湖内ダンジョン 1
湖内ダンジョン入り口は既にダンジョンの一部なのか、死んだ魚の死骸が吸収されていく。
そんなの初めて見たから、びっくりした。
ちなみに洞窟の入り口からここまでが、30メートル位ある。息継ぎする場所がないから、泳げない人は大変だろう。
階段の前は、ちょっとした広場になっているから、ダンジョンに入る前に休憩もできるだろう。
階段を下りて、一階層に進む。おや、緑色のスライムだ。
「マナ、ポイズンスライムには毒があるから、手を突っ込んじゃだめだよ」
しないってば。ていうかルードがそれ言う?
「ルードこそ、食べないでね」
「普通に不味そう。歯応えもないし」
近づいて来るのだけ槍でプチプチと潰して歩く。
二階層で早くも鉄鉱石が出た。私は要らないけど。
三階層はキルラビットだ。ラビット系の皮は柔らかいので、ブーツの裏打ちには最適だ。ので、ルビー母さんが集めている。肉もつまみ食いしてるけど、みんなにはいいおやつになっただろう。私は、自作の林檎飴を口に入れた。
5階層はどこのダンジョンでもちょっとしたボーナスステージっぽい。
だからちょっと期待してたけど、沼地のようだ。
魔力感知には反応してるから、何かはいるだろうけど、入りたくないな。
思い切って足を踏み出したら、足の間を何かが通り過ぎて行った。
「うにゃっ!」
ユキが四つ足になって、小さな魚を叩きあげる。
「うわ!シジミーじゃん!」
そう。ここではシジミは魚だった。しかもやたら素早くて、捕まえるのが大変で、釣れない。お店に売っていても高いし。
味噌汁やスープにしたら、凄く美味しかった。
白猫のユキが黒猫になってるけど、私も網を持って追いかけまわして泥だらけだ。
服にはクリーンの付与がかかっているけど、さすがに汚れを落としきれない。
ルビー母さんも、自前の糸を投網のようにして捕まえてくれている。
男性陣は、全く役に立っていない。
さすがに捕り疲れて休んでいたら、ルードがピュアをかけてくれた。
「全く、体は成長しても子供だな」
「だってシジミーだよ?!高級魚じゃん。私のオルニチン!」
「オル…何?」
「何でもなーい」
貝から魚に変わってしまったシジミに、同じ栄養素があるか分からない。
結局今日は、シジミとりに没頭してしまい、ここで終わりになってしまった。
翌日からは、六階層から始めた。それにしても、ここは水棲生物が多い。湖ダンジョンもそうだったけど、何か関連があるのかもしれない。
イエロートータスを転がしてとどめを刺しながら、そんな風に思った。
ルードは構わずに力任せに叩き切っているけど、オリハルコンとはいえ、こんなに硬い甲羅をよく切れるものだ。
居合い切りとかマスターしたら切れたりするんだろうか?
新しい短刀は、オリハルコンにして切れるようになったけど、鞘に収めた時のパチンていう音がしない。
まあ、変な風切り音がしなくなっただけましだ。
イエロートータスの肉は、プリッとして美味しいらしい。スッポンみたいな物かな?コラーゲンたっぷり?
10階層のボスは、ハイオークか。ツリーハウスの周りにも出没するから、余裕。ソルジャーオークもいたけど、問題ない。
あっさりと倒して、肉を手に入れた。
11階層は、前にも戦ったウォーターベアだ。
「ルード、あなたのマントを作るけど、ウォーターベアの皮でいいかしら?」
「マナのマントもウォーターベアだよね?なら、それがいいな」
水も弾くし、肌触りもいいからね。
なら、多めに採っておくか。私も最近やっと成長期が来て大きくなったからね。どこまで伸びるか分からないけど、ブーツとかきつくなりそうだし。
ただ、湖ダンジョンよりも皮の面積が少ない気がする。
まあ、まだ階段を見つけてないから、集まると思うけど。
13階層では、魔鉄が採れた。ただ、出てくる魔物がブラックスパイダーだから、注意してないと、採っている間に毒を受けそうだ。
ちょっと期待していた15階層では、貝に噛まれた。
看破 ビッグシェル 肉食の貝で、注意しないと指などを噛みちぎられる。色々な料理に合う
見かけはアサリだけど、大きさが蛤よりも大きい。噛みちぎられる前に力任せに貝を開いたら、絶命した。
残念。大きさが半分位になってしまった。
でも魔化した物が縮むのは前にも経験してるので、そういう物だと思う事にした。あとは見つけ次第、魔法で撃ち抜く。
アサリは汁物の他にも酒蒸しとか炊き込み御飯とか、とにかく幅広く使える。
狩りまくる私を、眷属達が生暖かく見守っている。
美味しい料理の為なんだから、手伝ってよ!




