11.フラグ、爆発。
晴美の家に到着した時…
「えええ!?どうしてここに!!」
なんと凛世が玄関に待ち構えていた。
もちろん耳付きで。
服はいつも通り制服――ではなく、なんと白のワンピースだった。
――なんで次から次へと畳みかけてくるのかな…。
「……急用」
急用ってオイ。
つーかなんで晴美の家の前にいんだよ。
「……匂い」
あぁ、なるほど。
すると晴美が
「ねぇ、この人誰?」
「あぁ、そういや晴美は初対面だな。コイツは…」
と言った時、悪寒がしたので、その方向を見ゆると、凛世がすごい怖い顔をしていた。
そういや、同じ学校のやつには正体は隠せとのことだったな。
「え~と、コイツは、俺の遠~~~い親戚で…、名を……ニーナと言う」
「えっ、兄様、何を言っているのですか?この人はり…」
「コチョコチョバスター@トランスver!!」
「はにゃはははふひへほのくっ!!やっふっはっほっへっふひひひひひひひひひひひ!!」
空気を読め、まひる。
そして許せ、俺は命がかかっているんだ。
というわけでまひるは気絶した。
反省はしている。
後悔はしていない。
「んとまぁ、そういう事だ」
「そういう事だ、じゃないわよ!!まひるちゃん気絶しちゃったし!!というか私の手を使うの止めてよ!!手錠付いてるの忘れたの!?」
あ、まひるを始末(←オイ)するのに必死ですっかり忘れていた。
くそっ、晴美にツッコまれる日が来るとは思わなかった。
「で、どうしたニーナ。急用ってのはなんだ?」
「無視!?」
ああ、無視だ。
「……親が」
「親が?」
「……ヤられた」
「はい?あのオオカミの?」
どれだか分からなかったが。
「……イエス、マム」
「なんか違うけどな」
どこまで頑なに『イエス、マム』って言うんだよ。
ってぇええええええええええ!!
親がヤられた!?
「ヤバいじゃん!!大丈夫なのか!?」
「……ただの切り傷のみ」
それは良かった。
「……でも」
?
「……復讐に燃えている」
「いやいや、ダメだろ」
最悪射殺されるぞ、オオカミなんだから。
「……もう犯人の目処はついている」
「そうなのか、ヤったのはどこのドイツだ?」
そいつの身が危ないからな。
知ってるヤツだったら知らせてやらないと。
そいつがたとえオオカミを傷つけたとしてもな。
「……ドイツは一つ」
「いや、国のドイツじゃなくて、誰ってこと」
「……なるほど」
なんかずれてるんだよな、凛世は。
「で?誰なんだ?」
すると、凛世は俺に向かってゲッツ(byダンディー〇野)を繰り出した!!
「って何だ?おちょくってるのか?」
「……?」
凛世は首を傾げながらもう一度ゲッツを繰り出した!!
これは何かのメッセージなのか?
ゲッツをする→ネタが古い→消える→幽霊?
これは違いそうだ。
つーかネタが古いのを伝えるんだったらわざわざゲッツをチョイスする意味がわからない。
……凛世はダンディーを知らなさそうだしな。
ということはこのゲッツはダンディーのゲッツとは別と考えていいんだよな。
じゃあこのゲッツはどういう意味だ?
ウケ狙いってわけじゃないだろうし……。
分からなくなってきた。
とりあえず状況を整理しよう。
凛世は俺に向かってゲッツを繰り出している。
……以上。
分かるかぁあああああああああああ!!
いや、待てよ。
こんなにシンプルに状況を説明できるってことは、このゲッツはとてつもない意味を秘めているのではないだろうか?
……ゲッツの前の状況を思い出そう。
俺は親が誰にやられたかを聞いた。
そうしたらゲッツされたんだ。
という事は、常識的に考えて人を指しているという事になる。
という事は……俺?
いやいや、俺はそんなに強くない。
オオカミに立ち向かえば即死する男だからな。
そもそもゲッツなんだから指している指は2本だ。
てことは…。
「晴美とまひるってことか?」
「……イエス、マム」
お、ビンゴ。
「えぇええええええええ!!私は何もしていないわよ!!」
まひるは気絶中なので反応なし。
「でも現にり…違った、ニーナがそう言ってるじゃないか」
「でも、私大人には暴力振るわないし…」
「いや、さっき思いっきり蹴ってたじゃん」
やったそばから忘れるなよ。
「変質者は別よ、正当防衛だし」
「まぁ、そうか…」
という事はあの変質者が凛世の父親?
でも父親はオオカミって言ってたしな…。
よし、一発で分かる質問をしよう。
「り…ニーナ、父親はその時裸だった?」
「……裸族だから」
もう絶対凛世の父親、さっきの変質者だよ!!
にしても、裸族だからって外でも裸になんなよ。
猥褻物陳列罪だぞ。
「……父親はオオカミ男」
「オオカミ男って月の光を浴びるとオオカミになるという?」
凛世は流石に『イエス、マム』を乱用しては芸がないと思ったのだろうか、うなずきで返した。
ってオオカミ男ってマジで存在してたのかよ。
ついにファンタジーになってきたな。
で、オオカミから人間に戻ったばっかりの父親と出会ってしまったわけだ。
「……父曰く『ただ将来の息子にあいさつしようと思っただけなのに』」
「なんですって!? 勝、それ本当の事なの!?」
「それって?」
なにいきなり熱り立ってんだよ。
ただでさえ手錠のせいで顔が近いのに、んな大声出すなよ。
ただでさえ声デカイのによう。
まあバカなんだろうな。
「私、急に左手を振り回したくなったわ」
「す、すいませんでした!!」
心読まれてるよオイ!!
「……で、それって?」
「将来の息子ってことよ!! バカじゃないの!?」
「少なくとも晴美よりは成績がいいのだが」
「もう!! ああ言えばこう言う!!」
別に大したことは言ってないと思うが。
「もういいわ!!」
妥協された。
「ええと、ニーナと言ったかしら?」
「……ミー?」
「オゥイエ―、勝がユーのファザーのヒューチャーのサンなんだとしたら、ユーは勝のHANAYOME!?」
何故頑なに英語を使う。
てかHANAYOMEってオイ。
花嫁は英語でbrideだぞ、勉強しろ。
「……イエスorノーorハーフ」
答えになってないぞ凛世。
「イエスとみなすわ!!」
みなすな。
「それは、勝には私という許嫁がいると知っての狼藉かしら!?」
それは勝も初耳だ。
「……??? 英語でプリーズ」
理解していないのか、ただからかっているだけか、よくわからなくなってきた凛世。
「ディスは勝にはミーというIINAZUKEEEEEEEEがいるとKNOWしてのROUZEEEEEEEEKIかしら!?」
うん、こうなるってわかってた。
つうかEだけ長え。
「りn…ニーナ、からかうのもそれまでにしとけよ。晴美のバカさ加減がこれ以上世間に伝わるとこちらとて恥ずかしくなってくる」
「バカって何よ!!」
事実だ。
「……了解」
凛世は晴美を冷ややかな目で見た。
「敵にここまでコケにされるとか……わかったわ――――決闘をしましょう」
全然分かってない。
「……OK」
悪ノリするなよ凛世!!
今の状況分かってんのか!?
「いざ尋常に……」
俺は晴美と手錠でつながってんだぞ!?
こんな状態で決闘なんかしたら…。
「……「勝負!!」」
「なにやらかしてんだ手首イかれる手首イかれる引きずんなよさっきの傷がまた地面に当たってる痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイ!!」
もう…今日こんなんばっか…もういやぁあああああああああああ!!!!
「…………?」
どうやら気絶していたようだ。
いつの間にか、辺りは暗くなっていて、俺は布団を掛けられていた。
てか、ここはどこだ?
と思って辺りを見渡すと。
凛世が、晴美が、まひるが、俺の横で寝ていた。
裸で。
………。
「なんじゃこりゃああああああああああああああああああああ!!」
(死亡フラグ 8+∞=∞)
気絶から復活した俺に舞い込んだのは人生最大の死亡フラグだった。