表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/242

護衛依頼 2

 指定された日にギルドに行くと、立派な馬車と、他にも護衛兵士達用の馬車もあった。

「これ私達、要らなくない?」

「戦力は似たり寄ったりかな?まあ、そこそこ使えるんじゃない?」

「それでも、数の力は大きいよ。盗賊団がどれ程の規模かは分からないけど」

(その事だけど、マナは援護だけしてくれればいい)

(え?)

(魔法で援護だけして)

(そんな事気にしなくても、相手は悪人なんだから、罪にもならないし、魔物を倒しているのと一緒だよ?)


(混戦になったら、マナは小さいから危ないから)

(ちょっと…!またそうやって)

 貴族が馬車から降りてきた。

「うむ。では前衛と後衛に一人ずつ。直接の守りはマナに任せるとしようかのう?」

「なら、僕が前衛に回るから、ルビーは後衛を任せる。マナは…気をつけて」


 マナは馬車の御者台に上ろうとしたが、止められた。

「直接の護衛なのだから、外にいられては困る」

「え…そんな、伯爵様と一緒とか、恐れ多いです」

「遠慮は要らぬ。冒険の話でも聞かせてくれぬか」

 中には着飾ったおばさんと、私と同じ位の歳の男の子と、それより3歳位上の男の子がいた。


「よろしく!僕はトール!今年9歳になったんだ。同じ歳だよね?な、今までどんな魔物と戦ったんだ?Aランクって竜とか倒すのか?」

「いや、竜は倒せないし、竜はこちらが剣を向けなければかかってきませんよ」

「こらトール!一人で喋るな。私はラクル。是非、仲良くして欲しい」

 何?話相手?そりゃ、王都まで一ヶ月近くある訳だから、退屈だろうと思うけど、私の仕事って護衛だよね?


 ルードは軽く威圧を放っているので、ゴブリン程度の雑魚は寄ってこられない。

 後方から、シルバーウルフが迫っている。ルビー母さんなら余裕だろうけど、数が多いかな?普通のウルフも多い。

「ちょっと退いて下さい、ウルフが迫っているので」

「安心なさい。その程度なら、兵士達に任せておけば大丈夫です」

「けど奥様?私は護衛ですから。シルバーウルフもいますし、奴らは素早いですから」

「問題ない。ゆっくりしていなさい」

 はあ?何それ。

 ルビー母さんは得意な糸は使わず、槍と魔法で戦っている。

 ルビー母さんの目を通して見ているけど、ウルフ相手なら、兵士達の強さでも問題なさそうだ。シルバーウルフも数人掛かりで相手している。

(マナ、中はどんな感じ?)

(それがよく分からないんだよね。私も出ようと思ったんだけど、止められた)

(中には、マナの他に5人?)

(夫婦と子供達と、執事みたいな人。8人位は乗れそうな馬車だよ)

(ふうん…男?)

(同じ歳と、ちょっと上の子供達だよ。特に変な話は出てない)

(了解。そろそろ宿泊予定の村に着くから、マナはさっさと僕の方に来て)

(そうするよ)

 私を見る視線に、時々うなじがチリチリするんだよね。


 だけど、私は専用護衛という事で、貴族達と一緒の部屋になった。ルビー母さんは奥様と一緒で、ルードは兵士達と一緒。

 私は女の子なんだから、女性の部屋に行って、ここにはルードが来ればいいと思うんだけど?

「あの、この部屋の護衛はルードの方が適任だと思うんですけど」

「嫌だよ!着いたらゲームをしようと思っていたんだ」

 取り出したのは、…え、リバーシ?バッタもんの名前といい、昔転生者でもいたのかな?まあ、リバーシは得意だし。

 あっさり負かしてやったら、執事さんに、坊ちゃま達に遠慮して欲しいと言われた。

 えー。わざと負けるのは嫌だな。

「マナは強いね。これは貴族のゲームだって聞いたけど」

「えーと、特に難しいルールはないですし、角を押さえれば必然的に数は多くなるかなって」

「けど、女性なら男に花を持たせる位じゃないとって教わらなかった?」

「生憎と、平民なので」

「え?準爵って聞いたけど」

「あ、そうだっけ。でもそれは、Aランクになったからなので」

「それでもマナは特別だと聞いた」

「スーパーって事?そう言われるのはちょっと嫌なんだけど」

「兄様、本当に…」

「トール!…済まない。声を荒げて。私は気にしない。どの道父が決めた事だから」

 チェスとかなら、私はやった事ないから勝てるのに。そういうの、どこまであるのかな?


(ルビー母さんと、ルードの方は大丈夫?)

(私達より、マナが注意しなさい)

(そうだよ。変な事になってない?)

(うん…私がリバーシで勝ち続けたら、ちょっと機嫌が悪くなった位かな)

(へえ?マナはリバーシ知ってるんだ?仕事が終わったらやろうよ)

(うん!リバーシならルードにも勝てそう!)

(へえ?それは楽しみだ)


 この世界にもリバーシがあったなんて驚いたな。早くルードとリバーシやりたい!

 トランプとか花札もあるのかな?でも紙が貴重だから難しいかも。さっきのリバーシもプラスチックじゃなくて石だったし。…それは当然か。どう考えてもプラはない。


 このまま何事もなく終わればいいな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ