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謁見

 謁見は、三日後に行われるので、それまでは買い物したり、スマホに引き込もったりして過ごした。

 謁見の間は眷属達は影の中にいる。まあ、勘とか訳分からないもので不安にさせちゃったからな。

「お城って大きいね!こんなに広いと、掃除とかも大変だよね!」

 日本の城の方が狭いな。天守閣とか、思ったより狭かったし。まあ、お殿様は、別に天守閣に住んでいた訳じゃないけど。

「もっと緊張してるのかと思ったけど、マナは相変わらずだな」

 マナは、握っていたルードの手をぎゅっと握った。

 緊張は、していなくもないけど、巡回している騎士?兵士?の人より私達の方が強いから、いざとなったら振り切ってダッシュで逃げればいいだけだし。


 謁見室の大扉が開いた。繋いだままの手は、外した方がいいかな?

 ちょっとだけ上を向いてルードを見上げてぎょっとした。森にいる時でさえ殆ど解かないルードの偽装が、解けている。

 ルードもマナを見下ろして呆然としている。

「何で、偽装がかけられない…」

 玉座に座っている王様もびっくりしている。

「魔道具だ。この部屋では、偽装はかけられない」


「その通りだ。この部屋で偽装はかけられぬ。して、その姿はどういう事か」

「…新しいダンジョンを発見したから、サブマスターの顔を立てて会いに来たっていうのに、尋問紛いの事をされるとは心外だな」

「貴様!王に対して無礼な!」

「控えよ。余の質問には答えられぬか。マナと言ったか。そなたがリーダーであろう?確かメーダの町で去年まで初等学校に通っていたと聞く。まだ子供なのに、Aランク相当の実力を持つと聞いた。神に、サマルト様に、関わりのある者なのか?」

「それを知ってどうするつもりですか?利用するつもりですか?」

 繋いだ手から、勇気を貰っている気がした。うなじがチリチリとする。主に周囲の貴族から。


「いや。この国はギルドで成り立っている貴重なAランク冒険者に、無体な事はできない。それに、神聖な色を持つ者に対して何ができようか?」

「他の貴族の方に対しても言って頂けます?良からぬ気持ちで私達を見てるのが分かるので」

「!心が読める、と?」

「いえ。悪意を向けられれば分かるだけです」

「そんなスキル、聞いた事がないが…」

「スキルに関しては、話しませんよ」

 アカトリエル様の加護だから、この世界にはないスキルだよね。


「ふむ…分かった。そなた達のパーティーへの干渉は禁止とする。その代わり、余にだけはそなた達の事を教えてくれぬか?」

「はあ…その代わり、他の貴族の人達に対して無理強い出来ない証明のような物を頂けますか?言葉だけでは不安なので」

「良かろう。そなた達は余の賓客として扱う。証も作らせよう」


 それから、別室に移動した。すぐに香りの良い紅茶と焼き菓子が運ばれてくる。

(どこまで話すつもり?)

(王様からは悪意を感じなかった。単に信心深い人なんじゃないかな交換条件でもあるし、一応話すつもり)

(その悪意を感じるっていうのはちゃんとした物なの?)

(アカトリエル様っていう天使様がくれた加護だよ。悪意感知っていう。アカトリエル様がサマルト様に私をここで暮らせるように頼んでくれたんだよ)

(そうなんだ。じゃあ、マナと出会えたのはそのアカトリエル様のお陰だね)

(うん。本当に感謝してる。生きる事自体が嫌だった私が、大切な眷属達や友達もできて、今はとても楽しいから)


 扉が開き、王様の他にもあと三人の男性が入ってきた。

「私は褒章金をお渡しに来ただけですので」

 宰相と思われる人は、ずっしりと重い袋を渡してくれたら、本当にすぐに出て行った。

「俺はギルドのグランドマスターだ。ギルドの最高責任者として、話は聞かせてもらう。もう一人は審偽官だ」

「一人だけじゃないのか?」

「済まない。ここはギルドの国でもあるので、余も強くは言えんのだ」

「はあ…まあいいですよ。審偽官が入るかもとは思っていましたし。悪意も感じませんし。ただ、情報漏洩は無しでお願いしますよ?元担任の先生見てると、その辺怪しいので」


「大丈夫だ。お前達は特別枠だからな。今回も良くやってくれた。新たなダンジョンの発見は、尽きる事のない鉱脈を発見したような物だ。今、呼吸補助の魔道具を大量生産している所だ。それに合わせて魔石の買い取り額もアップしている。魔の森の魔物の魔石は、質もいいから、高く買い取るぞ?」

「はあ。考えておきます」

 付与にしか使わないから、結構余っているけど、お金も余っているんだよね。


「商売の話は後にしてもらえるか?そなたはサマルト様によく似ている。何故なのだ?」

「娘だからです。サマルト様に、体を作って頂いたので」

「な…!しかしそなたには母親がいると聞く」

「育ての母です。私は孤児なので」

「しかし、兄がここにいるではないか?神聖な色を持った」

「それは俺がインペリアルドラゴンだからだ。初めはマナの従魔だったけど、今は眷属だ」

「な…そんな、まさか」

「陛下、二人とも嘘は言っていません。審偽官の立場で質問をしてもよろしいでしょうか?以前私はあなたから人族だと聞きました。神の娘なのに人族なのですか?」 


「あの時の人なんだ…そういえばおじさんにも何か見覚えあると思った。あの時は人族でしたよ?普通の」

「いや、普通の子供は6歳でAランクの実力は間違っても持てないからな?」

「それは…レベル?」

「何故疑問形なんだ?」

「私には0歳の時から従魔がいたので。じゃないと、レベルがある程度上がらないと、魔の森の魔物は倒せませんから」

「少し待って欲しい。神が体をお造りになったのに、魔の森で育ったというのか?」


「それは、私が人付き合いが苦手だからです。それにしては凄い所に生まれたと思いましたけど、今はそれで良かったと思ってます」

「神の娘だからインペリアルドラゴンを従魔にできたのか?」

「それは、ルードが望んでくれたからですよ。さすがにルードを力でねじ伏せるなんて真似は今でもできませんし」


 というか、力でねじ伏せて従魔にしたのは一人もいないんだよね。

 ルードとルビー母さんは望んでくれた。スカイは…勘違い?ペットにしたかっただけだし。…こんな所までスカイはスカイなんだな…。

「これ位でいいですか?」


「う、うむ…証である四枚のメダルは名を刻むゆえ、待って欲しい」

「それ、五枚じゃだめですか?近いうちにメンバーが増えるので」

「いや、もふもふ家族はスーパー冒険者だ。弱い者に入られては困る」

 そのスーパーっていうのやめて欲しいな。恥ずかしい。

「そこそこ強いですよ。Aランク位の実力はあると思いますけど?多分」

「まあ、後で試験を受けて、合格すればの話だな」





 


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