寄り道して王都でお買い物
翌日もトレント狩りだ。普通、中級以上の冒険者になると、一日仕事したら二日は休むといった感じの、ダメな大人の見本みたいな生活になるのだとか。そして、稼ぎが上がれば羽振りも良くなる訳で、朝から飲んだくれている人も少なくない。
眷属達は、お酒は飲めば飲めない事もないけど、今まで飲む習慣がなかったので、どっちでもいいらしい。
勿論、武器や防具なんかにもお金はかかるから、以外と大変な職業だ。
私達の場合は、お金は貯まる一方だったりする。
武器や防具も自作だし、食べ物も、作っている。
…あれ?一家の大黒柱ってもしかして私?まあ、主なんだから当然ともいえる。
今は、慣れてきたので、私はユキと、ルビー母さんはスカイと組んでトレント狩りをしている。このままのペースなら、明日にも王都に納品出来そうだ。
ちょっと無理して、頑張って狩った。残念ながら森の浅い所中心に狩りを行ったので、エルダー種はいない。
馬車の手綱はルードが取った。本当に器用だよね。こういう所は。
王都にもAランクのギルドカードがあるから楽々入れるし。
ギルドに納品したら、速さに驚かれて、是非エルダートレントも狩ってくれと頼まれた。
伯爵様が万が一買わなくても、エルダートレントの木材は、高級家具になるのだとか。
普通のトレントよりもかなり強いらしいけど、それなら一度位は戦ってみたい。
そして、王都といえば買い物。ルビー母さんもユキもギルドカードは持っているから、今日こそは私も自由行動…無理でした。
あっさりとルードに捕まってお子様抱っこされてしまった。
「絶対迷子になんてなりようがないんだから、私も一人で歩っていいじゃん!ルードだってお店とか一人で見たいでしょ?」
「別に要らない。マナの方が心配」
「私だってもう9歳なんだから、いつまでも保護者同伴とか嫌!」
私だって洋服見たりとかする時は、ルビー母さんとかユキと見たい。食料品ならいいけど。
「いいの。マナはまだ小さいんだから」
「もう!絶対ルードより大きくなって、そしたら抱っこしてやるんだから!」
「それは楽しみだなー」
ルードの人化した姿は、それ程長身じゃない。馬鹿力のくせに、筋肉質でもない。ごく普通の一般人にも見える。
本当の姿じゃないからかもしれないけど、不思議だ。
あ、マトマが安売りしてる!トマトよりも酸味が強いけど、私は好き。そういえば、ケチャップも少なくなってたな。作っておかないと。
こういう所で使っておかないと、お金は貯まる一方だからね。
「相変わらず食べ物ばかりだね」
「ルードこそ、自分用に何か買ったら?」
「じゃあ、絨毯かな。今の僕が寝ている所の絨毯は、薄いからマナが寝づらいよね」
「毛布にくるまっちゃうからあんまり関係ないけどね」
とりあえず家具屋に行ってみた。
大きめのクッションを見つけたけど、ユキが使うのには少し小さいかな?
「マナが寄りかかる時に下に敷くのには充分かな?」
「全部私用でしか見てないじゃん」
ある意味ルードらしいけど。
次に来たのは乾物屋さん。鰹節とかないかな?…流石にないか。
「あ、天草だ」
へえ。薬として売られているのか。
ちょっと高い気がしたけど、たくさん買った。これでゼリーが作れる。羊羹も。
「マナ、便秘なの?」
「へ?」
「だってテングサは、便秘薬でしょ?」
いっばい買っちゃったけど、お店の人にもそんな風に見られた?!…恥ずかしい。
「違うよ。お菓子作りの材料になるんだよ」
「まあ、マナの事だから、そんな気がしてたけど」
本当かな…流石にこの年齢で便秘はないと思う。
ルビー母さんとユキは、二人で洋服を見ていた。
デザインとか色とか気になるみたいだけど、買う気はないみたい。あ、でもリボンは買ったのかな?レース編みのリボンは可愛い。
「マナに似合うと思って」
「私に?ありがとう!」
ユキと、デザインの話をしている。
「気になるなら買ったら?」
「でも、このままでは着ないし」
「こういう所で使わないと、他で使う所もないでしょう?」
「確かにそうね」
因みにユキの従魔の首輪は外してネックレスを作ってあげた。
鈴付きにしようかと思ったけど、音が戦闘の邪魔になるからやめた。
「そろそろリト村に戻ろうか?」
「そうね。馬車があるから大変ね」
馬車ごと亜空間移動出来なくもないけど、時間が早すぎたらおかしいからね。
面倒だけど、仕方ない。




