「子供じゃないです。成長期だから大きくなるのはこれからなんです!」
「ふむ…」
只の子供ではないと感じたが、これはなかなか面白い。
「私の名は、フィニア サルーンだ」
「あ、マナです」
「なるほど。色々納得した」
え?何が?
女王様は、ルードを見て少し笑った。
「じゃあ、私達は島に行かないといけないので、これで失礼します」
「そうか…これはどうすればいい?」
「あとはお任せします。必要だと思ったら使って下さい。もし要らないなら、あとで持っていきますけど」
「そうだな。しばらくは様子を見よう」
一応ユキとスカイには、エルフの国の西端に待機してもらっている。
ルードは島の上。マナはコアと一緒だ。
「行けそうですか?」
(うむ。問題ない)
島はゆっくりと北に動く。
数日かけて、やっと所定の場所に着いた。マナは眷族達の目を通して位置を見定める。
「ゆっくり降りて下さい」
着水。懸念していた津波や浸水も起こる事はなかった。平面の地で三メートル程下に海面が見える感じだ。
「概ね成功ですね」
ちなみに陸地は地続きではない。エルフの国側は元々高い崖だけど、間は開けている。鳥人族の人達は飛べるから、外交にも問題ない。
「ありがとうございます。お陰で我々はまだこの地に住めます。エルフの方と友誼を結びたいのですが、間を取り持って頂けますか?」
「じゃあ、とりあえず代表のアーサーさん。一緒に行きましょうか」
前以て根回ししておいたので、お互い仲良くなれそうな雰囲気だ。
あとはトラス皇国だけど、ウィンゼル島に行くには魔の森を突っ切るか、南のトート国を通らないと海には出られないから、そこまでは心配していない。
あの魔道具が壊れて以来は、これ以上攻める手段もないため、諦めてはいないが、攻めあぐねているみたいだし。
これはルビー母さんの情報。お酒を飲みながら、ルビー母さんに語ってたらしいけど、どんな状況?よく分からないけど凄いな、ルビー母さん。
一応サマルト様からの依頼はこなせたかな?
あ、メールが届いてる。
〈ありがとう、マナ。あとはその地に住む者達次第だからね。この世界は好きになってくれたかな?〉
「うん。大好き。サマルト様、ありがとうございます」
それと、スカイに錬金術のスキルが生えた。魔道具作りはまだ教え始めたばかりだけど、これからどんな作品を作るのか、楽しみだな。
今日は、黒竜さんもツリーハウスに呼んで打ち上げをした。特にこの世界にはないお酒が気に入ったみたいなので、穀物を適当に入れて作った
ウイスキーとか、大麦から作ったビールとか、たくさんあげた。
作り方を聞かれたけど、熟成小屋の樽に適当に原料を入れてるだけなので、分からない。ので、スマホの事を説明したら引かれた。
中身は完全に神様仕様で、神器扱いだからまあ、仕方ないかな。
初めて作ったお酒は瓶一つは出荷箱に入れているけど、それ以降なら樽に全部移してたまにおすそ分けしよう。
明日からはまた普通の生活に戻れるかな…冬の間本当に立て続けに色々あって疲れた。
女王「成る程…私になびかぬ訳だ」
ルード「僕は別にロリコンじゃない!」




