表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

無題

無題12

作者: にっくきニック

 窓ガラスが溶け始めていた。部屋が歪み始めていた。

 空間が圧縮されると、大気が薄い場所も出てくる。空気は既に無色ではなく、紫色の毒だった。

 ベッドは小さく燃えていた。確かな熱量をもってそれは呼吸していた。まるでそこから血が噴き出しているように。

 あらゆるものが膨張と収縮を繰り返していた。椅子、リンゴ、壁、ドアノブ、冷蔵庫、空気、書籍、無地の紙、カーテン……。それらは苦しそうに動き回り、発狂しているようにも見えた。フライパン、ジャケット、ティッシュ箱、CDケース、目覚まし時計、そんなものも内部と外部からの力に耐えきれず激しく変形し、汗を流すかのように色がドロドロと溶け出していた。

 それらから流れ出した液体はでこぼこになった床に集まり続け、汚い色になった。

 部屋の歪みが止まることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ