10歳
マンパワーが倍になると、こんなにも効率が良くなる物だろうか?
今までは全部一人でやってきたから、物凄く有難い。
えっと…まずは魔石の錬成を試してみるか。
?!ちょ…!何、これ。普通の錬成とは違う?
魔石は、物凄く繊細な物なのかもしれない。うう…私だって一応精密魔力制御は持っているんだから、頑張る!ロケットパンチはともかく、魔力タンクはアカツキのパワーアップの為に絶対必要だ。
ヒヒイロカネの錬成は問題なさそうだ。けど…チェーンは何で作ろう?凄い勢いで飛ぶ(予定だ)から、うーん。オリハルコンでいいか。
ジェット噴射じゃなくて、魔法で飛ばせばいいよね…その為の魔力タンクか…はぁ。
魔石同士を、混ぜるイメージだよね。…あー。
魔石が砕けて粉々になってしまった。
錬金術のスキルもとったのに、今まで使ってこなかった弊害か。
早くも心が折れそうだ。
釣りを頼んだアカツキの様子はどうかな?
「…あー」
たらいの中には、魚の他にも、釣り失敗の時に釣れる空き缶や長靴も入っている。
「あのね、アカツキ。空き缶と長靴はゴミだから、収納庫にまとめて…くっ」
そういえば、アカツキは収納庫を使えない。でも、私の魔力を魔石に貯められれば、それで収納庫も使えるって事だよね。
「とりあえず今は、ゴミはこっちのたらいに貯めておいてね?」
(了解シマシタ)
「よし!じゃあ採掘の仕方も教えるね」
ゲームの中の採掘は、ハンマーで鉱石を叩くだけだ。
あー…アカツキは収納庫を使えないから、とりあえず間に合わせにマジックバッグを作らなきゃ。
今回はとりあえず私の収納庫を使えばいいか。
アカツキは武器なしでも充分強いけど、全身武器のような物だからだろうか?レベル∞って事は、アカツキが魔物を倒した経験値はどうなるのだろう?
これも調べる必要があるな。
ツリーハウスに戻ったら、みんなちょっとすねていた。
確かにここの所、アカツキにかかりきりだったからな。
「本当にごめんね、みんな。でもアカツキがパワーアップすれば、役立ってくれるから」
「アカツキはもふもふじゃないのに、負けた気分だよ。アカツキも眷属にするつもりなの?」
へ?…そもそも従魔じゃないし。でき…そうもないな。
「無理そうだよ?ていうか、生物の分類にも入らないから、物に近いんだと思う」
「じゃあ、雄でもないんだね?」
「アカツキ、性別ってあるの?」
(アリマセン)
「だって。スカイ、何で喜んでいるの?」
「だってルードだけで強いライバルは充分だよ」
「スカイ、マナを独り占めなんて、絶対に許さないからな」
(ピィ…)
ルードが脅したら、スカイの人化が解けた。
「この際だから言っておくけど、眷属の中で誰が一番好きとかないから!大体私は人なんだから、竜も鳥も産めないから!」
全く、失礼しちゃう。かといって、特に好きな人もいない。
二人とも呆気にとられているけど、私、間違ってないよね。
次の日は、みんなで狩りに出掛けた。やっぱりアカツキには経験値は入っていない。一旦私の所に来て、私達5人に分配されている。
アカツキもみんなと同じ仲間なんだなと思ったら、少し嬉しかった。物には近いかもしれないけど、アカツキにもちゃんと心はあるから、仲間なんだ。
それにしても、強いな。力だけならルードを超えるかもしれない。破壊力抜群だ。素早さは…まあ、仕方ない。
今はミスリルボディなんだから、体に直接付与出来るはずだよね。後でアカツキと相談してみよう。
ミノタウロスの頭が一撃で吹き飛んだ。一応角は素材なんだけど、まあいいか。ギルドに売る位しか使い道ないし。
今日一日で、随分肉不足が解消された。
食べられないアカツキが可哀想だな。
あれ?今日は随分豪華なメニューだな。ルビー母さんと、ユキも手伝ってケーキまで作っている?
「今日はマナの誕生日でしょう?」
「…あ!」
アカツキ改造に夢中になってて忘れていた。
今日で私も10歳か。
ルビー母さんからは、少し大きめの服と、プリーツスカートを貰った。少し大人っぽいデザインだ。
ユキからは、シジミーを沢山貰った。私達が仕事に行っている間に、湖内ダンジョンに行っていたようだ。
スカイは、…物体X?きらきらの塊だ。
ルードからは、鱗を沢山貰った。うーん。こんなに貰っても…。これを扱えるような錬金術師を目指してみるかな?
「これ全部生え替わりなの?」
「体が大きくなっているから、鱗も抜けやすくなっているんだ。色々な効果が望めると思うから、使ってみて?」
まあ、面白そうではある。アカツキ改造にも役に立つかもしれないし。
「みんなありがとう!」
(主ノオ祝イ二ナニモデキズスミマセン)
「アカツキは仲間になったばかりなんだから、仕方ないよ」
(仲間…デスカ)
「うん?どうしたの?」
(イエ、嬉シイデス)
表情なんてあるわけないけど、マナにはアカツキが笑った気がした。




