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ユキの為に

 朝起きたら、体が怠かった。酷い倦怠感で目が眩む…違う。私じゃない。

 寝ぼけて感覚が曖昧だけど、私と繋がっているものが。

 まだ朝も早い。みんな寝てる。


 ユキ?

「ユキ!どうした…の?」

「…うにゃ?もう朝にゃ?」

 ふっと、体が軽くなる。でもさっき感じた物に間違いなんてない。

「ユキ…どういう事?」

「…ユキはもう、寿命にゃ。白い魔物は、長生きできないって、マニャにも言ったにゃ」

「でも、こんな急に…ううん。私が気がつかなかっただけ」

「黙っててごめんにゃさい…でもマニャにそんな顔させたくなかったにゃ」

 いつの間にか眷属達も起きて、私達を見ている。


「スカイ、遺伝子の疾患は病気じゃないの?」

「え?イデンシ…?って、何?」

 うーん。そこからか。

「よく分からないけど、どこかを悪くしてるって感じじゃないんだ」

「よく分からないけど、ユキは生まれつき白い魔物だから…母さんも実際見たのはユキしかいないけど、大概は周囲の魔物にやられておしまいだけど、劣化種っていう位だから寿命も短いのかもしれないわね」

「でもケットシーは精霊でしょ?」

「精霊になってもユキは白いままだし、目も赤い。普通のケットシーとは違うと思うな」

「仕方ないにゃ。生まれた時から分かっていたにゃ」

「万能薬…作ってくる!」

 マナはスマホの中に消えた。


「万能薬は、スカイの病治療のスキルと一緒だから、無理だと思うな。ユキには悪いけど。それこそ伝説級のエリクサーでもないと」


 マナは、すぐに出てきた。風邪から内蔵疾患など、重い病気さえたちどころに治してしまう薬を持って。

「…どう?」

「ん…変わらないにゃ」

「マナ、万能薬じゃ無理だと思うな」

「スカイのスキルレベルが低いからかもしれないし」

「僕には病気には思えないんだ」

「遅かれ早かれ、生きているんだから、寿命はあるよ」

「!エリクサーなら」

「ちょっと待っ…行っちゃった」


 すぐに出てきて、そのまま床に座る。

「世界樹の葉が足りない…」

「落ち着いて、朝ご飯にしましょう?」


 なかなか手をつけないマナに、ユキが手を出す。

「食べるにゃ。にゃーはまだ大丈夫。そんなにすぐには死なないにゃ」

 ユキの笑顔を見て、やっと食べ始めた。


「私、黒竜さんの所に行ってくる」

「僕もついて行こうか?」

「それはだめ。ユキの主は私だもん」

「…そうだね。師匠もそう言うと思う。でも、無茶を言われるかもしれない」

「それでも、ルードに頼るのは違うと思うから、ごめんね」

「マナ…本当はこんな事言いたくないけど、寿命は天命だと思う。けど、マナは…僕も、ユキを失いたくない」

「ユキは、必要だと思う。多分その為にアカツキが来て、私の錬金術のレベルを上げる事になったんだと思う」


 根拠はない。だけど神様は、こうなる事を知っていたんだと思う。

 私は、ユキに言われていたのに、努力してこなかった。

 心のどこかで、甘えがあったのだと思う。あるいは平和ボケしていたか。

 悔やんでも仕方ない。とにかく頼んで、世界樹の葉を貰う許可を得ないと。


 黒竜の住み家。世界樹の麓まで亜空間移動した。

 世界樹前の広場で寝ている黒竜に近づいて、挨拶してみた。

「起こしてごめんなさい。世界樹の葉を貰ってもいいですか?」

 黒竜は私を見て、人化する。

「いい訳ないでしょう。私はこの世界樹を守る為にここにいるのですから」

「お願いします!ユキを助ける為に、エリクサーを作らなければならないんです!」

「あの子に頼らずに一人で来たのは一応評価しましょう。しかし、そう簡単に作れる物ではありませんよ?」

「魔宝石…私が作りました」

 アカツキの為の魔宝石を渡す。

「なるほど…では取り引きをしませんか?私からの要求は、あの子を自由にすること。眷属からの解放です」

「それは…できません。何よりルード自身が望んでいません」

 他に、私が出来る事は…

「…何ですか?それは」

「土下座は、普通に頭を下げるよりもより礼を尽くした形です」


「はぁ…もう色々面倒ですから、他の者と同じ方法で行きましょうか」

 黒竜が竜に戻る。

(神の加護があるならそう簡単に死にはしないでしょう。私を納得させる戦いを見せてくれたら、世界樹の葉をあげます。戦いの準備をして、全力でかかって来なさい)


 覚悟はしてたけど、ラスボス感が半端ない。黒竜の体が光って広場全体を包む。


 看破 竜鱗結界 上位竜が持つ結界で、内からも外からも破壊不可能


 ああ。これはきっとルード対策だな。戦いが始まれば嫌でも気づく。あくまでも私の力を試すための物だろう。

 体が成長して、あの最強の鎧は作り直した。死ぬ訳にはいかない。私が持っている最強の戦力で作戦は、いのちだいじにだ。


 マナは、ルードより遙かに大きな竜に相対し、愛用の短刀を構えた。




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[一言] マナ、頑張れ!!。
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