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七聖の王と悪戯好きな魔王  作者: 秋野 紅葉
眠り姫と『お菓子』な姫
23/71

5人の少女に愛される魔王【番外編】

「お姉ちゃん、洗濯終わったよ?」

「あぁ、ありがとう。ベルも参加するかい?」


「ん?」

ベルフェの部屋にマーモ、ジン、レヴィアがいた


「何してるの?」


「作戦会議~」

「ですわ!」

「私は皆さんが暴走せぬように見張っています」


「お姉ちゃん……?」

ベルゼは笑顔で怒っている


「まぁ、楽しい余興だ。ベルもまぜてあげるから、そう膨れるな」

「むー」

ベルゼも座り込む


「では、おさらいだ。明日は皆予定がない。クロノスも同じだ。そこで……」

ベルフェは棒の刺さった箱を取り出す


「今から順番を決めて、それぞれクロノスを誘惑しに行く。勿論、性的な意味ではなく、明日の逢引きをだ」

「性的にいっても~?」

「あぁ、手段としてなら構わない。ここは公平に恨みっこなしでいこうじゃないか」

「なんでベルフェが参加してますの!?」

「僕が彼に興味を持ってはいけないのかい?」

「ダメですわ!クロノスは私の夫になるのです!」

「マーちゃん?抜け駆けは、めっ」

「そうです、ここは公平にいきますよ?牛女」

「誰が牛女ですの!女狐」

「女狐に牛女か、面白い比喩だ」

「子狸に言われたくないですわ!」

「誰が子狸だ誰が」

「お姉ちゃんも挑発にのらないの!」

「ベル、子狸の妹は何か知っているか?恐らく狸だ」

「いいえ、ベルゼはさしずめ虎女ですわ!」

「虎とはなんだー!」

「も~、皆話し進めよ~?」


『子羊は黙って』


「めぇ~……?」

鳴きながらレヴィアが鎌を出すと皆が黙った


「んっ、失礼した。でわ、順番を決めよう」


『せーのっ!』

皆が一斉に棒を引いた


——


——バタンっ


「私の勝ちですわ!皆さんやるだけ無駄なので解散してはいかが?」


「次、ベルだね。行ってくるー」

「いってらっしゃ~い」

立ち上がるベルゼをレヴィアが見送る


「どうせ栄養の偏った君は色仕掛けなんだろ?なら君は負けだね」

ベルフェが静かな微笑みを見せる


「なんとでも言ってくださって結構ですわ!やるだけ無駄だと言いましたのに。でわ、私は部屋に戻りますわね」

勝ち誇った笑顔で出て行った


——


——バタンっ


「ただいまー!」

笑顔でベルゼが戻る


「どうだった~?」

「ベルのご飯が食べたいんだって!嬉しいな~。あ、支度しなきゃ!」

慌てて出て行った


「これはベルの有利かな?」

「いや、私が何年クロノス様にお仕えしているとでも?」

ジンは姿勢よく立ち上がると出て行った


——


——パタッ


「クロノス様は明日私と商業区へ行きますので」

「決まったのかい?」


「いえ、後ほど部屋に来ると。でわ」

ジンは軽く微笑むと出て行った


「次はレヴィアか」

「行ってくる~」


勢いよく出て行った

「あの様子だとジンは難しいな。『あとで』と『今度』はあてにならない」

ベルフェは静かに笑った


——


——ダンッ


「ただいま!」


「ん、何か妙に息遣いが荒くないかい?」

「そんなことないもんっ!」


「で、どうだった?」


「好きってぇ……言われた……」

少し恥じらいレヴィアが呟く


そして走って出て行った


「なるほど、レヴィアは暴走しただけだね。では、僕の勝ちだな。行くとしよう」


——


「クロノス、僕だ」

「あぁ、待ってたよ」


部屋に入ると、クロノスは窓から夜空を見ている


「ほぉー、幻想的なものだ」

「何がだ?」

「君は黙っていれば、童話に出てくる王子のようないで立ちをしているからね」

「それはどうも」


ベルフェも並んで月を見上げる


「ところで君はユニコーンを知っているかい?」

「あぁ、治癒系統の性質を持つ聖なる馬だろ」

「馬……ロマンがないな、君は」

「事実だろ?」

「せめて白馬と言ってくれたまえ」

「お前結構夢見る少女なんだな」

「うるさい、黙ってくれ」


「それで?」

「あぁ、南の森に聖なる泉がある。ポーション用の水を汲んでいる所だ」

「まさか……?」

「あぁ、いるらしい」

「本当に!?」


クロノスは知識欲の深い奴だからな……この勝負貰った!


「で、よかったら明日行ってみないか?」

「あぁ、行く!」


「それでだ、僕は今晩君と共に眠りたいんだが」

「なんでだよ」

「君が逃げないようにな」

「レヴィアみたいなことを言うんだな」


二人はベッドに入る


「なぁ、君は……もう眠ったのか。眠っている顔からは、あの時の姿が想像できないな」

髪をそっと撫でると頬に口づける


「お休み、僕の王子様」


——


目が覚めるとクロノスがいない


手の中にはメモがあった


目をこすり


見ると——


「そう言えば僕は『一緒に』とは言ってなかったね。やられたよ」


やがて屋敷の中が騒がしくなる


こうして魔王は姿をくらました



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