成長期?
収納庫の中も、随分増えてきた。中を確認して、あっと思った。
簡易転移装置。ずっと仕舞ったままだった。
収納庫にしまっておくと、手紙も届かないのかな?
紙が一枚、吐き出された。
〈いい加減気付かんかい!ボケ!みんな心配しとるんやで!〉
ちょっと紙がよれている。何度も送ってくれたのだろうか?
〈ごめんね。しばらく忙しくて、収納庫に仕舞ったままだった〉
同じ文面を三つ書いて、専用コードを知らない事に気がついた。
あ、でもソーニャなら知っているか。
〈やーっと気付いたか。ポーラとジーナの最寄りのギルドのコード教えたる。うちはマナが無事ならそれでええんや。それと、紙は貴重やから、裏面を使いや〉
だよね。金貨1枚あれば普通なら一ヶ月は暮らせる。そんな中で、紙は五枚で銀貨2枚かかる。
だから魔物の皮に書いたり、木の板に書いたりしてるけど、簡易転移装置は、大きな物は送れない。
今日は、短刀を、オリハルコンで作ってみようと思っていた。
鉱石だけは充分にあるので、練成しないと。
また魔力不足でみんなに心配かけないように、気をつけよう。
「…あれ?練成が簡単になってる?」
ルードの剣を作る時はあんなに大変だったのに。コツを覚えたのかな?
まあいいや。楽にできるに越した事はない。
却って成形の方で手間取った。日本刀の反りは独特だから、難しい。
同じサイズにはできなかったけど、大丈夫かな…鞘も作り直しだ。
むう。鞘に収めても、ぱちんと音がしない。そして、振ると妙な風切り音がする。
やっぱり日本刀は難しいのかな。
それとも、大きくなったから、あの長い刀も抜けるようになったかな?
でも、この長さが使い易い。また作り直そう。
気分を変える為に海に来た。蟹が食べたい。
海の魔物を狩る為に、銛も用意してきた。
グリーンジュエルクラブと、何故かタラバガニもいた。確認してみたけど、タラバガニの中には魔石はなかった。
…あれ?息が苦しくならないな?何か新しいスキルとか覚えたのかな?
それならたくさん蟹ゲットだ!
看破 ブルージュエルビー 虫系魔物だが、身は甘く美味。茹でると殻が宝石のように輝く
青い海老か。昔テレビか何かで見た事がある気がする。
看破 間人蟹 ズワイガニの仲間
形はまんまズワイガニだけど、産地が違うらしい。…ていうか、ゲームの中なんだから、そもそもが産地偽装?
今回は、呼吸をしに戻らなくて良かったので、前回よりも多くの蟹をゲットできた。もう春になっちゃったけど、蟹鍋が食べたいな。
心地よい疲れに満足して砂浜に寝そべる。
「痛っ?!」
ちっちゃな蟹に挟まれた。
看破 サワガニ 可食部は殆どない。
えー!ここ砂浜なんだけど!一応魔物の部類らしくて、地球のサワガニとは別物っぽい。
なら、出荷箱に入れちゃえ!
そしたらもう一度短刀に挑戦しよう。
歩きながらクリーンをかけて、ドライで乾かす。
水着を脱いでいつものルビー母さんの服に着替えて、少し小さくなっているのに気がついた。
「…大きくなってる?」
まだ目が覚めてから、半月も経っていない。あり得るのかな?
本当に大きくなってたら嬉しいけど。
メジャーがないから何とも言えない。でも成長期だからね!
きっとジーナには追いついてもいないと思うけど。
嬉しくてゲームから出て、ルビー母さんを探すと、スカイのブーツを作っていた。
「ルビー母さん!これ見て!服が小さくなってるよね!」
「あら本当だわ。うん。確かにマナ、この前より少し大きくなっているみたい」
「やった!」
「ふふっ。すぐに大きめの服、作ってあげるわね?」
ルビー母さんは、念の為にあちこち採寸している。
踊り出したい気分だ。今日は蟹パーティーにしよう!




