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14.イノシシ系幼なじみの場合。


「はっ!!」



目を覚ますと、さっきと同じ場所にいた。



さっきよりも薄暗くなっており、なぜか壁も修復されていて、完全なる密室に戻っていた。



直すの早いなオイ。



にしてもなぁ……。



ったく、凛世はなんであんなことを言い出したのだろうか?



こ、ここここ、交尾だの攻撃だの。



それほど欲求不満だったのだろうか?



アイツにとって俺は狩り友だからな。



まぁ事実、俺は逃げてるだけで結局凛世が1人で狩ってるけど。



少なくとも、交尾をする関係には無い。



じゃあ何だ、アイツは俺を犯そうとしてたのか?



こんな狭い密室に閉じ込めるぐらいだし、有り得ない事もない。



…………いや、無いだろ。



俺にそんな魅力は無いし。



でも、アイツ結構本気っぽかったしなぁ……。



……………………。



それはないと考えよう、そうしよう。



と、その時。



さっきと同じような不吉な音が外からした。



また凛世か?



と思った次の瞬間。










ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーーーン!!



俺の近くの床が吹っ飛んで、穴から誰かが出てきた。



真っ黒で誰かがよく分からないが、どう考えてもあの、芳醇な胸の大きさ的に……



晴美だな。



「今、何か卑猥な目線を感じたわ」



「気のせいだ」



それよりも、だ。



「なんで凛世といい、お前といい、なぜ俺をこんな密室に閉じ込めるんだ?」



「な、なんの事かしら?」



とぼけんな。



「というか……凛世って誰?」



あ。



「まぁ、あの~あれだ。ニーナのあだ名だ、ニックネームだ」



ちょっと苦しいか……?



「そう、ならいいわ」



良いのかよ!!



コイツ……バカだ。



「まぁそれはそれとしてだ。何の用だ?」



「そ、それは……その、ええと……うぅぅ」



「ハッキリしろよ、俺はなんだか分からないままにこんなところに1日放置されて……」



ん?



何か引っかかるなぁ。



「ところで、今日は何曜日だ?」



「え、ええと…………あ゛」



ようやく気付いたか。



昨日が日曜日で、それから一日が経過したと考えると……



「ああ、俺達は…………学校を、サボっちまってんだ」



「…………そういうことになるわね。どうしようかしら?」



「どうしようもこうしようも今はもう夜だろ? ……もう家に連絡行ってるんじゃねぇか? 俺はともかく晴美は……ヤバいだろ?」



晴美は、もう忘れられているかもしれないが、長宗我部家の末裔で、両親が武道の道場を開いているのだが。



両親共に頑固で、尋常ではない正義感を持っている、いわゆる面倒くさい親なのだ。



なので、学校をサボったともなると……



「腕一本は覚悟した方が良いわね……」



「何故だ、絶対冗談なのに全く冗談に聞こえない」



「まぁ、過ぎたことはどうでもいいじゃない。後の祭りよ」



「そりゃあそうなんだが……」



沈黙を挟んだ後、閃いたのか、晴美が叫んだ。



「なら既成事実を作ってしまえば良いのよ!!」



ん?



なんかいやな予感が。



「き、既成事実と言いますと?」



「そ、そりゃあ……」



「そりゃあ?」



「こ、子作りに決まってるじゃないの!! 当たり前のことを聞かないでくれる!?」



オ マ エ も か!!



「なんでそうなるんだ!? 子供を作らなくても別にいいだろ!?」



「子供でも作らない限り、私は腕を一本奪われる運命なのよ!? 察しなさいよ!!」



「察しなさいよ、じゃねえ!! そんな運命なんてあるわけねえだろ!? 愛娘の腕を奪うなんて下劣な事、どこの親がするか!!」



「…………ウチの親よ」



「大丈夫だ、問題ない」


(死亡フラグ ∞+1=∞)



な、なに……!?



増えた、だと……。



これじゃまったく死亡フラグの増え方が見えなくなってきたぞ……。



そうか、今のはかの有名なエルシャダ……なんでもない、気にするな。



「じゃあ大丈夫かそうでないか、勝で試そうじゃないの」



「ど、どういう事だ?」



「そりゃあ……ねえ? 勝を攻撃して」



だ か ら お 前 も か



「前後が全くつながってないぞ!! 結局俺を攻撃したいだけなんだろ!?」



「ふっ、バレちゃしょうがないわね。そうよ、私は勝がこんなにも鈍感だから殴りたいだけよ!!」



「鈍感って何だ!? 別に俺は痛みに気付かないほど鈍感じゃないぞ!? 俺をサンドバッグにする気か!!」



「…………本当に分かってないようね」



と、あきれ顔で戦闘の体勢に入る晴美。



「何が何が何が何が!? 何がいけなかったんだ!?」



「それがわからないところよ!! さあ、準備は良いかしら!?」



「良くない良くない!! 俺は今日既に何回も気絶させられてんだぞ!! もう気絶はうんざりなんだ!! もうやめてくれえ!! やめてくれええええええェェェェェェ!!」



ああ、またここで気絶するのか……。



人生って、取り返しがつかないものもあるんだなぁ……。



ん?



いつまで経っても攻撃が始まらないぞ?



「…………分かったわ、止めてあげる」



…………?



え?



もしかして気絶スパイラル(?)を回避できたのか?



「但し、条件があるの」



「何だ、何でも良いぞ」



もう気絶はうんざりだからな。



「私と…………一緒に……」



「一緒に?」



「子作りしましょ!!」



…………。



「ん? 日本語でおk」



「100%日本語よ!! どこをどう聞いたら日本語じゃなくなるわけ!?」



「俺に理解できない言葉は大抵英語だと相場が決まっている」



「英語どころかカタカナすら使ってないわよ!? というかさっきは理解してたじゃないの!!」



「ワタシは誰? ココは何処?」



「急に記憶喪失になるんじゃないわよ!!」



さっきから叫び続けている晴美の体から、心なしか湯気が出て来た。



そろそろ潮時か……。



「分かった分かった、お前の言いたい事は全て把握した。お前は俺と子作りがしたい。そうだな?」



「ええ、そうよ」



「だが断ッアベシャ!!」



「言いたい事はそれだけ?」



コイツ……言い終わる前に殴りかかって来やがった!!



「イヤイヤイヤ、俺が殴られる意味が分からないし、そもそもお前と俺の関係は幼なじみより上でも幼なじみ未満でもなく幼なじみなんだから、俺たちが何故子作りをしなければいけないのかが全く分からないし、そもそもお前ってやつはバグハッ!!」



「……言いたい事はそれだけ?」



「……はい」



「なら顔を出して」



「……はい」



「逝くわよ」



「……逝かせるの間違いじゃブボッ!!」



「逝くわよ」



「……はい」



こうして、俺は今日4回目の眠りについたのだった。

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