ゴーレムと新しい依頼
アカツキの制御核を見てて、何となく分かった。
やっぱり魔宝石を備える事を前提に作られている。そして少なくとも私には、アカツキみたいなゴーレムは作れない。
ツリーハウスを守る為に魔物が近づいたら反射的に攻撃できる位なら作れなくもない…かもしれない?
あれ、でも私達にも攻撃しちゃうかな?
むう。役立たずだ。
紙を束ねて作ったノートをしまい、亜空間に戻った。
「ああ、マナ。丁度今、依頼が来たんだけど」
ニンセン国からの依頼で、制御を失ったゴーレムが100体近く暴れ出した。可及的速やかに向かい、破壊を手伝って欲しい。
「やっぱり亜空間移動ばれてるかな?」
「多分」
「今の所ギルドにいいように使われているだけみたいだけど、どうする?」
「王のメダルを持っているから、無茶は言えないのか。それとも神の怒りが怖いか」
「私達は自由に暮らしているだけなんだけどね?」
それだけに、アカツキの事は不思議だけど。
「確か物凄く遠かったよね?」
「アズバンは覚えてる?」
マナは、首をかしげる。
「カレーの実」
「あ!思い出したよ!リルのいる国だね!」
「やっぱりマナには、食べ物情報と一緒に思い出させた方が早い」
「むう…」
悔しいけど、何も言い返せない。
「アズバンからは、船で二日で行ける。無用な犠牲者を出さない為にはそれが一番速い」
「試されているみたいで、やな感じ」
「そう思うなら、一ヶ月後でも。僕としてはどっちでもいい。大体、事件の発端だって、制御出来ないゴーレムを生み出してしまったのが原因の、完全な自爆行為だし、自業自得」
ルードは本当に興味なさそうだ。100体のゴーレムなんて、下手したら国が滅びるレベルだよね?
悪いのは、それを作るように命じた人と、あとは…確かキムノア国だっけ?二つしかない島国で、お互い一触即発状態な事。
アズバンとはどうか分からないけど、どっちのトップも外交下手だな。
じゃなくて、キメラじゃないなら、勝手に死んだりしないよね?
これって危ない状態?トップが死んだら、キムノア国はあっという間に制圧しそうだな。
そうじゃなくても、その国の住人達はほぼ無関係なのに、被害に遭いそうだな。
「ルード、私…行こうと思う」
「なら、眷属達を呼んで、まずはアズバンに亜空間移動だね」
「待って。騒ぎを鎮めるだけなら、アカツキがいれば充分だと思う」
「逆にアカツキを攻撃されかねないよ?」
「縮小化のスキルがあるから。今は魔力も充分にあるし、体はマントとかで隠せば行けるし」
「焦らないで。マントだって人サイズじゃ合わないし、まあ、暑い国だからユキとスカイは役に立たないかもしれないけど」
ルビー母さんを呼んで、早速アカツキの為にマントを作ってもらった。
確かに人とは違う。ずんぐりとした何かに見える。
アカツキに聞いたら、人が作ったゴーレムでも、従えられる可能性があるという。従えられなくても、少し動きを止める位なら問題ないそうだ。
その間に、制御核を破壊するか、抜いてしまえばいい。
とりあえずみんなでアズバンに行って、外に出てみる。
「マナ、やっぱり暑いけど、人化してれば大丈夫そうだよ」
「にゃーは、無理そうにゃ」
「いいよ。仕方ないし」
ただ問題が一つ。ゴーレムが暴れている事が知られていて、船は出せないそうだ。
「仕方ない。僕が飛んで行ってゲートを開けてくるよ」
ルードが降りられるような広い場所があればいいけど。
縮小化は、結構魔力を使う。魔宝石を使っていても、たまに補充が必要かな?
そう日数はかからないだろうと、あまり準備はせずに来ちゃったけど、ルードが戻るまで折角だから買い物しようかな?
港町だからか、海苔の他にも海草も売っている。
海苔はこの前の手巻き寿司で殆どなくなったから、買っておこう。
「すいません、これって何ですか?」
「それは小エビをすり潰して小麦粉と一緒に焼いた物だよ」
乾燥してないえびせんみたいな物かな?ルードとユキの分も買おう。
海老の香りが食欲をそそる。スカイとルビー母さんと一緒に、その場で頬張る。美味しい!でも、醤油かソースを付けたらもっと美味しいかも?
小エビの乾燥した物が売っていたので、たくさん買った。
釣りじゃ釣れないから、こういうのって網とかで捕るのかな?
今度試してみよう。
この国は暑いから、ここでなら泳げるかも?依頼が終わったら泳いでみようかな?
買い物しているうちにルードが戻ってきたので、一旦亜空間に入った。




