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702~884周目 ~進捗~

 七〇二周目。


「ススムー。暇だし何か話そうよ」

「話?」

「そう。婚約者として親睦を深めなきゃ! だから何か面白い話してみて」

「うーん……今日は、良い天気ですね」

「何それお見合い!? 真面目に考えてよ!」

「すみません。ちょっと考え事に忙しくて」

「えー!? もう、婚約者がこんなに暗くてつまらない人だとは思わなかった!」




 七三五周目。


「「ススムー。暇だし何か話そうよ」

「話?」

「そう。婚約者として親睦を深めなきゃ! だから何か面白い話してみて」

「じゃあ、ご趣味は?」

「何それお見合い!? 真面目に考えてよ!」

「いいから、答えてください」

「わ、わかったよ……えっと、お花を見るのが好きかな。特にヒマワリ! 私ヒマワリ愛だけは誰にも負けないの! ほんともう、ヒマワリ見るためならたとえ火の中水の中、地球の裏側や異世界だって行っちゃうよ!」

「そうですか」

「ハァ!? こんな破天荒な自己開示聞いてそれだけ!? もう、婚約者がこんなに暗くてつまらない人だとは思わなかった!」




 七七七周目。


「姫。姫は休日、何して過ごしてるんですか?」

「休日は、えっと……あれ? 私って休日何してるの?」

「そっか、そこは設定されてないんですね」

「設定?」

「いえ、こちらの話です。料理とかはされないんですか?」

「料理? するわけないじゃん! なんでお姫様の私がそんな面倒なことしなきゃいけないの?」


 ミライが好きだった料理を否定され、なんだか妙に虚しい気持ちになる。


「どうしてそんな悲しそうな顔するの? 私、ススムのことがよくわかんない」

「すみません、どうしてでしょうね。……ちなみに、もし絶対に料理しなきゃいけない場面があったとしたら、何を作りますか?」

「カレーライス!」

「えっ、本当に!? それはどうして!?」

「へ? なんでだろ、わかんない……というかどうして今度はそんなに嬉しそうなの? もう、婚約者がこんなに情緒不安定な人だとは思わなかった!」



 八二六周目。


「姫。姫の結婚観について教えて頂けませんか?」

「へ? 急にどうしたの?」

「婚約者として、純粋に興味がありまして」

「ふーん、ススムって結構積極的な人なんだね。……んー、結婚観。そうだなぁ……」


 姫はしばらく唸った後、人差し指をピーンと上に立てた。


「イケメンでー。優しくてー。あと政治分野に精通してれば、他はどうでもいいかな。お金は元から沢山あるし」

「そうなんですね」

「そもそも私の結婚相手は生まれた時から勇者に決まっているんだから、考えるだけ無駄無駄。結婚観が合おうが合うまいが、結婚するしか道はないんだし」

「最初から決められた人生なんて、嫌だとは思わないですか?」

「別に。成功が約束された人生は素晴らしいよ。結婚相手以外だったら、人でも物でも、パパに頼めば大抵手に入るし。だって私のパパはこの国で一番偉いんだから」

「そうですか」

「不服そうだね。文句あるの?」

「いえいえとんでもない。勇者に選ばれて姫と結婚できるなんて、身に余る光栄ですよ。だって、姫のお父上はこの世界における神様ですから」


 八八四周目


「ねぇススム。さっきから、なんでそんなにニヤニヤソワソワしてるの? 何か良いことでもあった?」

「えっ、そんな顔してました? 別に何も無いですけど」

「そう? じゃあ、これから嬉しいことが起こる予定とか……」

「いや! 別に何も! 全然!」

「そんな食い気味に否定されると怪しいんだけど」

「元からこういう顔と性格なんです! ほんとに!」

「そうなの? ……まぁいいけど。結婚するなら暗い人よりはそっちの方がマシだし。クール系が理想だったけど、まぁ許容範囲かな」

「安心してください。どう転んでも、もうすぐ性格は変わりますから」

「何それ。どういう意味?」

「ちなみに俺は姫の性格も、楽しくて嫌いじゃなかったですよ。おかげで発狂せずに済みました」

「……前言撤回。意味わからない人は好みじゃないや」



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