これからの事
ダンジョンの話をしたら、案の定マナはずるいって言い出した。
「けど、美味しい素材は期待できないよ?ていうか僕がとどめを刺した素材は貰えるから、収納庫から取り出せるし」
ムカデの攻殻、トカゲの皮、アシッドバードの嘴に羽…確かにろくな物がない。
「それにマナは、あそこにいると気分が悪くなるし」
確かにそうだけど、ちょっと悔しい。
「アースドラゴンの爪は明日貰える事になっている。そうしたら、マナは魔術具の製作を頑張ってもらわないと」
「それ位分かってるもん!だから頭撫でないで!」
まるで私が聞き分けの悪い子供みたいじゃん!
「ねえルード、明日から私達はどうすればいいかしら?」
「うーん。足りない材料、もしくは手持ちが少なくて、失敗した時の予備が少ない材料ってある?」
「アースドラゴンの爪は、余分に欲しいかな。あとは、スマホの中で調達できるよ。逆に作って欲しい物ってある?」
「魔素安定の魔術具は、一回の発動でどの位の時間持続するの?」
「魔宝石一つだと、半年位かな。現状では自然にある魔素を吸収できる仕組みになっていないから」
「安定したあとは、環境に変化とか出るのかな?」
「あー。そういう心配もあるのか。すぐに影響は出ないと思う。元の状態を維持したいなら、込める魔力を加減すればいいだけだから。その辺は責任持って私もちゃんと設置前に説明するよ」
「なら、あとは決行の少し前に、ルビーはトラス皇国に潜入して、聖騎士から情報を得られるようになって欲しいかな?多分かなり慌てるだろうから」
「にゃー達は?」
「マナが食材の心配をしないで済むように、買い物とか、狩りかな?」
「畑はアカツキも手伝ってくれるからそこまで心配は要らないよ」
「ダンジョンは手伝わなくていいの?」
「実は素材と引き換えに最終階層までの攻略を依頼されて…女王と兵士、それにプリメーラも一緒に潜るから、下手に連れて行けないかな。マナは特にね」
女王はどんな人か分からないけど、プリメーラさんと一緒は嫌かな。うっかり噛みつかれたくないし。
「うにゃ…竜は強そうだから、足手まといは嫌にゃ」
スカイも頷いている。
「なら、しばらくは多めに料理を収納庫に入れて置くわね」
「そうしてもらえると助かる」
「ねえマナ、僕も錬金術、覚えられるようになるかな?」
「錬金術を覚えたいの?」
「スカイ!マナは今、すごく忙しいって分かっているよね?」
「なら、エルフ達に教わったら?スキル化するかは分からないけど、私の錬金術は、スキルに頼った邪道なやり方だから。魔道具作りは、この件が終わってスカイに錬金術のスキルが生えたら教えてあげる」
「やった!」
「そもそも、錬金術で何をしたいのかな?スカイは」
「色々考えているけど、マナの役に立ちたいから」
何か考えてくれてるのかな…
「鍛冶と錬金術は、相性のいいスキルだと思うんだ。だから、やる気さえあれば挑戦するのはいいと思うよ」
ただ、スカイの場合、想像の斜め上の物を作る気がする。
まあ、それはそれで面白いか。
モチゴメを粉にして作ったみたらし団子を炬燵の上に出した。
「あら、見たことない食べ物ね」
「この前買ったモチゴメで作ったんだよ」
「鳥人族の所で食べた物と食感は似てるけど、味が全く違うわ…美味しい」
「あんこを乗せても美味しいんだよ。あとで一緒に作ろうね」
「あ、にゃーも!」
「勿論」
これも出荷箱に入れないと。
あとはずんだもちとか、あ、いちご大福を作ったらユキが喜ぶかも。




