依頼? 1
ツリーハウスに戻って、依頼を受けてきた事をみんなに話した。
「マナはもう少し、慎重になった方がいいな」
「どうして?」
「依頼自体が偽物だとは思わなかった?」
「んー、嫌な予感はしたけど、何とかなると思ったよ」
「じゃあ、湖には何もいないって事?」
「何かしらの魔物はいると思うけど、そもそもがギルド本国の、王都付近で僕達が対処しなければならない魔物とは思えない」
「私達の実力を見たい、とか?」
「そんな所じゃないかと思う」
「どうしたらいいかな?」
「魔物特有の力は勿論隠すけど、自重は要らないんじゃないかな?ただし、スカイは連れて行けない」
(ピー。お留守番?人化に慣れないから?)
「亜空間を通じてマナの亜空間にはいつでも来れるからいいだろう?」
「ごめんね、スカイ。登録もまだの冒険者を、何の実績もないままパーティーに入れるのは不自然だから」
(近くにはいていい?ジンギスカンがとれるダンジョンで、冒険者登録してマナが大好きなジンギスカン採ってるよ)
「本当?嬉しい!でも人化は大丈夫?」
(解けそうになったら、亜空間に入るから大丈夫)
「ならそれで、素材を売れば多少は実績になるから、食べ物以外は、売るといいと思う」
うん。すっかりジンギスカンで浸透しちゃってるね。まあ、いいんだけど。ていうか私のせいだけど。
「名前も、スカイで登録しない方がいいんじゃないかな?」
「ユキもそのままで登録しちゃったから、スカイもそのままだと、疑われるかも。どうする?」
(じゃあ、マナが考えて)
「チキンがいいにゃ!」
合ってるような気もするけど、可哀想。
「鳥」
ルードったら、まんまじゃん。
「ピーちゃんなんて、どう?」
「あ、いいかも。ピーピーうるさいし」
「なかなかいい名前、ないね」
(マナは考えてくれないの?)
ごめん、ケ○タッキーとか考えちゃったらそれが頭にこびりついちゃって。
「どうせ偽名なんだから、スカイが自分で考えればいいじゃないか」
「んー、ラピスなんてどう?」
(どんな意味があるの?)
「前世で、ラピスラズリっていう宝石…きらきらの青い石があったんだよラズリの方がいいかな?ラピスだと、女の子の名前みたいだし」
(凄くいいね!)
「スカイ、ずるいにゃ」
「そうよ。二つも名前を貰って」
「いや、偽名なんだから、どうでもいいじゃん?」
「主に貰う名前は特別なんだよ。偽名とはいえ、名は格を表すから」
そういう物なのか。
「冒険者の時だけだから、ね?」
「マナがそういうなら」
ちょっと不満そうだけど、他の眷属達にも考えてとか言われても困るのさ。
スカイをパルタの町に送り出して無事冒険者登録するのを見守ってから、王都に向かった。
王都には、王様の他にギルドで一番偉い人、グランドマスターという人がいるらしい。
Aランクの中でも強くて、レベルは100を超えているという話だ。私も100は超えているけど、レベルと人をまとめる能力は別だよね。
とりあえず普通のギルドに行って、情報を集めた。
湖の名前はネカル湖。長い首と胴体を持っているらしい。
それってネッシー?ネが付くし。
「船はギルド所有の物がありますので、それをお使い下さい」
「そんなデカいのと戦ったら、転覆するのがオチだと思うけど」
「外海は無理ですが、それなりの船なので。船頭もいますので」
「その人は戦えるの?」
「身を守る事位はできますので、ご心配なく」
王都から離れていないせいか、遊びに来ている人の姿も見えた。
「湖自体もそんなに広くないし、これだけ観光客がいるって事は、そんなに脅威じゃないんじゃないかな?」
「魚はいそうだよ?」
マナは、釣り竿を取り出す。
「何か…マナ、緊張感なくない?」
「そう?水の中にいるんだから、これで釣ればいいと思ったんだけど」
竿はミスリルで作り直したし、糸もルビー母さんから提供してもらった最強の物だ。餌用の魔物肉も用意してきた。
「……釣れるといいね」
何ですかルードさん、その間は。
「一ヶ月も期間があるんだから、きっと大丈夫だよ」
少なくとも魚は釣れるのさ。それでいいじゃん?




