表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/242

旅とギルド

 ここは夢の中だろうか?

(ごめんね、マナ。まさか私に係わりのある者が君の平穏を壊す事になるなんて)

 光ってて何も見えないけど、神様…?

(別に神様のせいじゃないです。それより、色々ありがとうございます)


 目を覚ますと、ルードが不思議そうに首をかしげていた。

(さっき、強い神気を感じたんだけど…マナ?)

(神気って?)

(マナは何も感じなかったのか。母様の所かな?)


 亜空間から外に出ると、空がうっすらと白んでいた。

(娘、お前は神の関係者かえ?)

(いや別に、関係者ではないと思いますけど)

(先程神の声が聞こえた。娘の自由を奪うなと。何百年ぶりの神の声か。お前が何者かは分からぬが、神が気にかけている者を拘束する訳には行かぬ。今すぐ魔の森に返そうか?)

(いえ、歩いて帰ります。ルードが…ええと、あなたのお子さんが送ってくれるそうなので)

(そうか?魔の森は遠い。遠慮は要らぬぞ)

(本当に、大丈夫です!)

 あんな思いする位なら、何日かかっても、歩いて帰った方がまし!

(魔の森に住んでいるんだ。あそこも魔素が濃いから、強い魔物が多いだろう?)

(うん。ミノタウロスは美味しかったねー)

 皮は固いのに、中の肉は程よく筋肉質で、サシも入っていて、次に食べる時にはステーキソースを自作した程だ。

(この辺にもいるから、旅の間の食料用に狩っていく?)

(おー!それは嬉しい!私にも戦わせてね!)

(大丈夫なの?)

(重力波を頭に当てれば脳みそが麻婆豆腐になるから、意外と楽に狩れるよ?)

(…本当に5歳児?)

(正確にはまだ4歳。あと少しで5歳だよ)

(えええ…)

(私には前世の記憶があるの。ここと違って魔法のない世界だったけど、知識はあったから、ポイントで全部の魔法を覚えて、生後間もなくから魔力操作の訓練していたから、魔法に関しては自信あるよ)

(は?…ポイント?前世?良く分からないけど、マナが強いのは分かったよ)

(ううん、私はまだ弱いよ。ルビー母さんには全く敵わないし、ルードも強いでしょう?)

(そりゃあ僕は、ドラゴンだからね。半人前とはいえ、人に負けるほど弱くはないよ)


 久しぶりのミノタウロス戦!軽いレベルアップ酔いは感じたけど、以前程じゃない。それに殆どルードが狩っていたし。

 10匹近く狩って、血抜きだけして収納庫にしまった。

 一匹はルードがつまみ食いしていたけど、魔石は出したので、頂く事にした。

(マナ、余っている武器はない?そろそろ人の姿をとっていないと、騒ぎになるからね)

(作るよ。希望の武器は?)

(え…作るって、今から?)

(しばらく待っててくれればいいよ。そんなに時間はかからない)

(なら、長剣で…!ええっ?!消えた…マナ?マナ!)

 ミスリルは多くストックしてあるので、簡単に作れた。それとステーキソースを作って、外に出た。

「うわ?!…マナ、良かった」

「すぐに戻るって言ってたじゃん?これでいい?」

「ミスリルの剣?これってかなり高価なんじゃ?」

「このスマホは、私のスキルでもあるの。そのゲームの中に入れて、中で野菜や果物も育てているし、ミスリルも採掘で採った物だから元手はかかっていないよ」

「…その小さな板がスキルで、野菜も採掘もできるって事?」

「うん。ルビー母さんもスカイも中に入れなかったから、中を見せてあげる事はできないけど、中で実際に過ごしている時間よりも外の時間の方が遅いみたい。たまに中に入る事もあるけど心配しないで」

「…なんか色々と規格外なのは分かったよ」

「規格外?確かにスマホはチートアイテムだね。元々私のスマホだけど、神様がプログラムに介入したっぽいし」

「え…やっぱり神の関係者なの?」

「違うと思うけど、気にかけてくれてるみたい?」

「凄いね…ある意味母様より」

「凄いのはスマホだよ。私は普通」

 謙遜じゃなく心の底からそう思っているんだな…まさか母様以外に凄いなんて感想を抱くなんて。しかも人族の子供に。

 確かに普通の子供じゃない。しかも世間知らずで他人を疑わない。…これは僕が注意しないとダメだな。 

「これから人の町に降りるけど、マナは僕から離れないように。まずは魔石をお金に換えて、マナのベッドを買おうか」

「そっか…なんにせよ、お金は必要だよね。異世界初の町かあ…ちょっと楽しみ!」

「偽装は切らさないように。それとマントは持っている?…うん。とりあえずそれを着て、僕達は兄弟って事にしておこう」

「そうだね。説明しにくい関係だし」


 石塀の中の町に入る前に、入街税という物を払った。ちなみに4歳の私は無料だ。ルードは17歳と偽っていた。確かに見た目はそれ位だ。

 町は結構大きく、馬車も走っている。馬車の通る広い道は、石畳が敷いてある。

(こら、キョロキョロしない)

 あっという間にお子様抱っこされて、自由を奪われてしまった。

「手続きが面倒だからギルドカードを作ってしまおう」

 おお!あれは獣人かな?犬耳と尻尾が生えている。

(マナ、目!)

 いけない。ちなみに偽装をかけると茶色の髪と瞳に見えるようだ。ルードも金色の髪と瞳から、グレーの髪と黒い瞳に見える。

 思ったよりも派手な色はないみたいだな。あ、でも今すれ違った人の髪は赤かったな。

 目だけじゃなくて、薄紫色の髪の毛も目立つかもしれない。

 ギルド内は、異世界定番の作りになっている。ボードに貼られた依頼書に、カウンターにギルド職員。その向こうには買い取りカウンターがあり、反対側はちょっとした食堂になっている。

「ギルドに登録したいんだけどいいかな?僕と妹の分」

「妹さんはお幾つですか?」

「今は4歳で、もうすぐ5歳になります」

「…年齢制限はありませんけど、自己責任ですからね?」

「大丈夫です」

 水晶に手を触れると何度か光り、シースルーのボードが現れた。

「結構ですよ。犯罪歴はありませんね。お名前と使用武器をおっしゃって下さい」

「僕はルード。長剣も使うけど、魔法も使う。妹は魔法と短槍かな?それと二人でパーティー登録をしておいて」

「かしこまりました。本日は依頼を受けられますか?」

「素材の買い取りだけで」


 ルードはショルダーバッグから、魔石とミノタウロスの角を出した。結構な数だ。

「!登録したての若者が狩れる魔物じゃねーぞ?」

「家族の分がほとんどですから。金貨以下は現金払いでお願いします」

「は、白金貨3枚と大金貨一枚、金貨22枚と銀貨30枚になります」

「白金貨一枚だけこっちのカードに入れてもらえますか?」

 ルードはマナのカードを出す。

「ちょっとルード…お兄ちゃん!」

「いいの」

(買い物もした事ないだろう?色々入り用だから)

 確かに。カード払いなんて前世でもないよ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ