表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪役王女

 楽しかった思い出。

 幸せだった思い出。

 それら全てが駆け抜けていくように消えていく。

 目の前に立つその人は私が心から愛していた人。

 だけど、もう、彼に何の感情も湧きあがらない。

 私の目の前で別の女を庇い、私に対して敵意を露わにさせている。

 なんて面倒くさいのかしら。

 私が悪で、彼女が正義。

 最初から決まっていたかのように流れていくストーリー。

 何て馬鹿馬鹿しいのかしら。

「話はそれだけかしら」

 早くこの場から去ってしまいたい。

 この人たちの喜劇に付き合ってなどいられない。

「逃げるつもりか」

 逃げるも何も、最初から同じ舞台になど上がっていない。

 上がりようがない。

「王女である私にそのような口の利き方が許されると思うのか。臣下ごときが、口を慎みなさい」

 威圧感たっぷりに彼に告げる。

 もう、私とは関係のない人だ。

 これから先、この男が上がってくることもない。

 王族の………私の不評を買ったのだ。

 周りからも見放されることだろう。

 後ろにいた女も青ざめているが私にはどうでもいい。

 私が王族であることを知らなかったことはないだろう。つまり、罰せられ、家が没落しても構わないという位に男を愛しているのだろう。

 私には愚かとしか思えないが。

 家と恋。

 選ぶとしたら私は迷わず家(国家)をとる。

 恋に溺れて選択を間違えることなど許されない。

「それでは皆様ご機嫌よう」

 にこやかに微笑み私は舞台から退場した。

 


END


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ