74話
「突然訪ねてすまないな、リュシュリシュ」
そんなある日のことだった。
突然、ソルネチア家にエトワール侯爵。ニルヴァルド・エトワールが訪ねてきた。
2人は古くからの友人同士でありライバル関係。一部ではソルネチアとエトワールは仲が悪いとも言われているが、お互いの長所も短所も知っており、互いに高めあい、その過程で争うこともあるが、婦人同士がお茶会を開くのと同じぐらい、彼らの中は良いものだった。
「気にするな。セレーネにようがあるのだろう」
「あぁ。セレーネ嬢、改めて私の娘が申し訳ない。縁を切っているとはいえ、改めて謝罪をさせてほしい」
「気にしないでください。公爵からはもう何度も謝罪のお言葉をいただいております。しかし、ただ、謝罪にこられたというわけではないですよね」
三大公爵家の当主であるニルヴァルとがもう何度も行った謝罪のために足を運ぶのはおかしい。友人であるリュシュリシュに会いにきたというわけではない。彼の目的はあくまで、間の前にいるセレーネだけ。
「……セレーネ嬢。不躾だが……君が宝石眼保有者というのは事実か」
「ニルヴァルト!貴様!」
その場で立ち上がり、怒りを露わにするリュシュリシュ。しかし、その怒りを収めるようにと、すっとセレーネが彼の前に手を伸ばす。
セレーネはジッとニルヴァルドを見つめた後、ゆっくりと目を伏せた。そして、再び目が開かれた時、先ほどとは比べ物にならないほどの美しさと輝きを持った二色の瞳が姿現した。
「それが宝石眼……しかも、希少なアメジストの瞳……なるほど。これは、神殿も法律に声を上げても仕方がない」
神殿が進行する双子の女神。昼の女神は青緑色の瞳と髪。夜の女神は赤い瞳と髪。まさに、セレーネは女神の使徒……化身と思われても仕方がないものだった。
「私はずっと、宝石眼を持つ者を探していた」
「……売るためですか?」
「まさか。決して売買や神殿に渡すために探していたわけではない……セレーネ嬢」
「はい」
「単刀直入に尋ねる。―――― 王になる気はないか」




