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出発準備

 ウィンゼル島まで、どうやって行けっていうのさ!

 思わずそんな事を書いて、ギルドに転送仕返してやった。

「マナってば、そんな子供みたいなこと」


 !は…しまった。やり場のない怒りがつい爆発してしまった。

「とりあえずデモンズイルまで船は出てるけど、また船旅したい?」

 

 積極的な人の行き来はないが、ちゃんと国どうしの外交はあるし、貿易もしている。

 種族的な特徴や、人の常識では相容れない部分があるので、魔族は人の国には住もうとせず、人も、行くのは冒険者や物好きだけだ。

 その島は魔素が濃くて、魔物も強い。島にあるダンジョンにも、竜クラスの魔物が出るので、採れる素材は魅力的だが、並の人族では対抗出来ない。


 魔族は総じて強い者が多く、住むのには問題がない。

 人よりも大概寿命が長いが、子供が産まれにくい。

 島を統べる魔王も、血筋ではなく当代最強の者が選ばれるようだ。

 

 ウィンゼル島の鳥人と魔族は交流があり、魔族からは素材を、鳥人からは食料と交換しているようだ。

 ちなみに船が出るのはボネットの国から。この大陸の南端に位置する国だ。

 さすがに歩いて行ける場所ではない。歩くとしたら、年単位でかかるかもしれない。


「ちなみにルードは、どこまでゲート持ってる?」

 ルードは、マナの手描き地図を勝手に修正していく。

「ここ。ウーツ国の採掘場に魔物が出たのを昔のパーティーメンバーと倒した事がある」

「へえ。どんな所?そこには何があるの?」

「ミスリルの採掘場だよ。あ、食べ物の事は覚えてないからね?」

 むう。まだ聞いてないじゃん。


「ウーツはボネットの北にあるから、南に行けばいいだけだよ?ただ、船でもそこから1週間位かな?」

「ゲートは開きたいな。デモンズイルからはやっぱり飛ぶしかないの?」

「そりゃあね。そこからは僕が行くよりマナが飛んだ方がいいと思うけど」

「なんで?」

「ウィンゼル島は小さい島なんだよ。僕が降り立つにはちょっとね」

「むう…」

「とりあえずデモンズイルにゲートを開いてくるから、マナは待ってて」


「え?ウーツとボネットは?」

「買い物は後のお楽しみだよ」

「酷!」

「ルードもマナの扱いに慣れたって事よ」

 ルビー母さんも何気に酷いんだけど!


「時間的にどれ位かかるか分からないけど、とにかく準備だけはしておかないとね」

「んー。アカツキ、おいで」

 主食は多めに確保しておかないとね。


 畑はアカツキに任せてマナは、飛ぶ練習だ。とりあえず最初は、重力魔法も併せてかけておく。だって怖いんだもん。

 アカツキも収納庫の魔法を使うようになってから、作業効率が上がった。


 そういえば、エリクサーは引くほど買取額が高かった。まあ、レア素材ばかりだし、作るのも難しいから妥当かもしれない。

 魔宝石はどれ位になるんだろう?二つあれば安心だから、もう一つ出来たら入れてみよう。


 図鑑に載っていない物、オリジナル作成した物は、割と高く買い取って貰える。この前の裏ごし用の網だって、それなりの値段で買い取って貰えた。

 魔道具に比べたら全然だけど。炬燵の魔道具も、いい値段になった。というか、出荷箱に入るか怪しかったんだけど、まるで収納庫のように吸い込まれるように入ってしまった。

 なら、ジンギスカンの巨大プレートも入るかもしれない。今さらだけど、入る訳ないと思ってたからな。


 種蒔きを終えて、ちょっと軽い気持ちで魔宝石を作った。

 緊張しない方がちゃんと作れるのかもしれない。

 まあいいや。出荷箱に入れちゃおう。


 あ、そういえば全く埋まっていない図鑑があったな。

 料理図鑑。ルードが増えた辺りから、まともに出荷しなくなっていた。

 図鑑の殆どのページが真っ白だ。簡単な物を今のうちに入れようかな。収納庫の中にも作り置きのおやつがあるし。


 図鑑に載っている料理は、少ない。この農園で収穫したり、調味料を使ったりした料理だけだから当然だ。だから肉は採れないから、肉を使うだけでオリジナル料理扱いになる。

 多めに作って一人前だけ出荷すればいいので、途中から楽しくなって、つい作りすぎてしまった。

 作りすぎてもまあ、問題は全くない。いつの間にか収納庫から大概ルードのお腹の中に消えているからだ。


 農園から出て、ルビー母さんが収納庫を確認していた。

「随分と作ったのね。まあ、島の調査なんてどれだけかかるか分からないものね。でも別に、旅の途中でもスマホの中には入れるのに」

「ちょっと、図鑑を埋めたくて。勿論出掛けている間も作るよ?新しい食材も見つかるかもしれないから!」

「良かった。マナがいつもの調子に戻って。今回は行きたくなかったみたいだから。大丈夫よ。落ちそうになったら母さんの糸で助けてあげるから」

 

 あう…忘れてたのに。



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