表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/242

新年と、断れない依頼

 スカイの花火の置物をちょっと改造してみた。とはいえやった事は簡単。下に発光するだけの魔道具の発動基盤を取り付けただけだ。

 魔力を流すと、赤や青など、色々な色に光る。クリスマスツリーみたいだな。


 クリスマスと言えばケーキとプレゼントが貰える日だと思っていたけど、実際は神様の誕生日だから、この世界にクリスマスがないのは当然だね。

 サマルト様の誕生日にも何かお祭りがあったらいいのに…そもそも誕生日が分からないか。


 新年の光が見られるのは今日だ。普通の家庭では、ごちそうを食べたりとか、ちょっとした新年イベントみたいな事をやるようだ。あとは初詣みたいに、教会に出掛けたり。


 去年は私、寝てたから今年はおせち料理でも作ってみようかな。

 蒲鉾と、伊達巻きなら作れそう。白身魚もあるし。

 栗きんとんも作れるし、黒豆…はないから、赤豆を煮ればいいか。

 もち米がないから餅は無理だな。あとは筑前煮と、羊羹。

 ルビー母さんにも手伝って貰おう。


 裏ごし用のザルを作って、亜空間に戻った。

 スカイの置物をテーブルの上に置いて魔力を流す。

「わ…凄い!僕のきらきらが、本当にきらきらしてる」

「へえ。普段のガラクタとは比べ物にならないな」

「綺麗にゃー」

「収穫祭を思い出すわね」

「明日には新年だから、おせち料理を作りたいの。みんな手伝ってくれる?」

「僕も出来るのあるかな?」

「そうだね…魚の裏ごしとかやって貰おうかな?ルードは材料を切ってね。作る物がいっぱいあるから、農園用のコンロも持ってきた」

 ユキには、今晩用の蕎麦を打ってもらっている。

「随分とやる事が多いのね」

「ん…本当は出来ている物が買えたら楽なんだけどね」

「なら、買ってくる?」

「ううん。そもそも売っていないよ。私が作る料理は前世の物がほとんどだから、食生活も随分と違うし」

「そうね。確かにマナの料理は、町で食べるものと違うと思っていたわ」


「他の町に広めたりはしないの?」

「む、無理だよ…私が知らない人に料理教えるとか、絶対無理!」

「まあ、そういう所はマナだな…」


 マヨネーズを教えたのは、ソーニャだからだ。まだあれから1年しか経っていないのに、随分久しぶりな気がする。


 夜になり、みんなでツリーハウスの天辺に上った。

 重なり合う二つの月。それが完全に重なる時、新年の光が見える。

 今年は平和な年になるといいな。


 みんなで炬燵に入っておせち料理をつまむ。

「この蒲鉾?面白い食感ね。それに美味しいわ」

「肉が少ない」

 本当にルードはそればっかりだな。食べたければ収納庫に入っているんだから、食べればいいのに。

「にゃーはこのウサギの林檎が気に入ったにゃ。可愛いにゃ」

「皮のこの部分は耳?」

「まあ、こっちで言えばラビットかな?元いた世界では、凶暴なのはいなかったけど」


 マナは、好物の伊達巻きを口に入れる。独特の形じゃなくてロールケーキみたいになっているのは、巻き簀がうまく作れなかったからだ。前もって作っておけば時間に余裕もあったのに。

 味が変わる訳じゃないからいいのさ。


 その夜は、みんなで団子になって寝た。


 その数日後、簡易転移装置から紙が吐き出された。

 ギルドからの、依頼の紙だ。

「…は?何この依頼」

〈教会の高僧が、ウィンゼル島の崩壊を予見した。調査に行ってほしい〉


 マナは、紙をルードに渡した。

「ちょっと、本当の事かどうか判断しかねるね。マナは神様から何も聞いてない?」

 スマホに、いつの間にかメールが届いていた。日付を見ると、去年の暮れの頃だ。大変な時期だったから、気がつかなかったのもまあ、仕方ないかな?

「ギルドからの依頼は、本当みたいだよ」


〈やあ、マナ。大変な時期にメールしてごめんね。実はウィンゼル島の様子がおかしくてね。猫ちゃんが大丈夫になってからでいいから、ちょっと調べて欲しいな〉


 マナは、文面通りに話した。

「ウィンゼル島って、どの辺にあるの?」

「どの辺ていうか、魔族が住む島デモンズイルの北西で、空に浮かぶ島だよ。エルフの国のずっと南辺りかな」

「そ…空に?それって、物凄く高い所?落ちたら死んじゃう?」

「落ちてもマナは、飛翔のスキルもあるし」


 そんな何でもない事のように言わないでよ!高い所とお化けは大の苦手なのに!

「マナ?まさか神様からの依頼を断ったりしないよね?」

 嫌ああぁ…!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ