3.オオカミ美少女との第2夜。
幼なじみにロープで縛られて吊されるという特殊なプレイが終わった後…
いつの間にか空が赤に染まり、カラスの鳴く声が聞こえだした。
流石に夜まで延長という事はしないらしく、
「扱き疲れたから帰るわ」
と言って帰っていった。
俺はというと凛世と狩りに行かなければならないので、凛世に会わなければならないのだが…
凛世ってどこにいるの?
いや、だってどこで待ち合わせとか詳しく決めてなかったし。
……これって、実はピンチ?
「凛世ぇええええええええ!!」
駄目で元々、名前を目一杯叫んでみた。
すると、遠くから
(あおぉー―――――――――――ん)
と透き通った声が聞こえたかと思うと、
「……呼んだ?」
と言ってすぐに窓から顔を出した。
「早っ!!…ってまぁオオカミだし仕方ないか…」
「……?」
「いや、だって耳生えてるし」
「……これ?」
凛世は自らの頭を指差す。
するとおもむろに耳を取り外し…、って
「えぇええええええええ!!」
ケモノじゃなかったのかよ!!
そりゃあリアルにケモノがいたら怖いけども!!
アニメの男主人公の中の人がオバサンだった時や、ゆるキャラの中からオッサンが出てきた時のような残念感がこみ上げてきた。
「そ、それは?」
「……オオカミ耳」
「ま、まぁそりゃあそうだろうけど。な、なんでそんな物付けてるの?」
「……父親が、」
「どんな趣味!?」
「……群れに馴染むには形からって」
ああ、って父親はオオカミの群れに入る事推進してんだな…、どんな父親だ?
「因みに父親はどういった職業を…?」
「……?昨日いた」
え?
「昨日ってオオカミしか見てないんですが」
「……そう」
父親がオオカミィイイイイイイ!?
「あぁ…、一応聞いておくと母親は?」
「……人間」
流石にね!!
オオカミ♂×オオカミ♀≠人間だしね!!
……つーかオオカミ♂×人間♀って何!?
禁断の恋にも程があるでしょ程が!!
っていうか戸籍はどうなってるの!?
確かクォーターじゃなかったっけ!?
もし仮にオオカミ×人間なのだとしたら1/4オオカミ+3/4人間なのか!?
「えっ…と、その、色々訳が分からないんですが」
「……Don't think,feel」
「いや、どこぞの映画スターの名言を引用しなくてもいいから」
ブルー〇リーね。
「……考えるな、感じろ」
「いや、別に和訳してもらわなくても分かるから」
もう何も考えない事にしよう、最早何も考えたくない。
「……質問終わり?」
「あぁ、もうどうでもいい」
こうなりゃヤケクソだ。
「……なら狩りに行くぞ」
「オォーーーーーーーッ!!」
結果。
「結局こうなるのかぁああああああああ!!」
やっぱり熊に追われています。
どんだけシツコいんだよこのアオ〇シラ!!
……今度、武器でも持ってこようかな。
いや、防具からの方がいいか。
とりあえずユク〇の木でも拾いに行った方がいいかな。
と脳の片隅で割と真剣に考えつつ逃げ回っていた。
「……因みに父親はアレ」
「今言います!?それ!!」
てかアレってどれ!?
「ガルゥウウ」
「ガルゥウウ」
「ガルゥウウ」
「ガルゥウウ」
「ガルゥウウ」
「いや鳴かれても分かんねえよ!!」
鳴き声全部同じじゃんか!!
分かる方がすげーよ!!
といったようなプチハプニングも有りながら、朝まで狩りを続けた。
この狩りで分かったのは、人間死ぬ気になれば何でも出来るものだね、って事だ。
お気付きの方もいるだろうが、俺は2徹したのだ。
なのに走る気力があったのだから、自らアッパレと言わざるを得ない。
それはそうと、凛世っていつ寝てるんだろうか?
これは今後に役立つ情報が得られるかもしれない。
「凛世」
「……?」
さっき狩ってきた熊の肉を持って応対する凛世。
「いつもいつ寝てるの?」
「……授業中」
はい、駄目人間発言頂きましたー。
「えぇと…、勉強とか大丈夫なの?」
「……大丈夫だったら怖い」
お、これは狩りを回避するチャンスかもしれない。
「ならさ、明日の夜から勉強教えてあげるよ、中間考査も近いし」
説明しよう!!
我が校は3学期制であり、5月下旬、7月中旬、10月中旬、12月上旬、3月上旬に定期テストがあるのだ!!
今は5月中旬にあたるため、中間考査までもう時間がないのだ!!
by・校長
「……いいの?」
「いいのいいの!俺自身復習になるしね」
俺は実はそこまで勤勉じゃないのだが、熊に追いかけられるよりかはマシだ。
「……なら明日から」
(死亡フラグ 6-1=5)
キタァアアアア!!
初めての死亡フラグ回避成功!!
これは大いなる進歩じゃないか?
この調子で行けば死亡フラグ完済出来るかもしれない。
まあ、でも体調が万全でないともしもの時大変だし、明日っていうか今日は休みだから家でゆっくりしよう。
「じゃあ明日の夜、俺の家で……って知らないよな」
「……匂いで分かる」
「マジか!!」
凛世はFBIの特殊部隊かそれに準ずるモノになるべきだと思う、きっとコイツなら最前線で活躍してくれるはずだ。
「じゃ、じゃあとりあえず明日の夜に匂いを頼りに探し出してくれ」
「……イエス、マム」
「だからなんか違うけどね」
とまあ約束をしたところで勝こと俺は、この後起こる大惨事の事も知らずに意気揚々と家に戻ったのである…。