表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/65

53話

何が起きたかわからないルーアは、水浸しの自分の体と目の前のセレーネを何度も交互に見返した。

後ろにしがみついているフェネルも何が起きた変わらなくて、同じようにセレーネとルーアを交互にみつめた。


「随分興奮して頭がおかしくなっておられたので、水魔法で冷やして差し上げたのですが……冷えたでしょうか」

「……っ……セレーネぇえええええ!!」

「何事だ!!」


冷えたはずの頭は、怒りによって再び熱を持ち、ルーアはそのままセレーネにつかみ掛かろうと腕を伸ばした。

だけどその時、クラッセン夫妻とユリウス。数名の使用人たちが温室へとやってきた。


「これは……一体……」


目の前には、ずぶ濡れのルーア。セレーネの後ろでしがみつくフェネルの姿があった。

しかし、何よりもクラッセン夫妻が驚いたのは、部屋にいるはずのルーアがまた部屋を抜け出してこの場にいることだった。

セレーネは内心、警備をしていた使用人たちに同情した。


「ユ、ユリィ……」


さっきまでの怒りはどこへやら。一瞬にしてルーアはか弱い令嬢の演技をした。

涙を流し、ありもしないセレーネの行動を彼に伝え、そのまま縋ろうとした。

しかし、そんな彼女を無視して、ユリウスはすぐにセレーネとフェネルのもの駆け寄った。


「大丈夫かい、セレーネ」

「えぇ。特に問題ありません」

「フェネルも、大丈夫か?」

「あ、はい。僕は平気です」

「……どうして……ねぇどうしてなのユリ!!」


振り返ったルーアは、涙を流しながらユリウスに投げかける。

自分ではなく、どうしてセレーネを選んだのか。

ずっと仲良くしていた自分よりも、どうしていきなり婚約者になった彼女を気にかけるのかと。


「そんな欠陥令嬢よりも、私の方が公爵夫人として相応しいのに!!」

「ルーア!お前はまた!」

「……言うまでもないだろう。どうしてセレーネなのか?そんなもの、彼女が僕を愛してくれたからだ。君ならわかるだろう?散々僕の悪口を言ったのだから」


振り返り、ルーアのものに向かうユリウス。しかし、彼の魔塔気配はひどく殺気立っている。さすがのルーアもそれに後退りをするが、逃げるなというように、ユリウスは彼女の手首を掴んだ。


「白蛇の僕を見て君は化け物と言った。だけど、彼女は美しいといってくれた」

「そ……そんなもの……死にたくないから……嘘をついて……」

「君は随分僕をみくびっているみたいだね。本心かどうかがわからないと思ったか?たとえ嘘だったとしても、君みたいにはっきりと僕を拒絶する人間よりはマシだ」

「ち、違うのユリ……わ、私は」

「ルキに取り入ろうとして、人に戻ったら何事もなかったように僕に媚を売る。セレーネやフェネルなんかよりも……よっぽど君の方が化け物で、ひどく醜いよ」

「あ……」


ルーアはそのまま力無くその場に膝をつく。

手を離したユリウスは、そのままセレーネの元に足を進め、彼女を抱きしめた。

わずかに体が震えている。それに気づき、セレーネは優しく彼を抱きしめ返した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ