森での戦い
ダンジョンを進めて金鉱石を見つけた。これをアクセサリーに加工して出荷すれば、当分お金には困らないはずだ。
キラキラ大好きなスカイにも何か作ってあげようかな?
スカイの脚にはまるように、小さな輪を作った。そこにサイズ自動調節と結界の付与を付けた。
やっぱりミスリルの方が付与容量が大きい。
自分用にもミスリルで腕輪を作った。魔法威力増大と術式補助、結界とサイズ自動調節だ。
今日で私も4歳だ。地球だったらまだ幼稚園生だけど、ゲーム内で上げたレベルもあるし、並の4歳児じゃない。
毎日の訓練の後に狩りに行くルビー母さんに、私も連れて行って貰えるようにお願いをしてみた。
最初は渋っていたけど、魔法での援護にまわる事を約束して、連れて行って貰えることになった。
ザラザラとした硬い毛に覆われた背中に乗って、鬱蒼とした森に踏み込んだ。
途中出てきたシルバーウルフもハイオークも、ほぼ槍のひと突きで終わってしまう。ただゲームと違ってドロップアイテムにならないから、解体の仕方や魔石の場所を教わって、実践した。
戦いの経験というよりは、こっちを経験させたかったようだ。
肉を持ってきてもいつもは血抜き済みなので、この辺は出来ていない。
木魔法の蔓でハイオークを宙吊りにして、血が抜けるのを待つ。その間も、血の匂いで魔物が寄ってこないように警戒する。
ウルフ系は肉は固いので、皮と魔石だけを取る。
寄ってきたシャドーオウルにダークショットを当てて落とした。
(よく気がついたわね?こいつは気配を隠すのが上手いのに)
(魔力感知だよ。個体差はあるけど魔力はみんな持っているから)
肉は少ないので、魔石を採ったら捨てようとしたら、ルビー母さんが食べてしまった。体の大きなルビー母さんは大食いだ。こんなのおやつにしかならないだろう。
ハイオークは収納して、次に行く。
(便利でいいわね?その収納庫)
(そうだね。スカイの収納庫はガラクタ入れになっているけど)
(どれ位入るの?)
(さあ?今の時点でマグロ3本は入っているけど、まだ入るよ)
母さんが運ぶ時は、糸でぐるぐる巻きにして、引き摺ってくる。
(なら少し足をのばしてみましょうか)
見つけた魔物は、赤黒い肌に牛の角を持つ二足歩行の牛、ミノタウロスだ。
(こいつは体力あるから気をつけてね)
ルビー母さんが糸で捕縛しながら槍を突く。私も母さんに当てないように注意しながら、魔法を当てる。
もう一匹来た!
近づく前に、麻痺効果のある雷魔法を使うけど、あっさりとリカバリーされてしまう。
母さんが戦っている方のミノタウロスにフラッシュを当てて目潰しをして、新たに来た方の頭を狙って重力波を当てる。頭を潰されたミノタウロスは、あっさりと絶命した。
母さんの方も、ダークソードで首を落とした所だった。
久しぶりの強いレベルアップ酔いに、膝を突く。
ゲーム内のボスを倒した時よりも辛い。この魔物、相当強かった?
ルビー母さんはさっさと血抜きをしているけど、私は酷い頭痛で動けない。
見かねた母さんが私を背中に寝かせてもう一匹も血抜きする。
二匹とも収納庫にしまって、来た道を引き返した。
久しぶりの牛肉だ!母さんが串刺しにした方のミノタウロスを出したら、スカイが思いっ切り引いていた。
ちょっとスカイは臆病過ぎると思う。
母さんには厚切り特大ステーキを、私は普通サイズの薄いステーキ、スカイには食べやすいように、細かく切って焼いた。
焼き肉のタレが欲しい所だけど、塩コショウでも充分美味しかった。
(凄い!僕は今、あのミノタウロスを食べているんだね)
(マナがいて助かったわ。母さん一人じゃ、二匹は厳しかったもの)
(ええっ!二匹?…もしかしてもう一匹入っているの?)
(収納庫に?うん。あとハイオークとかマグロも入っているよ)
(どれだけ入るの?)
(まだ全然余裕。スカイはどれ位入るの?)
(ええと…ミノタウロス一匹は何とか入るかな?)
(同じ収納庫なのに違うの?)
(それは、マナは特別だからよ)
(え?何で?)
(スカイとは出来が違うって事)
(そりゃ、僕じゃ逆立ちしたってミノタウロスには敵わないさ)
確かに、頭を直接叩かないと、厳しい状況になると思う。重力魔法があって良かった。




