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七聖の王と悪戯好きな魔王  作者: 秋野 紅葉
七聖の王と滅ぼされた魔王
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プロローグ~セレネ~

ここは常夜の国『セレネ』朝が来ることはなく、知性を持つ魔物や魔術師が暮らす国だ。街灯が並び、クラシックモダンな街並みに赤い月が美しく映えている。

丘の上には塔が見える。あの12階建ての塔にこの国の聖王が住んでいる


彼女の名前は『レヴィア・スレイブニル』身長は140もない。床に着きそうな蒼白い髪を月の光に反射させながら気怠そうに階段を昇ってゆく。

赤みがかかった黄色い瞳はただ空を仰いでいる。

だぼだぼなシャツに短いスカート、黒いニーハイとアンバランスな服装が更に彼女の異様さを演出している。


屋上に着くと塔から足を投げ出し腰かける

手に持ったスティックキャンディーをたまに舐めては、悦の入った笑顔で空を見上げる。今夜は一体何を想っているのだろうか。


国民はこの時間になると塔に向かいひれ伏す。

王に対する最大の敬意である。

王の姿を雲が隠すまで……


彼女は咥えていたスティックキャンディーを一振りする

すると、雲が塔を隠した。

この世界に存在する魔法とは自然の摂理である。その摂理を捻じ曲げる彼女の魔法は『抵抗魔法』アンチマジックと呼ばれている。今のは風のアンチマジック『ウインドレイド』風を操作する魔法だ。自然を、時を、あまつさえ空間までも捻じ曲げる彼女は『永劫の魔術書』グリモワール オブ アイオンと呼ばれ、他国からも狙われる身であったが、聖王となったため身の安全は保障されている。

彼女は国のために何もしない。ただ見守り、ただ悠久の時を共に過ごすのだ。

それでも、身の程知らずは絶えない


「それで隠れた……つもり?」


空を見上げ彼女は呟く。それと同時に空から数多の光の槍が降り注ぐ。

が、


——スッ


音もなく彼女の目の前で何かに吸い込まれた。

彼女はキャンディを振り上げた。

「ごーっ」

声とともに彼女の頭上から倍になるだろう数の光の矢が空へ放たれた

無属性アンチマジック『リフレクトレーション』

自分が受ける筈の魔法を倍にして返す魔法だ


空から大穴のあいた天使が落ちてきた。それを空中で、眼前で止めた。

「まーたアルスの所の人?」

「アルス様が許されても……我々……は……」

「おいたはめっ」


そういうとまた大空へ天使を放り投げた

そして詠唱する

『ファイアレイド』火のアンチマジック。対象が燃え尽きるまで消えない

「そーしてー」

悶絶する天使の足元に巨大な円が描かれる

「ごーっ」

『サンダーレイド』雷のアンチマジック。上空に向かい雷撃が昇る

天使は声なき悲鳴をあげる

「うるさいのーっ!めっ!」

また一振り

無属性上位アンチマジック『ヴァニシングラビット』

空間が切り裂かれ天使は吸い込まれていった。


「アルスはダメダメぇー。今度会ったら殺してあげないとねっ。ふふっ」


彼女はまた赤い月を見上げた


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