収穫祭
ツリーハウスに戻って、早速準備を始めた。
正確な日にちとは違うけど、みんなで楽しめるなら別にいい。
「今日の夕ご飯はお祭りメニューだから、楽しみにしててね!」
お祭りメニューといえば小麦粉だ。マナは農園に入って、予め作っておいた小麦を収穫して、製粉機に入れる。それだけで袋入りの小麦粉が出てくる。
ゲームは楽でいいな。
あとは蛸を採ってくればいい。
水着に着替えて海に入り、沈めておいた壺に入り込んでいた蛸をゲットした。
その他にも、イセビーとか数種類の蟹を捕まえる事が出来た。
ついでにワカメも収穫して、海から上がる。
アカツキには釣りを頼んでおいたので、バケツの中をチェックしてみる。よし。イカも釣れている。
ドライで乾かして着替えたら、マナも釣りだ。イカ焼きの他にもイカ焼きそばも作りたいからたくさん必要だ。
あとはジャガバターと、ああ。マヨネーズも必要だね。
ソースはルビー母さんにお願いしてあるから、あとは…キャベツはいつも多めに収納庫に入っているけど、一応種を買っておこう。
「アカツキ、しばらく釣りをお願いね」
アカツキは運の値は普通なので、マグロは滅多に釣れないけど、念の為に大型のバケツも用意してある。
そういえば、たこ焼き用のプレートをまだ作ってなかったっけ。
ホットプレートの魔道具はもう用意してあるので、たこ焼き用を…一応2枚作っておこうかな?大食い君の為に。
それが終わったらリンゴ飴だ。残念ながら小さいリンゴは無いけど、仕方ない。
うん…まだお昼位だな。ならポーション作りしよう。
鉱石からアクセサリーを作る方が値段は高いけど、錬金術の腕を上げたいからね。
図鑑も、随分埋まってきた。オリジナル作成したものは、いつの間にかページが増えていたりする。
帰り際に熟成小屋に寄って、ベーコンを回収して、新しいバラ肉を置いておく。ハムは…まだ大丈夫だね。
海岸に、アカツキを迎えに行ったら、マグロが一匹釣れていた。やった!
「時間早めだけど、帰ろうか」
戻ると、ユキがうどんを作っていた。
「焼きそばの麺は終わったの?」
「終わったから、うどんも作っていたにゃ」
「マナ?僕も手伝える事あるかな?」
「なら、キャベツをみじん切りにして」
ルードにキャベツを渡して、マナはイカの下処理をする事にした。
「マナ、僕は?」
スカイは…うーん。
「ルード、スカイと代わって、イカの下処理手伝って」
「細かく切ればいいんだよね?全部?」
「一つは焼きそば用だから、それ以外」
お好み焼きには、たくさん必要だ。
「そろそろ焼き始める?」
「うん。イカ焼きは作っちゃおう。牛串とベーコン串も」
マナは、切ったスダコを、蛸にまぜる。ハズレのロシアンたこ焼きだ。
それと、余ったベーコンも細かく切った。あ、チーズもいいよね。
外もいい感じに暗くなってきた。
「そろそろ収穫祭、始めようか?まずは花火だよ」
「花火って何?」
「まあ、見ててよ」
マナが指さす方を皆見る。
ドンッと音がして、花火が上がった。勿論マナの創造魔法だ。
「に″ゃっ!」
あ、ユキの尻尾が太くなった。
「ごめん、大きな音で驚いたね」
「マナ、あのきらきらが花火?」
「火魔法から作ったんだよ。どんどん行くよ!」
思い出す限りの花火を打ち上げる。
「たーまやー」
「え?何?」
「花火を見る時に言うお約束の言葉。まあ、細かい事はいいの」
ナイアガラの滝を出して、最後はスターマインで終了。
「綺麗にゃ…もう終わりにゃ?」
「お腹空いたし、とりあえず食べようよ」
たこ焼きは、自分達で焼きながら適当に具材を入れていく。
「えっ?!酸っぱい?」
「ふふふ。只のたこ焼きじゃ面白くないから、ハズレも入れたんだよ」
あ、これスダコだ。思ったよりも酸っぱい。梅干し位の酸っぱさだけど、いい感じに口の中をリセットしてくれる。
「葡萄酒もあるよ」
私はコーラだけど。
「ユキとスカイは…大人?」
「大人だよ。お酒を飲むのは初めてだけど」
「にゃーも飲んでみるにゃ」
私一人がジュースなのが少し悔しい。ルードとルビー母さんは普通に飲んでいる。
「ピー?ピエッ!」
スカイの人化が解けた。混乱してうろうろしている。
どうやら酔ったみたいだ。まだコップ一杯なのに。
ユキは変わらないかも。ルビー母さんもルードも。
やっぱりスカイはスカイだった。
「もう、お腹いっぱい」
色々少しずつ食べてたつもりだけど、もう限界。
ルビー母さんもルードもいるし、残る事はないだろう。
「眠いにゃ…」
「私とユキ、先に寝てていい?」
「いいわよ。後片付けもやっておくから」
「お願い…ほら、スカイも寝よう?」
「…ピ」
これぞまさしく千鳥足。ふらふら歩くスカイを抱えて亜空間に入った。
今日は楽しかった。自分の魔法だけど花火も見られたし。
夏は過ぎちゃったけど、花火大会とかいいよね。やりたいな。




