残念吸血鬼と鳥人族
プリメーラさんの家に案内してもらった。雑貨屋というのは本当らしい。
…!あ、これ、米…じゃない!
看破 モチゴメ やったねマナ、餅が食べられるよ!
…あれ?何か結果が…?
看破 モチゴメ 一般的に粉にして用いられる
サマルト様…絶対今見てるな…。これで今、プリメーラさんを看板したら、残念吸血鬼とか出るんだろうか?
そっか。団子もいいな。えへへ。
「プリメーラさん、これ下さい。あ、代金はちゃんとお金で支払いますから」
「マナちゃんひどい…」
そんなうるうるした目で見られても…。
雑貨屋というのは本当らしい。槍や弓まで置いてある。
「大体、人の血なら…ほら、さっきも冒険者が通ったし」
「嫌ですぅ。おっさんの血は美味しくないのです」
「こらプリメーラ!仕事はどうした!」
「あ、お父さん。モチゴメ売れたよ!」
「あの、ウィンゼル島と交易しているというのは本当ですか?」
「まあ、上からの商品は正直あまり売れないのですが、物珍しさもありますからね」
でもお父さん、葉物野菜が萎れてますよ…。魔族も基本肉食なんだね。
お父さん若いな…プリメーラさんと兄妹にしか見えない。
「今から私が商品の交換に行く所なのよね。マナちゃん、一緒に行く?」
モチゴメと交換に、槍や弓をを持って行くのかな?
「いいんですか?」
「これでも家は、ウィンゼル島との交易を一手に担っているの」
「うそ」
「あ、酷い。お姉さんは傷ついちゃった」
「今の女王陛下とこの子が、偶々幼馴染みでして…」
えええ…
「何なら紹介してあげてもいいわよ?」
「そうですね…場合によってはお願いする事になるかも知れません。その場合はギルドを通した正式な御礼をさせて頂きます」
ルードは、軽くマナを引き寄せる。
「…意地悪だわ。まあいいわ」
プリメーラは荷物を持ち、マナはみんなに亜空間に入って貰う。
改めて見ると高いな…スカイツリーよりも高いかな?
「マナちゃんは、どうやって行くつもりなの?」
「重力魔法の反重力で」
「えっ…凄いわ!さっきも空間魔法使っていたのに、もしかしてマナちゃんて、魔法の天才なの?」
「一応、Aランクの冒険者ですよ」
「はわー」
「先に行って下さい。他の人が来る事、ちゃんと伝えて下さいね」
何とか島の端に転がり、亜空間からみんなを出す。
ルードに久々のお子様抱っこされたけど、考えないようにしても吹き付ける強風に、ルードにしがみつくしかできなかった。
「マナちゃん、もしかして怖いの?」
「仕事だから頑張るの!頑張れば、ちょっと位高くても平気なの!」
鳥人族は、まるで天使みたいだけど、脚が鳥だ。
みんな弓や槍を持って、こちらを警戒している。
「冒険者ギルドって分かりますか?そこからの依頼で来たんですけど、一番偉い方に会わせてもらえませんか?」
「プリメーラ、人族を連れて来るのはやめてほしいと何度も言っただろう?」
「そうだ!お前達は奪う事しかしない!帰れ!」
「待ってほしい。このままではこの島が危険なんだ」
「人族は信用できない!」
仕方ないな。
ルードはルビーにマナを預け、人化を解く。
(我はインペリアルドラゴンだ。神からの要請でここに来た)
「あらー、お兄さんて、竜だったのね。本気で怒らせなくて良かったわー」
「あんまり驚いてないにゃ?」
「強い事は分かってたわよ?でも魔族は相手が強くても怯んでいちゃダメなのよ。ふふっ、サルーン様に言ったら喜ぶわね」
「誰にゃ…」
「女王陛下よ。もしかしたらもう、噂は王宮に届いているかもしれないわね。面白い集団がいるって」
「にゃ…仲間を傷つけたら許さないにゃ!」
「精々勝負を挑まれる位よ。魔族は力こそが正義だから。私はもう、帰るわね?お父さんに怒られちゃうし」
プリメーラは、島から離れた。




