マナの気持ち
勝負は結局ルードの勝利で終わった。どうやら近くにゲートを持っていたらしい。
ちょっと微妙な気分。雌に獲物を持ってきて、気を引こうとする雄…なんて思えて。
いやいや。主大好きな眷属って普通。主だから大好きなだけだよね?種族だって違うし。
あれ?同じ種族っていったら私、いなくない?
私は進化して、神族になったから、同じ種族がそうそういると思えない。…いや別に、人族でいいんだけどさ。
ていうか、今の所結婚とかどうでもいい。結婚したら眷属と一緒にいられないと思うし、そんなの私には耐えられない。
それとも大人になったら、私も恋とかするのだろうか?
眷属と恋人、どっちか選ばなければならないとなったら、私は…。
うん。眷属を選ぶと思う。
従魔だったら契約を切る事が出来るけど、眷属は、魂の深い所で繋がっている。
そんな事より、みんな大好きだもん。離れるなんて出来ない。
ミールの実は、農園で作ったオリーブ油と合わせて、自家製マーガリンを作った。
これまで食パンにはバターだったけど、普通はマーガリンだよね。
少なくとも昔の私はそうだった。今までは牛乳が豊富に手に入るようになってからは、バターを使っていたけど、久しぶりにトーストにして食べよう。
もう畑は拡張出来ないけど、果樹が増えて、植える場所がなくなってきた。二本植えた木を一本切り倒したりして何とか誤魔化してきたけど、もう限界だ。あとは要らない木を間引くしかないけど、あんまり食べない果物でも、勿体なく感じる。
いっその事ツリーハウスの近くに植え直すべきか。
季節でしか食べない果物もそれなりにあるし、年に一度の収穫でも問題ない果樹はいくつかある。
でも、異世界の植物を植え直していいものか?そもそも育つかも分からない。もう少し考えてからにしよう。
あとは本当にまめに入って、主食だけは切らさないようにするしかないかな?
等と思っていたら、次の日畑が拡張できるようになっていた。
サマルト様、暇なのかな?見ていてくれるのは嬉しいけど、ちょっと複雑だな。悪い事出来ないよね。まあ、する気もないけど。
早速拡張して、米と麦の種を蒔いた。
焼いて早速マーガリンを塗って出してやると、首を傾げた。
「これがミールの実から作った物なの?」
「そうだよ。バターの方が美味しいかもね」
(マナが作ってくれたんだから、食べるよ)
「僕だって。僕が見つけた実だし?」
(ルードはずるいよ。近くにゲート持ってたなんて反則だよ)
「偶々だよ。でも僕の勝ちだからね」
「勝負とかしなくても二人共大好きだから、仲良くして欲しいな」
(僕はなかなか役に立てないから、マナの役に立ちたかったのに)
「スカイは役に立ってるよ。ユキのもふもふと、スカイの羽根のもふもふは、全然違うから。どっちもないと寂しい」
「僕の鱗もマナの鎧になったから、役に立ってるよね?」
「だから、誰がとかもう無し!私は、みんな大好きなんだから」
「いい機会だから言っておくけど、マナを独り占めしようとしたら、母さんが許さないから。マナのお母さんは私なんだから」
うん。ルビー母さんの威圧は怖い。同じスキルを持つルードには効いていないみたいだけど、ルビー母さんの言葉には納得したみたい。
「マナの事はちゃんと分かってるつもりだよ。誰も特別視しないって。ただ、僕は鱗だからもふもふしてもらえないのが悔しいんだ。マナはルビーにはためらいなく抱きつくよね?もふもふじゃないのに」
もふもふというより柔らかい?胸とか。母さんに頭撫でてもらうのも好きだし。…不思議な事に、これがルードだと、子供扱いされていると思っちゃうんだよね。
今まで散々お子様抱っこされてきたからかな?
ルードにもスキンシップか。考えておこう。




