スカイの進化
マナが目を覚ましたのは、結局五日後だった。
あれ…何があったのかな?私の中にスカイがいる…存在進化中?
「マナ!…良かった」
「みんな…えっと…巨大なエルダートレントがいて、スカイ!…生き返ったの?」
「あの時と同じか。覚えてない」
マナは、ルードから魔素水を貰って飲む。スカイが中で進化しているからか、魔素を持って行かれている。
「ん…トイレ」
起き上がろうとして、よろけた。
ルードが抱っこしてくれたけど、さすがにそれは恥ずかしい。
「ちょっと待ってよ。さすがにルードは恥ずかしい。ルビー母さん、お願い」
「何でさ?眷属だし、種族も違うんだから、恥ずかしくないだろう?」
「恥ずかしいの!」
「あれからどうなったの?」
「マナが、スカイを生き返らせたようにしか見えなかったわね?化け物エルダーはルードが倒したわ。ちゃんと依頼は終わらせてきたわよ?…マナは五日も寝ていたわね」
「うーん。蘇生は私、使えないはず…あれ?使えるみたい?…わ、聖魔法極めちゃったよ。いつの間に」
「凄いわね。ホーリーを覚えてからそんなに日も経っていないのに。ルードも使えない魔法なのに」
「じゃあ、記憶に残ってないけど、私が蘇生を使ったのかな?」
「ルードは違うって言ってたわよ?」
「んー、確かに魔法を使っただけなら五日も寝たりしないか…まあいいや。考えて分かんない事は放置で」
そんな事があったら心配するのは当たり前なのか。
「ルードはずっと聖なる癒しを使っていたわね。過保護なお兄ちゃんよね」
「あー」
ルードならやりそう。あとでブラッシングしてあげよう。
「もう少し寝てなさい。あとで消化のいいもの持って行ってあげるから」
ルビー母さんも充分過保護だ。
ルードと、ユキをブラッシングしてあげて、ユキに顔を埋める。
「まだ怠いにゃ?」
「スカイが進化しているからね」
「マナは進化しない?」
「何言ってるの、ルード。人は進化したりしないよ?」
このやたら怠いのも、スカイの進化が終わればなくなる。時間がかかっているみたいだけど。
あ、スカイの進化が終わったみたいだ。
スカイ(8) マナの眷属
フェニックス
レベル 1
スキル 属性魔法 時空魔法 聖魔法 鍛冶
火炎ブレス 炎弾 炎翼斬 癒しの聖域
嘴撃 矯声 爪攻撃 状態異常無効 病治療
結界 念話 高速飛翔 人化 守護
「スカイ、良かった」
(マナのおかげだよ。僕はマナの眷属になれて本当に良かった)
それにしても、大きくなった。体の大きさは、クジャク位はある。色も赤っぽくなって、ただ、頭の上の二本の冠羽がスカイっぽい。
クリーンをかけてやると、より色合いが濃くなった。
大きくなったもふもふは私も嬉しいけど、もう頭の上に止まるのは禁止だね。
でも、折角不死鳥になれたのに、寿命は私と一緒なんだよね。そういう残念な所がよりスカイっぽい。
それに私のおかげっていうけど、私は何も覚えていないんだよね。ただ必死だったのは覚えている。
そして折角祝福であげた水魔法。属性魔法を全て覚えたみたいなので、消えてしまった。かといって新たな祝福をあげる事もできそうにない。なんて残念な子!
「スカイ、人化してみて」
(う、うん)
「ギャ!」
私はスカイに毛布を投げつけた。20代中盤位?全裸の男性に、驚いた。
「マナ、酷いよ」
ていうかその姿で声が若すぎる。髪も瞳も空の色でスカイっぽいけど、赤い冠羽がそのままアホ毛になっている。
ルードがとりあえず自分の服を渡してやると、ボタンのかけ方が分からないみたいで、手間取っている。
「さっと着替えられないと、マナに迷惑かけるからな」
「うう…」
そういえばルードは、意識してないと分からない位、着替えが速い。ずっと疑問だったけど、偶然見た時に謎が解けた。
ルビー母さんとユキは、大きさが変わらないから、鎧や服を着てても変わらないけど、ルードやスカイは全く違うもんね。
「とりあえず、脱ぎ着しやすいようにボタンのない服を作るわね」
「うう…情けない」
まあ、気長に見るよ。キラキラを見るかぎり、スカイが器用だとは思えないからね。




