アカツキ改造計画
王都に戻り、従魔用の首輪を買った。あとでベルトの部分は作り直してあげよう。
「あ、お帰りなさいませ。もふもふ家族の方々、依頼はどうなりましたか?」
「それは…あの、一応は完了したんですけど、ギルマスに聞きたい事があって」
「どうぞ、ご自由に。Aランク冒険者の方々なら、ギルマスも拒みませんから」
二階に上がってギルマスの部屋に入ると、ギルマスは書類から顔を上げた。
「おう。あんたらがもふもふ家族のパーティーか。厄介な依頼押しつけて悪かったな」
「その事なんですけど、討伐対象をテイムしてしまった場合は成功と言えるんですか?」
「は…テイムって、…ゴーレムを、か?」
マナは頷いた。
「登録はまだですけど、今は影に入れてます」
「いや、ゴーレムをテイムしたなんて話、聞いた事ないが…出してみろ」
「ギルドが潰れちゃいますよ?」
「…ああ…訓練場に来てくれるか?」
訓練場は、試合やランク上げテストも行われるので、下は地面だし、天井も高い。
「アカツキ」
マナの影から巨大ゴーレムが出てきた。
「た…確かに、赤っぽい金属製だな。まさかゴーレムをテイム出来る奴がいるなんて、言う通り想像の斜め上を行く奴だな」
そんな事誰が言ったの?…先生っぽいな。仲良しだったりするのだろうか?
「それで?とりあえずゴーレムの脅威は取り除かれた訳だけど」
アカツキは、私の横で大人しくしている。
「いいだろう。依頼完了だ。金属の素材は手に入らないが、それはこっちの都合だからな」
受付のお姉さんが腰を抜かしている。
「じゃあ、完了の手続きとアカツキの従魔登録をお願いします」
「は、はい…っ!」
「しっかし、これこのまま本部に報告しても信じてもらえるのか?どうやって従魔にしたんだ?」
「どうやってって…テイムのスキル?」
「そりゃお前さんはテイマーだが、ゴーレムってのは自然湧きもするが、魔道具の線もある。まあ、大人しくしているから、テイム出来ている事は確かなんだろうが…魔道具だったら、作った奴以外に従属する訳もないが」
「私、ゴーレムなんて作れませんよ?」
「当たり前だ!いくらお前さんが規格外でも、子供に簡単に作れる物じゃねえ!」
錬金術のスキルは持っているけど、私は本当に素人だ。
そういえば、アカツキの年齢は0ってなっていたけど、歳もとったりするのかな?
登録は無事完了したし、あとはロケットパンチが出来るようにならないか、改造してみたいな。
とりあえず制御核の大きさを確認して、ミスリルボディも作ってみよう。色は表面にコーティングすればいいよね?
制御核の大きさは意外に小さくて、ゴルフボール大位だ。それが傷つかないように、結界でコーティングされている。
「ミスリルボディはどう?アカツキ」
(多少防御力ハ低下シマスガ、問題アリマセン。魔力ノ通リモ良イノデ、同程度ノ能力ヲ発揮出来ルト思ワレマス)
よし!なら本来のボディは遠慮なく改造しよう!ロケットパンチと…ジェット噴射で空も飛べたらいいな!
(主、改造ハ良イノデスガ、新タナ能力ヲ付与スルニハソノ能力ヲ発揮出来ル事ヲ制御核二記サネバナリマセン)
「うわ、聞いてないよー!」
ていうか、当然だよね。ゴーレムの能力は、言っちゃえば、プログラムと一緒だ。
(腕ヲ飛バシテ攻撃出来レバ良イノデスカ?飛バシタアトハ、付ケ直スノデスカ?)
そっか…だよね。そこまで考えてなかった。チェーンでも付けて、巻き取れば戻って来るように出来るかな?
(ソレナラ可能デス。アトハソノヨウニ作ッテ頂ケレバ)
…あ。ヒヒイロカネの錬成。今更だけど出来るかな?
(ソレト魔力ガ必要ソウナノデ、魔力ヲタメル純度ノ高イ魔石ヲオ願イシマス)
うげ。
(放ッテオイテモ回復ハ周囲ノ魔素カラ回復シマスガ戦闘二支障ガ出テハイケマセンノデ)
うわ…問題山積みじゃん!…うーん。でもロケットパンチは欲しいよね…何より格好いい。
ミスリル鉱石も沢山貯めておいたの空になっちゃったし、採ってこないと、種が買えなくなっちゃう。
(オ手伝イサセテ下サイ)
「あ、それは無理。このスマホは神器らしいから、私以外に入れ…ん?」
アカツキも、神器だ。もしかしたら一緒に入れる…?
収納庫にアカツキを入れて、農園で出してみた。
やった!成功だ!…眷属のみんなは駄目なのに、信じられない。
とりあえず収穫と種まき、水やりと釣りを教えた。
アカツキに釣りのスキルが生えた。
「凄い!アカツキ、そういえば、アカツキはご飯を食べなくても平気なの?」
(ワタシハ、魔力デ動イテイマス。パスヲ通シテ主ノ魔力ヲ頂イテイマス。主ノ魔力ヲ溜メル為ノ魔石ヲ頂ケレバ、主ノ魔法ト同程度ノ魔法ヲ使ウ事ガ出来マス)
うわ、アカツキ超チートじゃん!その為の魔力タンクが必要か。
戻って純度の高い魔石をググッてみたら、魔石どうしも錬成可能と出た。
魔の森の魔石は元々いい物だから、作ってみようと思った。
「サマルト様、アカツキを与えて下さってありがとうございます」
本当に私は、こんなに良くしてもらっていいんだろうか?




