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26話

「ごめんなさいね。若い子たちのお茶会に混ざってしまって」


お茶会は、途中からやってきたラベンダーを含めて再開された。

雰囲気はいいものではなかったが、彼女は特に気にせず笑みを浮かべながらお茶会に参加していた。


「まぁ、とても美味しいわね」

「ありがとうございます」

「クローディアは相変わらずね。アルヴィスもとても助かってると言っていたわ」

「もったいないお言葉です」


セレーネはただ黙って二人の会話を聞いていた。

片や王妹。片や次期王妃。セレーネとは住む世界が違う二人。もう帰ってユリウスに会いたいと思ってしまっていた。


「ルーンナイト嬢。貴女はどういうお菓子が好き?」

「え?わ、私ですか?」

「えぇ。ユリウスの好みだと、苦めのチョコだけど、貴女も同じかしら」

「……私は、甘い方が好きです。前に一度、ユリウス様の好みのケーキを食べたのですが、苦くて泣いてしまいました。珈琲は好きなんですが」

「あらそうなの。ふふ、ユリウスはさぞ驚いたんじゃないかしら」


クスリと笑うラベンダーの表情をみて、セレーネはきっと自分のことを気遣って話をしてくれているのだろうと思った。ユリウスと婚約していることは、きっとセレーネが席を外した後にアルヴィスか兄である国王に話を聞いたのだろうと。


「クローディア、心配する必要はないわ。ルーンナイト嬢は、私の目を治すためにわざわざお城まできてくれたのよ」

「え……ぁ……」


その時やっと、クローディアはラベンダーの目が見えていることに気づいた。そして、彼女は涙を流した。

次期王妃となる彼女がラベンダーの事情を知らないはずがなかった。だからこそ、彼女の目が治ったことを心から喜んでいた。


「ルーンナイト嬢はとても優秀な子で、ユリウスをとても愛しているみたいなの。だから、貴女は心配しなくていいのよ」


ラベンダーがこのお茶会に参加した理由。きっと、どこからかクローディアがセレーネをお茶会に誘ったことを聞き、彼女の性格を知っているラベンダーがセレーネの誤解を解くためにやってきたのだろう。

立場上、セレーネが勝手に事情を話すことができず、そしてそれにより誤解がさらに複雑になることも、きっと気づいていたのだろう。


「ルーンナイト令嬢。ごめんなさい、貴女に嫌な思いをさせてしまって」

「いえ、そんなことはありません。クローディア様の心配は至極当然です」

「誤解が解けたようで良かったわ。それにしても、アルヴィスもユリウスも幸せものね。こんなにも可愛らしい令嬢たちに愛されるなんて」


ニコニコするラベンダー様に対して、セレーネもクローディアも恥ずかしそうに頬を染めていた。

ちなみに、ラベンダーとユリウスの関係は、いわゆる師弟関係だった。

ラベンダーがよく、アルヴィスの稽古をみており、それに便乗してユリウスも彼女に剣を教わっていた。

一応ユリウスは父親からも稽古を受けていたが、女性独特の剣裁きがとても勉強になったと以前セレーネは話を聞いていた。


「さて、そろそろお茶会はお開きにしましょうか。クローディアは王妃教育が。セレーネは書庫を見たいのでしょう?」

「はい。ぜひに」

「好きなだけ見るといいわ。そして……ユリウスのこと、よろしくね」

「……もちろんです」


不安げな表情をするラベンダーに対して、セレーネは大丈夫というように返事を返す。


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