ルードと、オリハルコンの剣
朝起きたらスマホがフリーズしてて、再起動したらコピーしておいたデータがなくなっていて、泣く泣く書き直しました。
トレント退治の為に、魔鋼で斧を作った。何故ミスリルで作らないのかというと、重さも必要だからだ。数は三本。ユキはこういう力仕事は向かないので、ミスリルで、片手斧だけ作った。
トレントは、炎が弱点だから、ユキには魔法で援護してもらうつもりだし、スカイも活躍できるだろう。
マナは、長らく放置してあったオリハルコンを見て、ため息をつく。
オリハルコンの錬成は難しく、魔力もがっつり持って行かれるので、インゴットも二つしか作っていない。
希少金属で武器にしたら間違いなく戦闘力が上がるだろうけど、重い。
鉱石だけはたくさん採ったので、これでルードの長剣を作ろうと思った。
錬成と合成を繰り返して、魔力がなくなったら、海岸まで降りてぼーっと海を眺める。魔力自体は、神速自動回復なのであっという間に回復しちゃうけど、それを繰り返していたら、頭がくらくらしてきた。
魔素不足の症状だ。
魔力は回復しても、魔素は別物らしい。けど、成形までは終わったので、あとはシェービングで研げば完成だ。
付与は後でにしよう。
入った時と同じ亜空間のソファーに現れたマナは、そのまま横になる。
「マナ!何があった?」
ルードが、亜空間に入ってきた。…ああ、そうか。みんなにしてみれば、私がいきなり魔素不足の状態で現れたから、驚いたんだな。
「鍛冶仕事で魔力を目一杯使って、回復したらまた使ってを繰り返していたら、辛くなった」
(マナ、大丈夫?お昼ご飯は食べられる?)
(平気。心配かけてごめんね)
ルビー母さんが持って来てくれたのは、かに玉だ。
大盛りのお皿を二つと、私用の小さめサイズをテーブルに並べる。
もふもふコンビは狩りに行っているのか、少し気配が遠い。
ルードに魔素水をもらって、かに玉を食べる。たくさん採った蟹もあと少ししかないけど、残りは…蟹入り茶碗蒸しとかいいかな?
「美味しい!ルビー母さん、また腕を上げたね!」
「ふふっ、マナが喜んでくれて、嬉しいわ」
ルードはしっかりお替わりしている。
「ね、ルビー母さんは子供がいた時はないの?」
「キラースパイダーの頃に何度か卵産んだわね。でも子育ては初めてね。今は四人も子供がいて楽しいわ!」
「ええっ!僕も?」
ほえー。私から見れば、60歳も、90歳も変わらない位大人だけど、確かにルードは子供っぽい所あるよね。
(マナ!…あ、よかった)
「うにゃっ、いつものマニャにゃ」
「心配かけてごめんね。二人とも。急いで来てくれたの?スカイの亜空間移動使えば早かったんじゃない?」
(…あ!)
「うにゃ…その手があったにゃ。にゃーは時空魔法使えないから忘れてたにゃ」
まあ、スカイが自分の能力なのに忘れているのはある意味お約束だけど。
「私は単に魔力を使い過ぎただけだよ。二人は何してたの?」
「訓練にゃ!空を飛んで逃げるスカイを捕まえるにゃ!」
(逃げ足だけは速くなるかも…はぁ)
うん。いい訓練になるね。楽しそう。
「マニャが無事ならスカイ、続きをやるにゃ!」
(えー!また僕、追いかけられるの?)
二人共走って行ってしまった。
「マナ?今日はもう無理しちゃだめだよ?」
「うん。のんびりしてるよ」
「鍛冶って、そんなに魔力を使う物なの?」
「金属によってかな?」
マナは、収納庫からオリハルコンの鉱石を出して錬成してみせる。
「凄い…これってオリハルコン?」
「そうだよ。ちょっとはコツをつかんできたから、随分ましになったけど。最初の頃は鉄でさえ苦労してたんだよ」
「鍛冶って、炉は使わないの?」
「成形する時には使うよ?とは言ってもオート作成だから、実際に鎚を振るったりはしないけどね」
「僕も鍛冶には詳しくないけど、そんな方法で出来るの?」
「一般的なやり方とは違うと思う。ゲームだし。不純物を除いたりするのは錬金術と同じやり方だし」
「へえ」
「スカイもガラクタ…じゃなくて、きらきらを作る時には魔法のみでやっているし」
「僕も前にマナにミスリルの長剣を作ってもらった事があったけど、あの時は消耗しているようには見えなかったよね?」
「ミスリルは、たくさん先にインゴットにしておいたから。成形にはそんなに魔力は使わないんだよ」
「とりあえず今日は、スマホの中に入るのはだめだよ」
「うん。今日は小説読んで過ごそうかな」
途中で眠ってしまったのか、ベッドの上にいた。
しっかり回復したのか、ふらつく感じはない。
時間を見ると、もう夕方のようだ。
マナは収納庫からオリハルコンの長剣を出した。少し考えて、付与をする前に、木材を取り出した。
長剣を振るうと、あっさりと真っ二つになった。
これじゃ参考にならない。まあ、オリハルコンがそれだけ優秀って事だよね。
マナには重すぎる長剣でも、馬鹿力のルードになら全然問題ないだろう。
私もオリハルコンで短剣作ってみようかな?
付与は、斬撃強化特大と、自動修復、クリーンだ。それでもまだ容量が余っている。それだけオリハルコンが優秀って事だよね。
(ルード、今大丈夫?)
ルードはすぐに来てくれた。
「!これ…僕に?」
「ルードしか長剣スキル持ってないでしょう?私には重すぎるし」
「ありがとう!マナ!無理してまで作ってくれたのが僕の物だったなんて!」
ルードは、小さい子にするみたいに、マナを高い高いする。そしてそのままぎゅっと抱きしめた。
子供みたいにはしゃぐルードを、マナはふと、愛おしく感じて、頭を撫でる。抱っこされているのは自分だけど、自分に子供が出来たらこんな気持ちになるのかな、と感じた。




