従属ゴーレム
ゴーレムは気になったけど、やらなきゃならない事もたくさんあるし、ちょっと気になったので、ゴーレムの事も調べてみた。
魔道具として作れるなら、ツリーハウスを守らせる事もできるかもしれない。
無理。制御核とか、どんだけ複雑なの。本当に高位の錬金術師は凄い。私なんて、説明書通りに炊飯器作るのがやっとだ。
私は細かい作業には向いていない。
スーレリアの王都に来て、ゴーレムの様子を聞いてみた。
やはり倒すには至らず、ストーンゴーレムに周囲を任せて、特に何をするでもない。スーレリアの王様も警戒してたけど、近づかない限り何もしないらしい。
ただし、ストーンゴーレムの監視網を抜けて近づくと、目からビームを発射して急に好戦的になる。
目からビームとか、ちょっと格好いいなと思ってしまったのは秘密だ。
「あの、ラズリさんも行かれるのですか?」
「何か問題が?」
「この依頼は、Aランク冒険者でも失敗しているんです」
「つまりは力不足だと?」
「申し訳ありません」
「元から彼の弓には期待してないし、大体、弓じゃ戦力にならないし」
あ、スカイが落ち込んだ。
「ただ、魔法とスキルは役に立つかなと思って」
「どんなスキル…!いえ、すみません。パーティーリーダーが決めた事なら間違いはないと思いますし」
「リーダーは、マナだ。こういう話し合いの席は僕が適任てだけだからな」
「はあ。とりあえず、お願いします」
王都跡地は、遷都してから何百年も経つからか、建物のブロックが僅かに残っている程度で、あとは緑に呑み込まれていた。
「どうして遷都したのかな?」
「簡単に言えば下水問題。当時は汚水もただ貯めておくだけだったから、酷い臭いに耐えられなくなったらしい。スライムの自浄作用も間に合わない位、人が無節操に増えたから。当時は浄化の魔道具なんてものもなかったし」
なるほど。けどそのおかげで野菜なんかも無節操に生えているし、ハーブもそこかしこに見える。
その代わりに魔物もいるけど、それは仕方ないかな。
魔物だって自然の一部だし、そこで死ねば人も魔物も植物の養分になる。
っと。岩石が飛んできた。ゴーレムは普通の魔物と違うのかな?魔物感知に引っかからなかった。
普通の岩石ゴーレムなら、問題なく倒せるな。岩しか残らないのがアレだけど、ストーンなんだから、肉がでたら怖いのさ。
へえ。ゴーレムにも魔石はあるんだ。魔石というより制御核かな?スマホで調べたのより、造りが粗い気がする。
石でできているのに関節はどうなっているんだろうとか、色々突っ込みたい事はあるけど、およそ2メートル程の奴らを相手にしていては、余裕もない。
奥から、3メートル超えのゴーレムが現れた。目がチカチカと光って、それと同時に細いパスがつながったのを感じた。
(みんな!手出ししないで!)
目からビームは出なかった。というより、私と目があった。
感情が伝わる。私に会えて嬉しい?
ストーンゴーレムは、まだ攻撃してくるけど、赤茶色ボディのゴーレムが目からビームを出して、ストーンゴーレムを攻撃する。ロケットパンチはないのかな?
「アカツキ。あなたは私を守ってくれるんでしょう?」
(ワタシヲ、従エテクダサルト?)
「神様に頼まれて来たのなら、受け容れない理由はないよ」
(マナ様、ワガアルジ)
「え…マナ、テイムしちゃったの?」
「テイムとはちょっと違うかな。アカツキは魔物とは違うから。ああ、でもギルドにはテイムしたって伝えるしかないかな?」
「えええ…ゴーレムをテイムするなんて前代未聞なんだけど」
とりあえず、ステータス確認かな?
アカツキ(0) 従属 マナ
神器ゴーレム
レベル∞
スキル
絶対防御 再生 ゴーレム召喚 裁きの光
怪力 念話 体術 縮小化 変化 自動回復
「ね、アカツキの体は何でできているの?」
(ヒヒイロカネデス)
ファンタジー小説なんかである伝説の金属か。
「変化って?」
(制御核ヲ移セバ、ソノ体二応ジラレマス。タダシ、能力ハボディ二準ジマス)
極端な話、ルビー母さんの作った人形にも移せるって事かな?
(蜘蛛ノ糸、固体名ルビーノ魔力ガ発動デキマス。暗黒魔法、蜘蛛ノ糸ガ使用可能デス。トレントナラ木魔法、石ナラ土魔法ガ使エマスガ、元ノ能力ハ使エマセン。石デスト発動効率ハ悪クナリマス)
念話にしなくても意思を読み取れるのか。じゃあ縮小化はどれ位小さくできるのかな?
(アルジト同程度マデ可能デス。ドレ位ヲオノゾミカ想像シテ下サイ)
「今はいいよ。影に入ったりとかもできる?」
(モチロン、収納庫モ可能デス)
ああ。生き物と判別されないって事か。不思議だな。意思もあるのに。




