トレント狩り終了と…
トレントの殆どは狩り尽くしたと思う。森の深部はまだ行ってないけど、エルダートレントも何体か倒した。
「魔の森に行けば浅い所にトレントもいると思うけど」
「まあ、大丈夫だよ。今日中に目標は行くと思う」
途中出てきたトレントは、サクッと簡単に狩る。
いい加減斧の扱いにも慣れたから、手間取る事もない。
強い魔力反応に、辺りを見る。
「エルダートレントがこんなに?!てか、あれ何…」
中心に、一際大きなエルダートレントがいる。高さは20メートル位、幹の周りは私達全員が手を繋いでぐるっとしても、半分も行かなそうな高くて大きな木。
ツリーハウスより、遥かに大きなその木が、私達に敵意を向けた。
「この森のボスって感じだね」
周りのエルダートレントだけでも厄介なのに、凄まじい威圧感を感じて、みんな人化を解く。ルードまでもが竜に戻った。
(マナは周りのエルダーをお願い!)
確かにコブの位置も高いし、私がいては足手まといだろう。
私は、斧に炎を纏わせてエルダーに相対する。
植物のくせに、普通のトレントとは動きからして全く違う。
魔力糸にも炎を纏わせて、枝葉や根に対抗する。
一本倒して、次のエルダーを目指そうとした時、まるで魂の一部が切り取られたような衝撃を受けた。
「スカイ!」
無残に潰され、地面に落ちたスカイの姿に、衝撃を受ける。
マナは慌ててエクストラキュアをかけるけど、スカイは治らない。
(マナ…命の消えた者にはエクストラキュアは効かない)
(ルード、蘇生は?)
(ごめん…無理)
ルードのブレスが、ボスエルダーにとどめをさした。
そんな……嫌!
マナの体から金の光が浮き上がり、スカイに吸い込まれる。次々に生まれた光が、スカイの傷を癒していく。
マナはスカイを抱きしめて、影に入れた。
「まだ終わってないにゃ!」
ユキの声で我に返った二人が、残りのエルダートレントを狩る。
「任せたにゃ!」
戦闘力で劣るユキは気を失ってしまったマナを抱き上げて、サポートに回ろうとするが、人化を解いたルードとルビーの前には只のエルダートレントなど雑魚同然だった。
人化したルードが、ユキからマナを預かる。
「さっきの力は、蘇生なの?」
「違うと思う。むしろ前に戦ったワーウルフの化け物を退治した力に…神気に似ていると思う」
「マニャは大丈夫にゃ?」
「命には別状ないよ。むしろ別の存在になるかもしれないけど」
「マニャが生きていれば、何でもいいにゃ」
「ユキは強いわね。そうよね。私がお母さんなんだから、しっかりしないと」
ルビーは、エルダートレントの木材を収納庫にしまう。
「スカイともパスは繋がっているけど、少し変ね?」
「んー、存在進化待機?ユキの時も同じ事があったから、マナが目を覚ませばスカイも進化するんじゃないかな?」
「うにゃ…スカイはまた変わるにゃ?」
「炎鳥なんてレアな種族から何に進化するか分からないけど、二人共無事みたいだし、良かったよ」
「そうね。マナが目を覚ましても、スカイが無事じゃなかったら、悲しむものね」
村に戻ったルビー達は、ギルドに行く。
「ここで納品したいんだけど、いいかしら?」
「別料金が発生してしまいますが…あの、マナさんは?」
「魔力切れだよ。大丈夫」
「そういう事情でしたら、こちらで納品されても結構ですよ。正規の金額はお支払いしますので」
馬車の上に直接トレント材を出していく。馬車1台ではとても足りなかったが、あとは随時ギルド側でやってくれるそうだ。
「エルダートレントが随分多いですね。凄く助かります!」
エルダートレントが、トレントを生み出しているとも考えられているから、当然だろう。
「50本、確かに確認致しました。カードに四分割でよろしいでしょうか?」
「いいよ。端数はマナのカードに入れておいて」
殆どはマナの収納庫に入っていたが、眷属だから自由に移せる。
(ルード、まだ私の収納庫に残っているけど?)
(どうせだから、今みたいにベッドを繋げて使っているんじゃなくて、大きなベッドを作ろう。たまにマナ、間の溝にはまって寝てるから)
(いいわね!エルダートレントの材木なら、立派なベッドができそう!)
(僕もベッド作り、手伝うから)
宿屋を引き払い、ツリーハウスに戻る。さすがに主が気を失ったままだと、マナの亜空間には、直接入れない。ので、亜空間を通して亜空間へ。
ルビーは久しぶりに戻ったツリーハウスの点検作業に入った。
ルードはマナをベッドに寝かせて、そのまま癒しの聖域を使う。
マナの中には、神の力が眠っているのではないだろうか?
人族の限界は、とうに過ぎているだろう。
…僕はマナの側に居続ける事が出来るのだろうか?




