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七聖の王と悪戯好きな魔王  作者: 秋野 紅葉
神格を持つ者と破滅の王
51/71

第一軍『王墓』

「やっとついたな」

「そうですね」


二人は100人の軍勢を引き連れ、陸に降り立つ

ここはクロード大陸——


「各自、陽が落ちるまで散策!何かあれば笛を吹けっ!」

『はっ!』


「しかし船が五隻もあると賑やかですね」

「物珍しいか?」

「えぇ、この海岸でこのような光景は見ませんでしたので」


ジンは大きな船、大きな白い帆、砲台や狙撃台までついた

要塞の様な船を小さな海岸から見つめる


「さぁ、いこう」

「はい、姉様」


二人は城へ向かい歩き出す


海岸から草原を歩き


森を抜け


城へとたどり着く


「意外と距離があったな」

「魔物一匹見ませんでしたけどね」


ジンは温室跡へ向け歩く


「なんだ?只の茶室だろ?」

「いえ、この裏に……!?」


ジンが固まる


「どうした?」

「開いている……姉様!魔法は使えますか?」

「いんや、からっきし」

「なら、急ぎます」


ジンは扉の奥


階段を駆け降りる


「魔法となんの関係が?」

「マナの強い者は酔うんです。高度な空間転移なので」


二人が走り抜けると広い草原にたどり着いた


「空が赤く……月が青い?」


「はい。この島は城の裏側が森に見えますが、外から入ると永遠に森を彷徨う幻覚になっています。中心はこのように別空間になっていますので」

「厳重だな……あれもそうか?」

ルシフは大きく抉られた穴を指さす


ジンが駆けよる

辺りに大量の血の跡と破れた布……


「まさか……誰かここで戦った……?」

「みたいだな、しかも血の匂いからして、ついさっきだな」

「これは……ベルゼ!?」

「わかるのか?」

「はい……一応私は夜叉ですので。それより、この傷……大丈夫でしょうか?」

「まぁ、クロノスもベルフェもいるなら大丈夫だろ」

「そうですね……」


しかし、ベルゼにここまで……

いったい誰が……


ジンは草原を歩いてゆく

「おい、何処へ行くんだ?何もないだろ」

「いえ、ここに」

ジンが前に手を出すと、見えない壁がある


「へー、手が込んでるな」


ジンが壁に手をつき唱える

「眠れる王は戦禍を喰らう」


空間が裂け道が出来る


「さぁ、行きましょう」


二人は青白く光る道を進み続ける


「姉様、ここで見たものは内密でお願いします」

「あぁ、かまわない」


激しい光が二人を襲う


視界がひらけると


ドーム状になった部屋だ


外周を鏡で覆い


草木が満ち溢れている


中心には棺が置かれていた


「これは?」

「王の棺です。開けてはいけませんよ?」

「あぁ、そんな無礼な真似はしない」


ジンは棺の上に置かれた小さな箱を手に取る


「それが手掛かりか?」

「みたいですね……」


箱にはガーゴイルのものだろうか、石でできた指が二本くっついていた


「お役目、ご苦労様です」

指を剥がし、地面に置くと灰になった


ジンは箱を開ける——


中から丸く、黄金の首飾りが出てくる

よく見ると、外周には10の紋章が刻まれている


「なんだそれは?」

「さ、さぁ?宝具ですかね」

ジンは懐にしまった


中から黄金の腕輪も出てきた


「これは、ドラウプニル……従者の腕輪ですね」

ジンは腕にはめる


「宝具か?」

「えぇ、定められた者しか効果がありませんが、本来の力が呼び起せます」

「てことはジンが適合者ってことか」

「いえ、姉様もですよ?」

ジンはルシフの腕に腕輪をはめる

「二個あったのか?」

「そうですね。今は二個です」

「今は?」

「えぇ、お気になさらず」


ジンは箱の中から最後の一つを取り出す


古びた金色の紋章だ

盾と短剣が描かれている


「はっきりしました。ユミル兄様を殺したのはロキです」

「その紋章は?」

「ある家系の紋章です」

「何処の貴族だ?見たこともない紋章だが」

「ヨルムンガンド……」

ジンは空を仰いだ


「なっ、それってクロノスの家系じゃないか」

「えぇ、ロキ・ヨルムンガンド……クロノス様の兄です」


ジンは力強く紋章を握りしめた


ドームの中に風が吹いた気がした


今から語られるのは


そう遠くない


昔話……



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