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七聖の王と悪戯好きな魔王  作者: 秋野 紅葉
神格を持つ者と破滅の王
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破滅の王と美しすぎる世界

少年は棺の中で目を覚ます


蓋を開け、外に出ると草木が生い茂るドームの中だった


真っ直ぐ歩くと、広い草原に出る


赤い空、青い月……


「綺麗だな……」


言葉も、文字も少年は知っている


何故だろう……


景色を見てると


どうでもよくなり


考えることをやめた


長い階段を上ってゆく


途中、灯る光に興味があったので触れてみる


熱い——


指が赤くなった


痛みを感じたせいで、繰り返すのをやめた


これが学習というものだろう


扉を開き、外に出る


無数の魔物が列をなしていた


間を抜け、扉を開く


豪華な装飾、赤く長い絨毯


少年は強く踏みしめて進む


やがて大きな扉の前に立つ


「開けてくれないか?」


石像の魔物が二体、両側から開く


開かれた先には大きな椅子が見える


少年は屈強な魔物が列をなし、ひれ伏す中


歩いた——


椅子の両側には夜叉の少年と幼女が立っていた


少年は身を翻し、大きな椅子に座る


「僕は知っている……君たちが僕に従うことを……」

魔物は一斉に少年を見る


「僕は知っている……この世界が美しいことを……」

少年は肘をつく


「僕は知っている……僕は王である」

一斉に雄たけびをあげ、魔物が立ち上がる


少年は魔物をラケシス大陸に放った


各所に拠点を抱え、魔物は増殖していった


各地で災害が起こった


魔物が暴れているのだろう


少年は世界の美しさを更に知るために書物を集めさせた


地下に書庫を作った


知れば知るほどこの世界は美しい……


見下し……


激昂し……


妬み……


陥れ……


奪い……


貪り……


色を好む……


なんて美しいのだろうか


時が立ち少年は苦悩する


人間が魔物に対抗する手段を手に入れた


魔法を学び、武器を手に入れ、団結した


少年は考えた


自ら世界を壊してしまおうと


壊して……壊して……壊す……


もっと綺麗な世界に……


気づけば弟が生まれた


少年と同じように棺から出てきた


弟は優しかった


兄が花を踏んで歩けば


弟は花を育てる


兄が人を殺せば


弟は人に手を差し伸べる……


兄は気に食わなかった


こんなに綺麗な世界を汚す弟が


ある日、兄は黄金の宝具と呼ばれるものを使い


弟を眠りにつかせ、棺に入れた


これで世界は美しくいられる


兄は世界を浄化する旅に出ることにした


夜叉の男を連れていくことにした


そして、兄は城を去った


世界を混沌で染め上げる為に


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