表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/242

温水プール

 温水プール、作っちゃいました。

 とはいえ、土魔法で作ったもので、細長い。

「長いお風呂にゃ?」

「これはプールだよ。泳ぐ練習をするんだよ」

「無理にゃ!沈むにゃ!」

 すごい拒否反応。…ユキは無理かな?

「ルビー母さん、人化しないとだめだよ」

 蜘蛛の体が浮き輪みたいになっている。そのまま浮かんでいるのも楽しそうだけど、人前では無理だ。

「スカイも、水浴びしてないで、人化して泳ぐんだよ」

 水着が少しきつい。多分今、140センチ位はあると思う。

「ルビー母さん、水着がきつくなった。それと、ルードとスカイにも作ってあげて?」

「前に作ったみたいなのでいいの?」

「うん。今すぐじゃなくていいよ」

 

 パンツ一枚で、泳いでみた。スマホ内の海では普通なので、特に躊躇いはなかった。

「全く…大人ぶってる割には。少しは羞恥心も持ったら?」

「あらいいじゃない。ここには眷属しかいないんだし」

 ルビー母さんは、眷属の前でも羞恥心持った方がいいと思う。

 私はまだぺったんこだから、あんまり恥ずかしくない。パンツははいてるし。まあ…最近は微妙にその辺も成長してるけど。


 次の日。プールに温水を入れていたら、スカイが着替えて出てきた。

「ぶっ…な、なんて格好してるのスカイ!」

「え?水着…これ違うの?」

「それ女の子の水着だよー!ルビー母さん!」

 20代男性のワンピース水着なんて、誰得?


「どうしたの?」

「あのね、男の人の水着は、ズボンが短い形なんだよ」

「そうなの?じゃあルードの水着も作り換えないとダメね」

「ごめんなさい。私がちゃんと言わなかったから」

「いいのよ。マナのも新しいの作っておいたから、着てみて」


 おお!紐の所にリボンが付いていて可愛い。


「マナ、今度は変じゃない?」

 ルビー母さん作るの早っ!

「うん。あれ?ルードは泳がないの?」

「魚いないし」

 じゃあ私一人でスカイとルビー母さんに教えるようじゃん。

 まあいいけど。

 

 胸が浮くって本当なんだ…。

「なあに?マナ」

「あ、ううん。浮けたらこう、手と足を動かしてみて」

(マ、マナ!…)

 あ、スカイがまた沈んだ。

 勘が悪いというか不器用というか…。スカイは時間がかかりそう。

「少し休む?」

「マナ、僕も見学でいいかな?」

 諦めるの早!

「泳げるようになれば楽しいよ?」

「うーん…」

「スカイの好きな魚も活きがいいの食べられるよ?」

 まあ、釣りを教えてあげるっていうのもいいかな?

 

 ユキは、木の上からその楽しそうな様子を眺めていた。

 最近少し、体が億劫で疲れやすい。そんな素振りは見せないようにしているけど。

 何かの病気ならマナが気がつくはずだし、本当にそれだけだから、言いたくない。


 ほんの少しの違和感。ユキは頭を振って不吉な考えを吹き飛ばした。


「ユキ?僕達は狩りに行く?」

「行くにゃ」

 

 アカツキが魔法を扱えるようになって、今までの戦力バランスが崩れた。

 悔しいけど自分の体にマナをしまえるので、マナを守る力はアカツキの方が勝っている。せめて戦闘技術では負けたくない。

 ユキを誘ったのは暇してたからだけど、水を克服出来ないのは、悔しく思っているだろうと思ったからだ。


 アカツキの為に魔石もたくさん使ってしまったみたいだし、それなら自分達で集めてやればいい。

「マニャは海に行きたいのかにゃ?」

「海には海の魚がいるし。スマホの中にも海はあるみたいだけど、きっとみんなで行きたいんじゃないのかな?」

「うにゃ…」

「ユキはもふもふなんだから、いいんじゃないの?」

「マニャは優し過ぎるにゃ」

「ユキは、少なくともスカイより役に立っていると思うけど」

「にゃーはもっと料理を覚えるにゃ」

「その意気だよ」


 負けたくない。誰にも。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ