小さい話の寄せ集め
シリーズの他二つもよろしく。
一番最後の描き下ろし作品以外の各話のあとがきは、活動報告を参照のこと。
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『冷たい嫁』作:一二三 五六
ある時、男が友人に相談した。
「近頃嫁がめっきり冷たくなって、全然俺のことを振り向いてくれないんだ。どうしたらいいと思う?」
すると友人は、男にこう答えた。
「いいから早く、嫁さんの葬儀をしてあげなさい!」
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『おばけだぞ~』作:一二三 五六
夜仕、事から帰るとお化けの恰好をした息子が出迎えた。
私を怖がらせようとしてか、うーうーと唸り声を上げて必死に驚かそうとする息子の姿は、見ていて実に可愛らしい。
でもさ、その頭に被ったビニール袋にはちゃんと穴を開けないと。
全然前が見えてないだろ?
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『ゲームは悪くない』作:一二三 五六
『暴力ゲームが凶悪犯罪を助長している』
犯罪とゲームをすぐに結び付けゲームを規制しようとするメディアは嫌いだ。
そもそも、仮想と現実の区別のつかない奴なんて、元から危ない奴だろ!
そんな奴なら、ゲームをしようがしまいが犯罪を起こすに決まっている。
だからゲームは悪くない。
ゲーム機のスイッチを入れ、お気に入りのゲームをスタートさせる。
そして今日も俺は、アウトローの主人公を操作し街中で銃を乱射するのだ。
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『己の欲せざる所は……』作:一二三 五六
「外が寒いから、お前が代わりに買い物に出てくれ」
「え~、やだよ。子曰く、自分に嫌がることは人にしたらダメっていっているよ?」
「同じ人が、人の嫌がることは進んで引き受けろとも言っているぞ。はい、お金」
「負けました」
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『どっちも同じ』作:一二三 五六
「お前、今日の晩飯はなんだ?」
「本格的な中華料理よ、あなた」
「それは美味しそうだな。それで、どう本格的なんだ?」
「材料を全部中国産にしてみたの」
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『固い蓋』作:一二三 五六
子供の頃の話だ。
「おばあちゃん、このふた、かたい。あけて!」
「はいはい、それ貸して――ほら、空いた」
子供のもつ力では未開封のビンやカンの蓋はとても固くて、お婆ちゃんによく開けてもらっていた。
お婆ちゃんは、僕の開けられなかった固い蓋を難なく開けていた。
「この固い蓋を、開けて」
「はい、お婆ちゃん――ほら、開いたよ」
お婆ちゃんの開けられなかった固い蓋は、僕の手によって難なく開いた。
気付けば、いつの間か頼む立場が逆転するようになっていた。
いつか僕も、また蓋を開けてもらうようになるのだろう。
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『ニョキニョキニョキニョキ』作:一二三 五六
ニョキニョキニョキニョキ
ねがのびて
ニョキニョキニョキニョキ
はがはえて
ニョキニョキニョキニョキ
やっとめがでてきて
ギョロリと
こちらをむいた
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『なぞなぞ』作:一二三 五六
なぞなぞをしているとやってきて、答える人を食べてしまう生き物ってなーんだ?
ヒントはあなたの後ろ。
――ガブリッ。
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『コブラのお母さん』作:一二三 五六
コブ付コブラのお母さん
子供は何故かマングース
お母さんコブラの尻尾はちょっと短い
それは子供が寝呆けて齧っちゃったから
そのうち頭が無くなっちゃうよ
そんなお母さんの最近のお悩みは
子供がイジメで死んだこと
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『月がきれい』作:一二三 五六
問題:"I love you"を訳しなさい
彼氏
「愛してる」
彼女
「あなたを監禁したい」
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『正直者』作:一二三 五六
Q「ねえ、子供たち。この世で誰が一番正直者だと思う」
A「テレビとネットとマンガ」
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あの三つの、とりあえずでの信じてしまいやすさはなんなのだろうか。
昔、某知恵袋でみた「本当です。○ィキペディアにも書いてあります」が強烈だった。事実は事実だったんだけどさ、ソースがそれかい!