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ギルドへの報告

 ツリーハウス周辺も、すっかり秋の装いだ。秋といえば去年は楽しかったな。収穫祭。

 もうお酒は懲りたけど、みんなもそれぞれの場所でお祭りを楽しむんだろうな。

「ねえ、ルビー母さん、今年は私達だけでお祭りしない?」

「は、いいけど、そろそろギルドへの報告の時期だよ?忘れない?」


 あー。干し柿とか作っている間に忘れる所だった。

「えへへ。冬の準備に追われてて忘れる所だった。ありがとう、ルード」

「あ、王都に行くなら僕も行くよ」

 ああ。ガラクタ…じゃなくて、芸術?作品を売りたいんだね。

「ルビー母さんとユキはどうする?」


「にゃーはお留守番してるにゃ」

「母さんは食料品を見て回るわ」


 ユキを残して、亜空間移動した。


 ギルド本部に入ったら、速やかにグランドマスターの所に案内された。

「遅い!」

 あーもう!大きな声出さなくても分かっているってば!

 因みにここにいるのはルードと二人だけだ。スカイ達とは門の所で別れた。

「ええと、長く家を空けていたから、魔物に家を壊されてて…大変だったんです」

(おやつ作りに夢中になってたからなんて言えないよね?)

(ルードの意地悪)

 その通りだけど、亜空間移動を知られる訳にいかないし。

「そりゃ災難だな。何なら、ここ王都に住むか?魔の森なんて危険な所に住んでないで。お前らなら、稼ぎもいいから余裕で住めるだろ」

「それは嫌」

 何しろ私達には秘密が多いからね。


「そうか?まあいい」

 主にルードが説明してくれた。最後に拾った(パクった)発動基盤を出す。

「暴発事故の時に見つけた発動基盤ですけど、折れたりしてるから無駄になっちゃうかもしれませんけど」

「ふむ…分からん。これは専門家に任せる。ありがとよ」


「それより、サマルカンドに結界が張ってあるなんて聞いてなかったんですけど!」

「そうだったかな?まあ、お前さん達が通れないなら、誰も通れないからな」

 おっさん、とぼけたな。

「むう…私達の事、いいように利用してません?」

「ギルドを運営していくなら、使える者は親でも使うのさ。で?エルフの国はどうだった?」


「モーモーがいた!モーモーはね、牛乳をくれるんだよ!凄く可愛いの!それをチーズにして売ってるんだよ!」

「…お、おう?」

「マナ、そういう事じゃないから。ワイバーンは

エルフ達の従魔でした。トラス皇国からも圧力をかけられていて、危険な状態ですね。幸い、ワイバーンを撃つ魔道具が壊されたので、すぐにとはいかないでしょうけど」

「…あ?壊された?」

 そういう所は聞き逃すもんだよ。おっさん。


「はいはーい。壊したのは私。もちろん事故を装ったよ?でも命中率悪いから、届いても当たらなかったし」

「はあ。あんまり無茶するなよ?…ワイバーンまで届く大砲の魔道具か。そりゃ軍事的にも脅威だな」

「撃った人はみんな、命中のスキル持ってないんだよね」

「そうだな。マナは持ってそうだな?」

「小さい頃に取れたよ。木材とか投げて」

「ああ、さすが野生児だな」

「もう児はやめて下さいよ!10歳なんだから立派なレディーだもん」

「ぶはっ…」

 二人して盛大にむせて、失礼な。

「マナ、とりあえず話が進まないからね?」


 おっさんとルードで、難しい話はまとめて、結局依頼は成功って事になったけど、私としてはモーモーの魅力を伝えて、生育する話もしたいんだけど。

「それで、モーモーは…」

「チーズが旨いのは認める。だがテイムのスキルはそう簡単に取れるもんじゃない。それにコッコと違って図体がでかいから、少なくとも王都では難しいな」


 残念だけど、仕方ないよね。

 ギルドを出て、二人を探す。どうやら一緒にいるみたいだ。

「見て、マナ。あのダンジョンで採れた獲物みたいだけど、マナが前に採ってきたのと違うみたいなの」

 脚だけなのは仕方ない。ドロップアイテムだから。

 あれ?でも色が…


 看破 スダコ 酸味のある蛸。


 ああもう。これだから異世界ってやつは…。


「とりあえず買うよ。お祭りにたこ焼きは欠かせないからね」

 あとはお好み焼きと、アイスもいるよね。イカ焼きも食べたい。それとリンゴ飴!

「ふふふ。色々作ってつまむのもいいわね。腕が鳴るわ」

(ルード、ルビーがマナみたいになってるよ?どうしよう)

(…似た者親子?)

 だから、聞こえてるっつーの。


「スカイの用事は済んだの?」

「あ…うん。終わった…良く分からないけど、もう買い取りはいいって」

「スカイ…芸術なんてそんな物だよ?理解してくれる方が少ないよ」

「そう。普通はガラクタとしか見えないからな?」

「ルード!…とにかく、生前は全く理解されなかった芸術家もいるし」

「あら。やけにしょんぼりしてたと思ったらそういう事だったのね?自己満足で終わらせておけば良かったのに」

「うう…いいんだ。きらきらは元々、見て楽しむ物だから」


 ちょっと可哀相だけど、仕方ないよね。前世でだって、首をひねりたくなる物が芸術って呼ばれてたし。


 


 



 


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