円形都市
打ち捨てられた、神々の神殿
中心に聳える、ひときは大きなジッグラト
そこから放射状に水路があって
それを取り囲む円形の道路があるのです
まだ、自然の息吹を感じられたとき
そこには、溢れていたのです
発されるもの
消え去るもの
瞬く間に忘れ去る、あのものが!
今はもう、黄金の風は吹かない
紙とインクに満たされた我等の住まいには
かつてヘルメスの暮らした信号塔に
陰気な魔術師が住み着いているけど
彼でさえも、あの素晴らしい旋律を耳に出来ないのです
ああ
でも、配達人の彼だけは手紙を届けるとき
神々の気配を感じるでしょう
コートの裾を翻して走る彼は
とても美しい
月の光を受けて彼は
死んだように微笑んだ
彼だけは、確かに
神を見ている……