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 誕生日が来て9歳にはなったけど、別に何が変わる訳ではない。

「頼む!マナ、依頼料は弾むから、受けてくれ!」

「えー、でも夏休み潰れちゃうじゃないですか。しかもCランクには指名依頼はないはずですよね?」

「内容が内容だけに、できるだけ大きな収納庫持ちが必要なんだ」

「それは分かりますけど」

 まだ私、学生なんだけどな。


 事の発端は朝、先生が直接私の前に来て、仕事の話がしたいからと別室に連れ出された時から始まった。

 とあるお偉い伯爵様の依頼で、トレントの材木が大量に必要になった。

 何でも屋敷を総トレントの材木で作り直すとか。

 この世界の建築材料はレンガが基本だ。木材で作るとしても、わざわざ魔化した植物を使う必要はない。

 普通の材木と違って魔法を通すから、魔法使いの杖に使われる事が多いけど、屋敷に魔法を通しても全く意味はないので、微妙。建築材料としてはそれなりらしいけど、自慢のタネにする程度の価値しかない。


 行くのはホルアスのギルドだけど、行くだけでひと月以上かかる。そうして集めなければならないトレントは、最低300。多ければ多いほどいいけど、やってられません。

 

 どこでトレントを集めてもいいけど、できればホルアスで集めて欲しいらしい。

 ホルアス国のリト村が、トレントの材木を出荷して生活しているんだけど、今の時期はトレントも大量発生するから、人手が足りない。下手すると村が森に呑みこまれる危険さえある。

 

 それなりに冒険者も多いけど、収納庫持ちでないと、森から運び出さなければならないから、効率が悪い。結果的にトレントを狙う冒険者は減る。

 ギルドで馬車を貸し出してくれるそうだけど、遠慮した。けど、リト村では借りた方がいいようだ。王都に搬入する時に、Aランクのギルドカードがあれば並ばずに入れるからだ。


 ギルドが絡んだ学校のいい所は、こういった仕事の時に、欠席扱いにならない事。とはいえ、何でもかんでも卒業しなければならない義務教育と違って、かなり緩い。サボってばかりいると結果的に後で苦労するのは自分だというだけの厳しさもあるけど。


 行くのはホルアスダンジョンにゲートを持っているので、そこからリト村までの移動時間を考えればいい。

「じゃあ私、明日から学校来なくていいですね?」

 ちょっと早い夏休みだ。

「そうだな。家族で当たってくれると助かる」

「それは勿論です」


 早速ツリーハウスに戻って依頼の事を話すと、みんな喜んでくれた。移動時間と称する休みが増えるのだから。

 

 ゲームの中の世界に季節はないけど、やはり夏といえば海に入りたくなる。

 海産物も欲しい所だったし、丁度いい。

 

 ルビー母さんに頼んで、ワンピースタイプの水着も作ってもらった。

 アサリやウニ、サザエ等の他に、緑色の一メートル程の大きさの蟹を見つけた。


 看破 グリーンジュエルクラブ 海にいる蟹の中では一般的な種類。茹でると殻が宝石のように輝く。


 そうだよね。蟹はダンジョンじゃなくて、海にいる物だ。よし!採るぞー!


 看破 イセビー 虫系魔物だが、身は弾力と甘みがあり、美味。


 3メートル近い大きさだけど、伊勢エビだ。嬉々としてとどめを刺して、収納庫に仕舞う。


 看破 ブラウンガザミ 苔に擬態するため見つけにくい。


 ガザミも蟹だ。絶対美味しい!


 看破 シーイール 海に住むウナギ。巻きつきの威力は強く、相手の骨を折る。


 さっきはびっくりしたのさ。いきなり3メートル級の蛇に巻きつかれたと思ったら、膝下の骨が複雑骨折して、噛まれた。首を落として海から上がる間に骨折も、噛まれた跡もきれいに治っていたからよかったけど、痛かった。


 油断したな。ここはゲーム内だけど、海は魔物もたくさんいるのだろう。というか、実際の海がこんな感じなのかも知れない。


 釣れる魚も、異世界の物は魔物だから、油断すると噛まれたりする。地球産の物は魔物じゃないのに、海の中で駆逐されたりしないのだろうか?


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― 新着の感想 ―
[一言] シーイール・・・其れ、アナゴでは無いんかい?。(´・ω・`) アナゴも美味しいぞ~?。
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