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ぐにぐに金属

 ツリーハウスに戻って、私はぐにぐに金属を研究してくると言って、農園に入った。

 アカツキにぐにぐに金属を見せて、制御核と魔晶石も移してやる。

 しばらく戸惑っていたアカツキが、モゾモゾと動き出す。スライムみたいだ。

(魔力ノ通リハ魔鉄程度デス。体モ好キナヨウニ変形可能デス。…練習ハ必要ソウデス)


 そりゃそうだ。アカツキはしばらく這いずっていたが、そのうち一部を硬化させたり、人型になったり、四つ足になってみたりし始めた。

「付与を付けるとしたら、何が必要かな?」

(コノボディハ、戦闘向キデハナイトオモワレマス。敢エテ付ケルナラ、術式制御デショウカ)

「大きさは?というより質量?どれ位までなら制御できそう?」

 マナは、今のアカツキを覆っている鍋一つ分位のぐにぐにごと、樽の中に入れてみる。


(コノ樽一ツ分位ハ制御可能デス。タダ、ソレ以上ハ難シイデスネ)

 まあ、戦闘向きじゃなさそうだし、いいかな。

 マナは、樽の中身に付与をかけて、少し考えた。

「とりあえず、その中身は好きにしていいから、自分でも色々使ってみて?」


 縮小化のスキルには、魔力がかかる。でもこれなら他の眷属達とコミュニケーションを取りやすくなるかもしれない。

 大きなアカツキは、基本動かないのだ。


 ぐにぐに金属は、手触りが柔らかいけど、ざらつく。怪我するほどじゃないけど、不純物がたくさん詰まってそうだ。

「練成」

 げ。練成したら、液体になった。これは使えない。

 出たスラグと合成し直すと、元のぐにぐに金属に戻った。

 簡単に利用できる方法が見つかれば、あんな風に捨て値で売ったりしないよね。


 考えながら椅子をくるりと回して後ろを見ると、アカツキが人型ロボットみたいになっていた。そういえば昔、あんなキャラクターが出てくる映画、見た気がする。

 その状態で体を動かしたりしていたが、急に身長が縮んで顔の輪郭がはっきりして、髪形まで…ええっ?!それって…

「アカツキ、それって私?」

(主ノオ姿ヲ再現シテミマシタ)

 …ないわー。自分そっくりのアンドロイドがいるみたいだ。というかホラーだわ。夜中に起きたら、幽霊と勘違いしそうだ。


「…ごめん、アカツキ、私だけはやめてね」

(モウシワケアリマセン。ドノヨウナ姿ガヨロシイデスカ?)

「アカツキのままでいいよ。アカツキは充分役に立ってくれてるよ。特に農園には、眷属達も入れないから、すごく助かっている」

(本日ハ、作業ハヨロシイデスカ?)

「うん…アカツキは、海には入れる?」

 アカツキは戸惑っているみたいだ。

「こっち、付いてきて」

 アカツキと一緒に砂浜を歩く。砂浜がアカツキの重さで歩いた所が、平らになっている。

「この中に、入れる?」

(試シマス)

 マナは、水着に着替えた。

 

 水中に入ると、アカツキは必死に真似して泳ごうとするけど、どうしたって沈む。

(アカツキは、歩ってきて)

 マナは、海に住む魚について話す。エビは何故か釣れるけど、蟹は釣れないから捕まえて欲しい事。貝類や海草もだ。

 蟹に挟まれても、ミスリルボディは傷つかない。

 けど、何故かマジックバックには蟹一匹しか入らなかった。


 岸に上がって調べてみたら、海水でいっぱいになっていた。

 こういう事もあるのか。収納庫には入れたい物しか入らないから、海の中で使っても海水は入らない。

「やっぱり魔宝石か」

 魔晶石だと、魔力が完全に切れた時…普通は術者の命が尽きた時には、中に入っている物は、永遠に失われる。

 まさに時空の彼方に消えてしまうのだ。だから今の時点でアカツキに時空魔法を使わせるのは、怖い。


「ごめんね。後でだね。採掘をお願いしていいかな?」

(了解シマシタ)

 アカツキ、ちょっと落ち込んだかな?


 アカツキは、私の役に立ちたいっていう気持ちが一番強いと思う。まるでそれが存在理由なんじゃないかと思うほどだ。

 神様が何を思ってアカツキを私に遣わせてくれてるか分からないけど、役に立ちたいっていう気持ちには、応えたいな。

 その為にも、魔宝石の合成を頑張ろう。


 とはいえ、同じ作業を延々と続けるのはきつい。

 これが巡り巡って錬金術スキルの底上げになればいいなと思いながら、薬や魔道具も、魔道具作成台を手に入れたので作成する。


 図鑑を埋める為だから、基本一つずつしか作らないけど、たまに面白そうな魔道具が出てくると、自分達が使う為に作った。例えば、鍋を延々とかき混ぜてくれる棒とか、料理が冷めないお皿とか。

 料理が冷めないお皿は、前に作ったホットプレートの魔道具に似た構造で、マグカップにも同じ発動基盤を付けた。

 そして、アレンジした物を出荷すると、図鑑のページも増える。このコンプリート感が堪らない。


 眷属達は、寂しい気持ちを呑み込んで、マナの好きにさせている。

 マナが何かに嵌まると周りが見えなくなってしまうのはこれまでにもあった。ダンジョン攻略もその一つだけど、スマホの中に入られては眷属達は一緒にいる事ができない。

 マナをサポートする為に魔石を集める位しかできない。


「もっとマニャと遊びたいにゃ」

「ユキやスカイは毎晩もふもふしてもらっているじゃないか!…僕はもう、何カ月もブラッシングしてもらってない」

「頼りにされているんだからそれでいいじゃないの…私も」

 マナに甘えてられる立場じゃないのに。

「眷属になんてなっちゃったら、子離れできないわね」

「ルビーはいつか、マナが森を出る日が来ると思っている?」

「マナが誰かを好きになったら…」

「にゃーじゃだめにゃ?」


「ユキ、番は普通、異性とだよ?ていうか種族も違うから」

「うにゃ…にゃーはマニャに命を救われたにゃ!にゃーにはマニャだけにゃ!」

「僕だってそうだよ!食べられる所だったんだから!」

「スカイはペットにするつもりだったみたいだけど?」

「それって籠に閉じ込められるって事?」

「マナはそこまで考えていなかったと思うけど」

「マナ、小さかったもんね」

 

 マナ、僕達淋しいよ…


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