依頼と久しぶりの町
ジーナから手紙が来たけど、不穏な事が書いてあった。
ギルドが私の行方を探しているとか、厄介事の匂いしかない。
私の簡易転移装置のコードは言わないでくれたらしい。正直助かる。
冒険者の仕事を望んだのは私だけど、何となく嫌な予感。
次の日、買い物に行くというルビー母さんと、学校があった町、メーダの冒険者ギルドに顔を出した。
実際には半年近く前だけど、寝ていた私にとっては半月前位の感覚しかない。
あとでポーラのお店に寄ってみよう。いきなり行って驚くかな?
受付に並んで、もふもふ家族のマナとルビーだと言った。
「あ、良かったです。受けて頂きたい依頼があったので。王都から西に一刻程行った所にある湖はご存知ですか?」
「いえ、知らないです」
王都には行った事あるからゲートは開いているけど。
「未確認で申し訳ないんですけど、そこの湖に、謎の巨大水棲魔物が現れて、猟に出た者が何人か犠牲になっているのです。討伐をお願いできますか?」
「それって見つかるまで探すんですか?湖がどれ位の規模か分かりませんけど」
「もし討伐できたら、金貨50枚出します。期間は一ヶ月程で、見つかっても見つからなくても、金貨5枚はお支払い致します」
「家族全員で当たるって事でいいんだよね?それと、それが食べられる物だったら、欲しいんだけど?」
「…はあ。一応買い取り料は含まれてませんが、王都のギルドマスターに見せて頂ければ」
なんで呆然としているんだろう?
まあ、いいや。
「では、王都に到着しましたら、お声掛け下さい」
(受けるの?)
(まずかった?)
(だって、水の中なんて、ルードでも無理じゃない?)
(んー…何とかなる気がするんだよね)
見慣れた、変わらない町並み。通り向こうの錬金術のお店。
「ポーラ!」
「え、ええっ!マナちゃん?嘘、大きくなってる!」
「えへへ。成長期だからね」
「うわ…私、あっという間に抜かされた!」
「卒業した後、かなり背が伸びたんだよ!夏になれば私、10歳だからね」
「あ、そうだったね?そういえばマナちゃんて、私の一つ上だった」
それは、忘れてたって事かな?でも成長したからもう、忘れないよね!
「ルビー母さん、私の友達、ポーラだよ」
「あら、初めまして。マナと仲良くしてくれてありがとう」
「お母さん?随分若いね」
「若作りなの…へへ」
もうそろそろ、母さんから姉さんにしないとだめかも。でも私にとってはお母さんだから、姉さんとは呼びにくい。
次は買い物だ。特に目新しいのはなかったけど、前は無かった露店があった。
見た事のない果物が売っている。
拳二つ分の大きさで、全体的に黄色い、何かの実だろうか?
「おじさん、これは何ですか?」
「それはマロの実だ。甘くて美味いぞ」
「別の国の物ですか?」
「これは、魔の森を挟んだ南側のトラス皇国の原産で、こんな大きな実が蔓に生るんだ。1個なら金貨1枚、3個なら金貨2枚だ」
「じゃあ、3個で」
「へへっ、まいどあり」
(ちょっと高くない?マナが子供だからきっと舐められていたわよ?)
(いいの。情報も手に入ったから、スマホの中で育てられるかもしれないし)
(なるほど)
早速一つ食べてみた。大きな種が邪魔だけど、味はマンゴーと桃を足したような味。それなのにシャリッとした食感だ。
あとはスカイとユキにあげよう。




