表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/242

ヤキモチと、ダンジョン

 ダンジョンは、河を少し遡った先の滝の下にあるらしい。

「じゃあ準備しないとね!」

 準備は、もちろん食料品の買い出しだ。マナが持ち込んだ魔物の素材をギルドで買い取ってもらったので、お金は充分にある。

 復活したスカイが、頭の上にとまる。

(えー?そこなの?スカイ)

(マナの肩は狭すぎてとまれないし、マナを守るように言い聞かせられてきたから)

 まあ、別に重くないしいいか。

 

 買い物するのにはもう一つ理由がある。手に入れた異世界野菜が、ゲーム内でも育てられるようになったのだ。だからちゃんと鑑定して、少しずつでも買って着々と種類を増やしている。

 魚も種類が増えるかと思って、買っている。

「マナ?ダンジョンに何日潜るつもりなの?」

「もちろんクリアするつもりだよ!」

「…いや、別にいいんだけどね」

「用事あるなら、スカイがいるから帰っても大丈夫だよ?」

「!いや別に、暇だし?」

 何かスカイが来てからルードの様子が変だ。


 夕方のうちに進んで、ダンジョンに入る前に亜空間で寝る事になったけど、何でルードが私の亜空間に入ってくるの?

「仲間外れは嫌だ」

 いや、私が亜空間を覚えてからは別々に寝てたじゃん?

「子供?」

「竜族では子供だよ」

 まあいいけどさ。亜空間は広いし。

 ルードは自分の亜空間から持ってきた絨毯を敷いて、竜に戻る。

 スカイが驚いているけど、今更だと思う。

 私はスカイと一緒にベッドに入った。スカイはもふもふで暖かい。

 もう少し家具も揃えたいな。


 次の日の朝、起きてびっくりした。人化したルードが、私とスカイの間に潜り込んでいる。

「ちょっとルード!スカイにヤキモチとか、本当にどうしたの?」

 今までの一線を引いた関係はどこに行ったんだ。

「んー…まだ眠い」

 ルードは結構お寝坊さんだ。は、いいんだけど、人を抱き枕にするのはやめてほしい。

 しかも力強いし。

「もう!今日はダンジョンなの!起きて!」

 ルードの腕の中で暴れると、やっとルードが目を開けた。金色の瞳で、じっと私を見る。

「…あれ?僕ベッドに入ったっけ?」

「寝ぼけてる?朝起きたら私は抱き枕にされてたんだよ」

「そうだったんだ…何かごめん」

「ルード、スカイにヤキモチ焼いてる?」

「僕が、ヤキモチ…?ああ、うん。そうかもしれない」

「かもじゃないと思うけど?」

「うーん。…マナは僕が魔の森まで守って、ちゃんと送り届ける予定だったのに、鳥に邪魔された」

「スカイは私を心配して来てくれたの。従魔なんだから、仲良しなのは当然だし」

「…むう。それは分かるけどさ」


 気を取り直して、ダンジョン攻略だ!

 上層部は他の冒険者の姿も沢山見えた。スカイが戦っている所を初めて見たけど、並の冒険者よりも強い。

 10階層を過ぎた辺りから、冒険者の数も減ってきた。

 ダンジョンの魔物は、ゲーム内と同じで死体が残らない。そして経験値もパーティーで均等に入る。

 

 スカイの広範囲雷魔法でエリア内のシルバーウルフを殲滅させる。

 ドロップアイテムの牙や皮を集めながら、スカイを褒める。

 ルードは、殆ど戦闘に参加しない。一度、私が危ない時があってその時に白い光を放ったけど、何の魔法か分からなかった。

 ただ、あれ以来自分の亜空間には入らず、私の亜空間で竜の姿で寝ている。

 さすがに寝ぼけたのは初日だけだったけど、仲間外れは面白くないみたいだ。

 次は15階層。降りてみると中は水浸しだった。私の膝位まで水がある。

(感電が怖いから、ここで雷魔法は禁止だよ?)

(んー?わかった!)

 魔物は20センチ程度の魚で、鑑定ではソードフィッシュと出た。顔の先が尖った槍の先端のようになっていて、突き刺して攻撃してくる。

 風魔法と闇魔法のダークショットで攻撃して、近くに来た奴は、短剣で刺す。

 魔物の殆どはルードに近寄らない。見てると軽い威圧を放っているようだ。

 ドロップアイテムの角と魚の切り身を大量に仕入れて、次に進む。

 レッドスパイダーという毒持ちの小型の蜘蛛を魔法でやっつけていく。こいつは隠密性が高いし、壁も天井も関係なく襲ってくるから注意が必要だ。

 余談だけど、人の姿がない時は、偽装を切っている。練習にはなるけど魔力を常に使っている状態になるし、注意も払ってなきゃいけない。

 次の階層には、ポテ芋の魔化した植物が襲ってきた。壁も保護色なのか、深緑色で、注意していないとポテ芋弾を放たれる。プロ野球選手並の剛速球で、芋だからと侮れない。

 1メートル以内に入ると攻撃してくるので、魔力視で注意深く見ながら魔法を当てる。弾として発射された芋は普通に食べられそうなので、頂く。

 ドロップアイテムはもちろん芋だ。


 20階層はボス部屋だ。巨大な亀が高速回転してウォーターカッターを放ちながら襲ってくる。

 スカイの風魔法も、私の闇魔法も効かない。重力魔法で押し潰そうとしたけど、甲羅が硬過ぎる。

 見かねたルードがあの白い光を放つ。聖魔法、かもしれない。

 その一撃でビッグトータスは倒れた。

 後に残ったのは巨大な甲羅。防具の素材になりそうだけど、亜空間用のお風呂としても使えそうだ。

「そろそろダンジョンも、厳しくなってきたんじゃない?」

「うー。確かに今の魔物は強かったけど、中ボスだし」

 次の階層では、ダンジョン内に雨が降っていた。スカイを亜空間に入れて、向かってきたウォーターベアーの頭に重力波を当てる。

「マナ、疲れているだろう?今日は早めに休んだ方がいい」

 ウォーターベアーの皮を回収して、頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ