リバーシと、ユキの不調?
パタン、パタパタ。
「あ!そこは…マナ酷い!」
ふっふっふ。勝負の世界は非情なのだよ。
何をしているか?リバーシである。ルードがどこからか買ってきたので、ルールを知らない眷属達にも教えて、今はスカイをコテンパンにした所だ。
「ふふん。どう?」
「どうって…置ける所ないよ?」
「そういう時はパスって言うんだよ」
買ってきた本人はどうしたかというと、私に惨敗してふて寝している。
スカイも、ほぼ白い盤面に手を出せないでいる。
「降参」
「私が一番!」
ルード以外は初心者だからちょっと可哀想だけど、家族とか従姉妹の間でも、私は負け知らずだった。
「ふっふ。精進したらまた挑んで来るがいい」
その後、リバーシがちょっとしたブームになったけど、私に挑んで来る猛者はルード位だ。だけど負けてあげない。
何なら、トランプで私に挑んでもいいんだよ?まあ、紙が貴重なこの世界にはないけど。
おやつの干し芋を出して囓っていたら、ルードがもの欲しそうな顔してたからあげようとしたけど、ジャーキーがいいって言われた。
「それなら収納庫に…あれ?いつの間になくなってる?」
「随分前から無いよ?」
「そうだっけ。ごめん。作ってくるね」
マナがアカツキと一緒にスマホの中に消えると、スカイがリバーシを出してきた。
「マナが戻る前に、またやろう!」
「スカイはすっかりはまったな。ルビーもやる?」
「そうね。1回位マナに勝ちたいわ!」
「にゃーは飽きたにゃ」
ユキは、もふもふクッションの上で丸くなる。
「ユキ、最近だらけ過ぎてない?」
「今日は狩りに行く気分じゃないにゃ」
まあ、獲物のストックはまだあるからいいけどさ。
マナがリバーシが得意で凄く強いから、僕達もマナがスマホの中に入っている間に、少しでも強くなりたくて頑張っている。
つまる所狩りに出ていない。ユキの事は責められない。
師匠の所に行くのもご無沙汰になっている。不味いな。
リバーシは僕が買ってきたけど、少しは自制すべきかな?
マナが戻ってきたので、僕達は何食わぬ顔でリバーシを仕舞った。
「明日にはジャーキーできるからね。いっぱい作ったから、狩りに行かない?ベーコンも作ったから、ハイオークも補充しておこう」
「もう夕方よ?明日にしたら?」
「2~3匹だからすぐだよ。ルビー母さんは、夕ご飯の用意お願い」
「僕と…スカイは時間的に厳しいかな?日も短くなったし。ユキは?」
「ん…ルビーの手伝いするにゃ」
ルードと二人で狩りに出た。
「最近ユキ、元気ないよね?」
「さあ?元々ユキは気紛れだし」
「パスからは異常は感じられないから、単に気分が乗らないだけかな?」
とはいえ、そんなに細かい情報まで伝わってくる訳じゃない。
町に出た時に、ユキの玩具を見繕ってみようかな?
現れたハイオークを、銃で狙い打つ。とはいえ、火薬で弾を出している訳ではないので、大きな音は出ない。
魔道具として作ったので、ただ魔力を流すだけだ。
分離で液体金属を取り出して、収納庫に入れる。
ミノタウロスの生息地はちょっと離れているので、威圧を使いつつ進む。
はぐれのミノタウロスを倒した所で、強い気配を感じた。
「蛇丼!」
「…マナ、あれはブラッディーバイパーだからね?」
10メートル超えのブラッディーバイパーは、滅多に出会えないご馳走だ。
それだけにかなり強いけど、ルードもいるし大丈夫。
「蔓拘束…うわ?!」
魔法の発動より速く、ブラッディーバイパーが体を鞭のようにしならせる。上方に弾き飛ばされたけど空間跳躍で戻り、ソニックウエーブを放つ。
残念ながら硬い鱗を貫通できなかったけど、タイミングを測っていたルードの剣が、力任せの攻撃で頭を落とした。
「怪我はない?」
「もう治ったよ」
打ち身は腫れたりする前に、治っている。
「大物がいたからミノタウロスは逃げたかな?」
「まあ、逃げ遅れたのを狩れたし、良しとしとこう」
ミノタウロスより蛇の方が美味しいし。
大物の血抜きをしてたから、遅くなってしまった。
今日の献立は、魚の煮付けと海草サラダだ。
ユキが出掛けた時と同じもふもふクッションの上でじっとしていたから、ちょっと心配になったけど、普通に甘えてきたから、もふもふしてあげた。
「ユキ?今日はブラッディーバイパーが狩れたから、明日は蛇丼にしようね!」
「うにゃ!生でも食べたいにゃ!」
私は火を通すけど、生はかなり美味しいらしい。




