プロローグ~???~
少女はとても大きな天蓋付きのベッドで目が覚めた。
白い布を身に纏いゆっくりと起き上がり歩き出す。
「湯あみでございますか?」
扉の前の天使は聞く
「うん」
少女は布を落とし、そのまま泉の中へ身を落とす。
ツインテールを解くと数多の糸で紡がれたような銀髪が泉に溶け込む
蒼白い瞳は潤み、投げ出された四肢は白く、艶めしく、美しい。
少女は体中に手を這わせ、ビクッと体を動かした後に指先を妖艶な唇に運ぶ
そして指先に軽く口づけをした後に空を見上げて呟いた
「足りない」
少女は泉から出ると白いワンピースに着替え、髪を結い、片手にウサギのぬいぐるみを抱え歩き出す。
神殿を歩き続け外に出る——
長い階段の下には大きな街があり、水平線上には雲が漂い続ける。
ここは天空都市『ディオーネ』神の住まう都と呼ばれ、天使たちが暮らしている。大地から大きく長い鎖で繋がれた空中に浮かぶ都市だ。
ここでは——
ザザッ
ノイズが走る
「何を見ているの?許可もなく」
先程の少女がこちらを覗く
「私を見つめていいのは今のところレヴィアだけだから、ごめんね?」
プツッ——
画面がブラックアウトした。
まさかこちらに気づけるほどの者がいるとは思いませんでしたね。
パタッと掌に収まるほどの大きさの四角い箱を彼女は閉じた。
「さすがは聖王と呼ばれる者。一筋縄ではいきませんか」
「おーい、そろそろ準備できたかー?」
「まもなく。暫しお待ちください」
羽ペンと分厚い本を鞄にしまい、それを宝石にしまった。
部屋を出ると共にチャキッと刀を鳴らすと部屋が崩れ落ちた
「もう戻ることはないだろう。世話になった」
彼女は男の元に歩み寄る。
「ジン、遅かったね」
「お待たせいたしました」
「よし、いこうか」
白い外套に身を包んだ男と着物を着た女は海へ向かって歩き出す。
「まずは、リオス公国ってとこ目指すか」
「はい、クロノス様」
こうして長い旅は始まった