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57話

やってきたのは2人の男性。

1人は、カフェオレ色の少し長い髪をリボンで結い、切れ長の黄緑色の目をしたスラリとした男性。綺麗な整った顔立ちをしており、その甘い笑顔を向けられた女性はどきりと胸を高鳴らせて、すぐさま顔を赤くしてしまうだろう。

そしてその隣、同じ背丈に同じ髪色。長さは耳を隠すほどの長さ。丸い黄緑色の目をした同じようにスラリとした男性。隣の男性よりも、愛らしさが強く。浮かべる笑顔はまるで天使のようだった。

彼らの姿を見て、他の令嬢たちは歓喜の声を上げる。

しかし、セレーネは興味なさげに彼らを見、クローディアは深々とため息をこぼし、呆れた表情を浮かべた。


「何しにきたの、ディー、ダム」

「すみません姉上。いつものお茶会だときてはいたのですが……」

「そのお茶会に、あのセレーネ=ルーンナイト嬢も参加してると聞いて、兄上と挨拶に来たのです」


2人の視線がセレーネに注がれる。

セレーネはスッと立ち上がり、彼らに挨拶をする。


「お初にお目にかかります。ディークライム様。ダムニエル様」


切れ長の目をした方がディークライム。丸い目をした方がダムニエル。

彼らは、世間で有名なロサ家の双子。クローディアが、差別をなくしたいと思ったその存在である。

歳は、セレーネが卒業すると同時に入学をしたため、15か16歳。

それにしては背が高く、セレーネと同じ歳と言われてもおかしくないほどだった。


「貴女が!噂は予々。まさかこんなに美しい令嬢だとは」

「うん。髪色ももちろんだけど、その瞳。とても綺麗だ……これを忌み嫌っていたなんて先輩たちも見る目がないよね」

「2人とも。初対面の、しかもレディーに対して失礼よ」

「おっと、これは失礼」

「すみません、ルーンナイト嬢」

「いえ、お気になさらず」


彼らとの距離はかなり近かった。普通の令嬢ならあたふたして、きっとそのまま倒れる者もいるだろう。だが、セレーネは全く動じなかった。

確かに彼らの顔は整っていて、目の前にくればドキドキしてしまう。

しかし、セレーネにとっては、ユリウス以外の男性に心が動くことはなかった。


「貴女の噂は、学院入学時から耳にします。もちろん、悪い噂の方が多く耳にしますが、俺たちはそんな噂よりも、貴女の魔法の才能に感銘を受けました」

「えぇ。在学中に学会に発表したものは、すべて目にしました。どれも素晴らしいものでした」

「ありがとうございます」

「一部の方からは大した物じゃないと言われてますが、そういうことを言ってる人は、みんな貴女を悪く言ってる人たちばかりです」


去年までセレーネが在籍していたということもあり、未だに彼女の噂は学院に残り続けている。

入学したばかりの一年生たちも、先輩たちの言葉を鵜呑みにして、会ったこともないセレーネに悪い印象を受けていた。

彼らもまた噂を耳にした。もちろん、彼ら自身も双子ということで色々言われたが、もういないはずのセレーネの方がひどい言われようだった。

そんなに悪いことをしたのだろうかと疑っていたが、学院に残っているセレーネが学会に発表した論文。そして、クローディアや母親であるケイシーが実際に彼女と会って受けた印象をきき、クローディアのとき同様、悪意のあ物であることがわかった。


「俺らも、周りから色々言われた身です。セレーネ様のお気持ちは少しわかります」

「学院に広がる噂は僕らにお任せください。セレーネ様がどれほど素晴らしい方か、みんなに広めますので」


そう言って、2人は片手ずつセレーネの手を取り、そのまま口付けをする。

それを見た令嬢たちはまたしても歓喜の声を上げ、クローディアは頭を抱えながら、また深いため息をこぼした。


「気にしないでください。周りになんと言われようと私は気にしません。お気持ちだけ受け取っておきます」

「そうですか。しかし、何かあれば姉上や母上だけではなく、俺たちのことも頼ってください」

「僕らも、セレーネ様のお役に立ちたいので」

「2人ともいい加減にしなさい。それに、婚約者がいる令嬢の肌に、気軽に触れるものではないわ」

「勘違いしないでください姉上。俺もダムも、セレーネ様に抱いているのは尊敬です」

「そうです。下心なんて一切ありません」

「全く貴方たちは……用が済んだなら戻りなさい。今日のことはお父様やお母様にも言いますからね」

「ひどいですよ姉上」

「あんまりです」


2人はもう一度、甘い言葉を口にしてその場を後にした。

彼らが去った後、令嬢たちは彼らの纏う雰囲気や言葉に胸をときめかせていた。

姉であるクローディアは私に謝罪してきたが、年下とは言え、公爵家の令息に尊敬されるのはとても嬉しかった。


「さぁみなさん。邪魔が入りましたが、お茶会を続けましょう」


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