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トラス皇国の任務

 ルビー母さんにリーダーを任せて私とルードは透明化のスキルで後を付いていく事にした。

 スキルを持っているとはいえそんなに使っているスキルじゃないので、勘のいい人には気付かれてしまうかもしれない。まあ、気配隠蔽のスキルも持っているから大丈夫だとは思う。


「ふん。たった三人で何ができるか分からんが、邪魔だけはするなよ」

 まあ、みんなそこそこ強いとは思う。ただ、グランドマスターのおっさんの方が強いな。どちらにせよ、私達の敵じゃないけど。


 マナは、荷車に乗せられた大砲みたいな魔道具を観察する。

 分解したいな。駄目だよね?少なくとも今は。使われている所も見ておかないと。


 出発したけど、誰も私達に気がつく様子はない。

 それにしても扱いが酷い。スカイなんかは雑用係だ。

 ルビー母さんはやっぱりモテモテで、でも嫌なのか、適当にあしらっている。 

 それでも煩いので、今は威圧を使っているみたいだ。

 

 歩いて一日半。ワイバーンが見えてきた。国境に近づくとワイバーンが威嚇してくる。

 ユキ達は、後ろで見ていろと言われたので、素直に言う通りにしている。

 無詠唱を使える人はいないのか、詠唱待機で魔法を使っているけど、威力が落ちるから、ワイバーンへ決定的なダメージは与えられていない。


 魔道具に魔力を流して大砲を発射するけど、命中率が悪くて当たらない。けど、射程圏内だ。

 因みに国境の結界に当たっても、弾が消滅してしまう。

(何か分かった?)

(さすがに発動基盤が見られないと、分かんないよ。ただ、恐ろしく魔力の消費が激しい事位かな)

(それは見れば分かる。魔術師が一人二発しか打てないし)

(ね、この魔道具壊していい?)


(そうしたら、何も分からないままじゃないかな?)

(出口付近で暴発させる。じゃないとユキ達が魔道具に魔力提供させられそう)

(僕も聞いた。スカイはともかく、ユキの魔力は…)

(やるよー!)

(ちょ…!まだ早っ!)

 発射口を結界でふさぎ、魔力の出口を塞いだ事で、大砲は爆破。ルードはマナをつかんで後ろに飛び、爆風から逃れる。


(たーまやー)

(は?何言ってんの!危なかった自覚ある?)

(ルードこそちゃんと見てよ。二重に結界張ってるでしょ?)


 マナは、飛び散った破片から、お目当ての物を見つけると、収納庫に仕舞った。

 さすがに怪我人は治してあげたけど、唯一の武器が壊れて右往左往している。

「ちっ…作戦は失敗だ。おい冒険者!お前達も仕事をしろ!」

「無理にゃ。魔法が届かないにゃ」

 精霊魔法なら届くけど、それを見せるつもりはない。

「いいじゃないの。この近くに町もないみたいだし。それとも国境の向こう側のワイバーンを討伐しなきゃならない理由でもあるのかしら?」


「お前達への依頼は失敗に終わった!それでいいんだな?」

「構わないにゃ」

「そうね。ユキの言う通りよ。国の依頼で来た私達を雑用係扱いして、先に不要だって言ったのはどちら様?」


(ルードの亜空間入れて)

 別にこの場で確認してもいいんだけど、置いてけぼりは嫌なので、移動中に少しでも解析できればいいなと思った。


 大きな絨毯だけがある広い空間。マナは収納庫から魔石で書かれた記号を解析しようとするが、さすがに形が変形したり、折れて無くなっている部分もあるので、すぐには解析できない。

 それにこれは他にない魔道具なので、他と比較する訳にもいかない。

 マナは魔道具も自作するが、本職じゃない。あくまでも見ようみまねなので、分かる範囲だけを紙に描き写す。


「うん…この部分で飛ばしているのか。でもこれだと、エネルギー変換してないからどうやってあの飛距離を出したのかな…」

 スマホで調べながら、紙に書いておく。ギルドに出せば詳しい人が調べるんだろうけど、今はこれ以上無理かな。


 王都に戻って、作戦失敗を告げると、隊長はカンカンに怒って、何故かルビー母さん達も怒られていたけど関係ないよね。

 むしろ悪いのは私だ。魔道具を壊したんだから。

 見えようがないんだけどさ。


 私としては、ギルドの仕事をやり遂げた位の感覚しかない。

 だって結局、命中率悪くて当たらなかったし。それにあのワイバーンは従魔だし。


 ギルドに戻って報告したら、本部で報告して欲しいと言われた。

 まあ、特に発動基盤は見つかったら不味いもんね。

 で、結局依頼は失敗なのかな?だとしたら初めての依頼失敗になるけど。




 


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